第一章 錬金の子
もちろんフィクションです。まじめに書いておりますが質は保証いたしません(超ド素人故に)。忙しさとタイピングの遅さから更新も遅くなると思いますが暇つぶしにでも読んでいただけると幸いです。あと否定的なものでも感想など頂けるとありがたいです(本音:一人暮しなんで寂しいわけです。人との関わりとか欲しいんですよ。ホントに)。どうかよろしくお願いします。
第一章 錬金の子
のどかな午後、日は高くそよ風の音とともに少年たちの話し声が聞こえる。
三十人ほどの子どもたち(十三、四歳くらいであろうか)が、三十歳くらいの男の話を聞きながら楽しそうに、かつ慎重そうに何かの作業をしている。
「さすがに三年目にもなると」
男が少年たちの作業を見ながら言った。
「熱素の扱いも手慣れたもんだな」
ボンッ
男が言った直後に一人の少年の目の前から小規模な爆発が起こった。
男は「またか……」というような呆れた表情をした後、すぐに厳しい顔になりその少年を怒鳴りつけた。
「またお前か、ヘルメス!いまだに熱素をまともに扱えないのはお前だけだぞ!」
「違いますよ、フラメル先生。この器材が勝手に……」
ススで顔が真っ黒になったヘルメスと呼ばれた少年は口から黒い煙をはきながら反論した。ヘルメスの近くには、最初から爆発が予想されていたのか、人はいない。
「そんな訳がないだろう。先生はここで錬金術の授業を受け持って六年近くになるが、お前ほど失敗の多い奴ははじめてだ」
男はため息まじりにつぶやいた。
「先生の説明が足りないからですよ」
「お前以外の生徒はみんなできているぞ」
「じゃあ僕の近くで指導してくれるとか……」
「それで何人の先生を病院送りにした?」
「……えーと……二人……?」
「……かける?」
「……六」
ふたりのやり取りをまわりの生徒たちはニヤニヤしながら聞いている。
ひとりを除いては。
「先生、授業を進めてもらえませんか?」
ひとりの生徒がイライラした口調で言った。
「ん? ああ、すまないなゲオルグ」
「では授業を再開する。ヘルメスはきちんと掃除をしてからだ」
授業が終わり、ヘルメスはゲオルグと学校を出た。汚れはまだ取れきれていない。
「金、金、金ってみんなバカみたいだ」
ヘルメスはつぶやいた。
「金なんて創っても売る国はもうないってのに」
現在からおよそ五百年前、彼らの国は世界の空間から切り離された。原因については高名な錬金術師たちの間で日夜議論されているが不明である。
「金を創るだけが錬金術じゃないだろう」
隣を歩いていたゲオルグが反論した。
「あらゆる病を治す薬を創ったり、空を飛べる道具を創ったり、金だって創れれば金をめぐっての争いを無くせる。錬金術はこの国を平和にするんだ」
ゲオルグは嬉しそうに言った。
「僕にはそんな目標があるのに君は授業で邪魔ばかり……」
「悪かったよ。頑張ってこの国を平和にしてくれ。じゃあ、俺はあそこの森の川で体を洗ってから帰るから。親にまた爆発させたの知られると、今度は親が爆発するからさ」
ヘルメスはうんざりしたようにそう言って家路の途中の森の中に急いで入って行った。
「くだらないシャレを考えるんならもう少しマシなことを考えてくれよ……」
残されたゲオルグはつぶやいた。
森の中に入るとヘルメスは川の方向に走った。ほとんど毎日来ているだけあって木ばかりでも迷わない。彼は川で体を洗い、あらかじめ用意してあったスペアの服に着替えた。
真っ黒だった彼の髪は金色に戻り、鋭い青色の眼が輝きを取り戻した。少し高い鼻、薄い唇、スラッとした顔は美少年そのものだった。
(……あれ?)
ヘルメスがなにげなく来た方向とは反対の岸に目をやると泉が見えた。
(あんなところに泉なんてあったかな?)
普段と違う風景に戸惑いつつも、好奇心からそっと泉に近づく。
すると泉が突然発光した。