表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/14

第1話:追放

「アレク、お前はクビだ!」


 朝、出勤早々、俺はユロム大臣からクビを告げられた。


「……どういうことだ? 理由を説明してくれ」


 現在、俺はモクシリ王国の宮廷魔術師として働いている。


 1人で王国中の必須インフラを維持管理し、絶えず湧いてくるモンスターを討伐する忙しい仕事だ。


「理由? それはなぁ……お前が低学歴だからだよ! お前の学歴は、幼少期に通った教会学校だけ! 魔法関連の学歴は何一つない! おかげで、儂が何度他国から馬鹿にされてきたことか! だが……そんな日々ももう終わりだ! ようやく、ちゃんとした学歴の宮廷魔術師を雇える目処が立ったから、お前はもう用済みだ!」


 モクシリ王国は貧しく、以前は宮廷魔術師を雇う余裕がなかった。


 しかし、俺の奮闘により、経済情勢はだいぶ上向き、ようやく国民は他国並みの標準的な生活を送れるようになった。


 俺は独学で魔術を学び、自力で賢者まで到達したが、魔術界では異端の嫌われ者であり、なかなか就職先が見つからなかった。


 どうやら、俺が原因で、モクシリ王国は外交面で不利な立場に立たされているようだ。


 貯金は十分にあるので、しばらくは問題なく生きていける。


 後任も見つかっているようだし、ここは潔く身を引くべきだろう。


「了解。それなら、俺は仕事を辞めるよ。後任用にマニュアルを置いていくから、ちゃんと渡しておけよ」

「マニュアル? そんなもの必要ない!」

 大臣は渋々、分厚いマニュアルを受け取ったが、本当に後任に渡してくれるかどうかは分からない。


 モクシリ王国のインフラは、俺が維持することを想定してチューニングされているので、俺の後任で来た宮廷魔術師は苦労するだろうが、俺には関係のない話だ。


 せめて、優秀な人材が来るように祈ろう。


 こうして、俺は王国を追放された。




「面白かった」「続きが読みたい」などと思われましたら、

ブックマーク・評価・いいねをして頂けるとモチベーションが上がります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ