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超常戦争  作者: 獅施額羅
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第三章 出会いと予兆

        第三章 出会いと予兆


 森の中、金色の髪の少年と黒色の髪の少年が眠っている。そよ風がやさしく彼らの頬をなで、温かな木漏れ日が彼らを包んでいる。しばらくして一羽の鳥が鳴き声を上げると、彼らは同時に目を覚ました。

(……なぜ森に? 私は部屋にいたはずでは……)

(あれ? 泉が無くなってる……)

彼らはあたりを見回すとようやく互いの存在に気がつき、そして互いに固まった。

 彼らは眼と髪の色が違うことを除けば瓜二つの姿をしていた。

「あなたは一体……それにここは……」

レアードはあたりを見回し状況の分析を試みた。ヘルメスは未だに呆けている。

(目の前にいるこの男のことはおそらく考えても結論は出ないな。それにしてもこの反応、学のなさそうな奴だな。さて、腹の減り具合から考えてあまり日数は立っていないはず。日光の角度、この植生から考えると……)

「おい、ここは城の東と西の森、国の終端の森だろう?」

「シロってなんだ? ここは学校の東西の森だろう」

「ガッコウ? なんだそれは。あまりふざけていると、ただでは……」

(いや、こんな私そっくりな顔の奴が私の国にいれば噂をきかないわけがない。ここは世界の切れ目だったな。この方向にかつてあった国は確か……まさかな……)

「あなたは錬金術師か?」

レアードは金髪の少年に尋ねた。

「なに当然のこと言ってんだ? ここは錬金術師の国なんだから当然だろ」

彼の答えを聞きレアードは確信した。

「なんだよ。なに驚いてんだ? お前だって錬金……」

「いいか、よく聞け」

「な、なんだよ」

金髪の少年の言葉をさえぎりレアードは説明を始めた。

「約五百年前にあなたの国は空間ごと切り離された……そうだな?」

「そうだけど。あなたのって……?」

「やはりな……。実はその頃、隣の国も同じように切り離されたんだ」

「うそだろ? 隣の国って言えば魔術師たちの国だ。俺たちの国を切り離したのは魔術師なんだろ?」

「魔術師たちも、あなたたち錬金術師たちが切り離したと思っているよ」

「え? お前……もしかして……」

「私は魔術師たちの住まう国の王子だ」

「てことは……」

一瞬間が空いてレアードは答えた。


「そう、世界は繋がったんだ」




 ある日の朝、ある国の国王陛下と妃が朝食の席に着いていた。いつも通りの豪華な食事が彼らの目の前の大きなテーブルにところせましと置かれている。

「レアードはどうした? まだ起きてこないのか?」

国王は少し不機嫌そうに言った。

「しかたありませんわ。ここのところ少し疲れているようでしたし」


   コンコン


「お食事中のところ失礼します!」

取り乱した使用人が部屋に飛び込んできた。

「なんだ騒々しい」

「申し訳ありません。ですが、レアード王子が……!」

「レアードがどうした?」

「レアード王子が消えてしまわれました。城内をくまなく探してもどこにもいらっしゃらず、警備の者も外には出ていないと言っております」

国王は立ち上がり窓から外を見まわし、何かを見つけると笑みを浮かべ拡声の魔術を使った。

「ようやくこの時が来た。今こそ例の計画を実行する時が来たのだ。全員、行動を開始せよ。計画について知らされていない者は待機とする」

国王の声が城内に響き渡り、城内は奇妙な活気に包まれた。妃と使用人たちはただ唖然としていた。




 ゲオルグは授業が終わるとすぐにフラメルに駆け寄った。

「フラメル先生、ヘルメスのことで相談があるのですが」

「どうした? そういえば今日は休みのようだが。奴がいないと授業も平和に終わるな」

「昨日の帰り道に僕と森で別れてから家に帰ってないらしいのです。一緒に探してもらえませんか?」

フラメルは古い本を取り出し何かを調べてからゲオルグを品定めするように観察した。

「ついてこい、ゲオルグ。ヘルメスについて心当たりがある。少々面倒なのでお前の力を借りたい」

「わかりました」

フラメルの狂気を帯びた目に気づかずに彼は即答した。

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