彼がお店で働く前のはなしぃー
「いらっしゃいませ~~。おやおや毎度ありがとうございます。」
とあるお店にお客さんがやってきた。そのお客さんは冒険者らしく大きな剣を背負っており、鉄の鎧を着ている。
「どうも店主、薬草はありますか?」
冒険者みたいな人は店主にそう聞くと店主は少し悩み、「ちょっとお待ちください」と告げ、店の裏にある品物置き場に行き薬草があるか探している。
「え~っと薬草、薬草…………あったあった」
店主は薬草を持ち、店のおもてにやってきた。
「お待たせいたしました。こちら薬草です」
「これですか。これであいつを治せますか?」
「どういう病気ですか?」
店主がそう聞くと冒険者らしき人はポケットから紙を取り出した。そこに書かれていたのは医者が彼の仲間を診察した結果だった。
「拝見します」
店主はその紙に書かれていたことに驚き口をあけたまま固まってしまった。
「これは治せませんね。この薬草では病気の浸食?を遅らせることしかできません。その病気を治すには氷山にある薬草をとらなければなりません。しかし、私には採ることができません。」
「そうでしたね。貴方は蛇でしたね。人間の姿になっていますが本質は蛇。」
店主は蛇だった。そのため店主の体はうろこに覆われており、尻尾があり、歯は鋭く、口内には毒を出す器官がついている。
「ええ、私は蛇です。ですので氷山は無理ですね。そうそう、最近冒険者の方でもクエストを頼めますよ。ですので誰か薬草をとってくれるかもしれません」
店主はつたない言葉を使いながらも冒険者に伝えている。蛇は氷山には行けないのだ。それを聞いた冒険者は…………
「そうなんですか?ありがとうございます。それじゃあ行って見ます。あ、この薬草ください」
「は~~い、200ターニュになります」
「は~い」
ターニュとは全世界で使われている通貨である。この通貨だが1000年以上前より使われいる古いものである。
冒険者は200ターニャを払い、薬草を手に入れ冒険者組合通称ギルドへといった。
ギルドに着いた彼はいつもと違う光景を目にした。
「なんだてめぇ?俺に喧嘩うってんのか?あ?」
「そうだが?」
盾を背負っている男と武器を何ももっていない少年と喧嘩している。
「おい、お前ら何やってるんだ!」
「おい見ろよ、貴族の三男坊さんだぜ。権力で消されちまうよ。」
「「アハハハハハ」」
盾を背負った男がそんなことを言っている。しかも周りの冒険者は笑っている。
なんとなく察しが付くだろうかこのギルドは崩壊している。昼から酒をたくさん飲んでいるチーム、階段で寝てる者。喧嘩に負けて壁に貼り付けられたもの、床には血がこぼれている。
「無駄だぞ。お前の声は届かない。で?我が仲間あいつを救えそうか?」
冒険者の仲間がやってきた。彼は杖を持っていた。どうやら魔法担当らしい。
「難しい、あの店の店主の話だと氷山にある薬草をとってこないといけないらしい」
氷山、それは非常に危険なところ。よく聞く竜とか魔物がたくさんいる。その地帯に行くにはギルドの了解をとらなければいけない。
「そうか、氷山か………」
二人がそんなことを話しておるとさっき喧嘩していた盾を背負った男がけんか相手を連れてやってきた。
「よぉ、貴族の三男坊こいつ連れて行きな」
「おい、こいつってお前と喧嘩してたやつじゃねぇか!」
「そうだ」
杖を持った冒険者がそんなことを言うとやつはそう告げ、けんか相手を渡した。
「君は氷山に行けるのか?」
「行けるも何も俺は氷山の近く出身だぞ。」
「「「え?」」」
冒険者二人、喧嘩していた盾を背負った男がそう言った。そう、盾持ちも知らなかったのだ。驚きだろ?なぜ彼らが驚いたのかは言わないでおこう。
「待って、氷山の近く出身ってことは相当鍛えられてるよな?」
「ああ、俺は毎日100キロメートル走ってたぞ。あと100メートル先の敵を飛び道具で倒してた」
喧嘩を受けていたやつは超人らしい。氷山近くに暮らしているものたちは皆超人である。盾を背負ったものはそんなやつと喧嘩していた。超人たちが一斉襲ってきたら世界がおかしくなりそうである。超人と喧嘩できるやつは少なく、盾を背負ったものが強いことがわかる。体も精神も。
「えっとじゃあ頼んでもいいかな?」
「ああ、任せておけ!で、俺は氷山にある薬草と取って来ればいいんだな?」
「そうだ。」
「オッケーじゃあギルドに申請してくれ」
「あ、そうだった」
少年は氷山に行きたそうだがギルドから許可が出ていないため行けない。そのため剣を背負ったやつがギルドに申請した。ギルドはそれを受理した。
「お願いします。」
「オッケー、薬草は何個取って来ればいいんだ?」
「10個頼む」
「任せとけ!じゃあ行ってくる。」
そう、少年が言うと彼はギルドを飛び出し氷山へと向かった。
「急げ、急げ、」
「おっとっと!危ないあぶない」
彼は店主とぶつかりそうになったが店主の回避能力によりぶつからなかった。
彼はほどなくして氷山の入り口に着いた。彼の前には二人のギルド職員が立っている。
「どうしたんだい?君何やってるの?あ、もしかしてここに入りたいの?入るならギルドから申請をもらわないとねぇ~~~」
ギルドの人がそういうと少年はポケットからギルドから出た許可書を見せた。
「ほえ?え~~~~許可書じゃんまさかこれを持ってくる子がいるなんてね。オッケーじゃあ入っていいよ。あ、危ないから一応この武器持って行ってね」
「ありがとうございます」
彼はギルド職員より弾入り銃、地図と方位磁針をもらい山へと入って行った。
この氷山だが凍っている山という意味の氷山であった。隣には氷の山があるのだが今回彼が行くところは山に氷が着いた感じの物だった。
「それじゃあ行ってきま~~す!」
彼は走って薬草がある場所へ向かった。いってらっしゃい。