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<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

記憶喪失になった悪役令嬢と、記憶喪失になった「彼女」に寄り添う王子の話

「君の名前はノエル・ハーパーだ」

「君は17歳だ」

「君は東方の平民の娘で、特例でこの学園に入ってきた」

「君は一ヶ月前、学園で大怪我を負った」

「君と僕とは婚約者だ」




ベッドの側で私の手を握りながら繰り返される彼の言葉。

その言葉はいずれも張り詰めていて、必死さの滲む声だった。

だが、繰り返されるその声は、砂漠に水たまりを作ろうとするような不毛さがあった。


彼から何度言われても、真っ白になった私の頭は何も思い出すことはない。

思い出そうとすればするほど、強かに打ち付けた頭の傷の痛みがぶり返すだけだ。


私の頭からは既に包帯が取れていたし、腫れ上がっていた額も、すっかり元通りになったのは、自分の顔についての記憶がなくてもわかる。

だが、その時に消えてしまった記憶までは、怪我とは違って簡単には癒えてくれなかった。


私が首を振ると、ベッドの横にいる青年は悲しそうに目を伏せた。


「僕のことも――思い出せていないんだよな……」


頷くしかなかった。

青い瞳に美しい金髪。

見目麗しい青年であると思う。

こんな状態の私を一日となく間を開けずに訪ね、付き添ってくれているのだから、優しい人なのだともわかる。


だがそれは「わかる」とか「思う」ことで、「思い出す」ことではなかった。



私の名前はノエル・ハーパーだ、と彼は言った。

一ヶ月前に大怪我を負い、短期間ではあるが生死の境をさまよっていたらしい。

そして再び目が覚めたときには、私の脳髄からは何もかも失われていた。

自分がなんという名前なのかも。

自分が何歳で、一体どこの人間で、何者であるのかさえも、一切だ。


私を診た医者は首を振るだけだった。

これが短期的な記憶障害で終わるか、それとも不可逆的なものなのか、それすら彼にもわからなかった。

だが私の婚約者であるというこの人は。

この国の第一王子・アーサーは、私を諦めきれなかったらしい。

彼は病院にいる私に日参しては、教科書だの絵だの音楽だの香水だの、様々な話題を持ち出しては、失われた私の記憶を取り戻そうとしてくれた。

だが、目を覚ましてから一ヶ月が経った今現在、それら全ては全くの徒労に終わっていた。


「何故私は怪我をしたんですか?」


当然、私は何度もそうアーサー王子に問うた。

その度に、アーサー王子は少し気まずそうな顔をして言うのだった。


「君は階段から落ちたんだよ」


何かを隠しているとしか思えない歯切れの悪さだ。

だが不審に思った私が更に問い詰めても、「階段から落ちた」の一点張り。

何も覚えていない私がそれ以上追求できるわけもなかった。


三月経っても、私の記憶は戻ることはなかった。


これ以上はここにいても仕方がない、日常生活を送る中で記憶を取り戻す努力をした方がいいでしょう――。


確証も保証もありませんが、という気弱な一言を付け加えて、医者はそう言った。

とにかく怪我が癒えた私は、医師のすすめにしたがって退院することを選んだ。



王宮で療養しようという王子の誘いを断り、私は、私が在籍していたらしい魔法学院の寮にアーサー王子と戻ってみることにした。


これ以上、彼の献身を無駄にするわけにはいかない。

自分が何者であるかわからないという、不安すぎる状態も脱したかった。

私がこうなる直前、ノエル・ハーパーという少女だったときの生活を見れば、自分が何者であるか思い出せるかも知れない。

そんな縋るような思いを胸に、私はアーサー王子と共に魔法学院へ戻った。


私が学院に入るなり、数人の令息令嬢たちが心配そうに声をかけてきてくれた。

大丈夫? とか、もういいの? とか。

答えに窮している間に、私はあっという間に十数人に囲まれてしまった。

これ以上、彼らや彼女らにいらぬ期待をもたせたくはなかった。

私が記憶を失っていることを話すと、皆一様にショックを浮かべた。

中には、顔を覆って泣き出す令嬢もいたぐらいだ。

どうやら、こうなる前の「私」は、なかなかの人気者だったらしい。

そのことに少しだけ安堵を覚えて、私はノエルが寝起きしていたという部屋へと向かった。


一歩足を踏み入れるだけで、ノエルが几帳面な性格だったことがわかった。

それぐらい、決して広くはない学院の一人部屋はきちんと整頓されていた。


「なにか思い出せたら言ってくれ」


アーサー王子は、不安と期待が入り交じる表情で私を見た。

こういうとき、記憶を失ったものはなんと言うべきなのだろうか。

がんばります、とか。あるいは、必ず思い出しますわ、とか。

だが、どちらの確約も今の私にはできなかった。

わかりました、と私は小さな声で言って、私は「ノエルの部屋」へと踏み入った。


一番面積をとっているのは、大きな机だ。

その上に乗っているのは、文字盤の割れた時計と、日記帳だけ。

それらを見た瞬間、私は強い頭痛を知覚した。


「う……!」


まるで鉄の棒を突き立てたような鋭い痛み。

思わず、意識が混濁した。


「どうした、ノエル!?」


頭を押さえて苦しそうにする私を、王子が背後から抱きかかえた。


「ええ、大丈夫です――ちょっと頭が痛んで……」

「机を見た瞬間にかい? 顔色が悪いぞ、少し休もう」

「いえ、いいんです……もう少し調べさせてください」


机を目に入れた瞬間に生じた頭痛。

それは言うなれば、強い拒絶の感情そのもの――。

この机を見ていたくはない、という、非常に強い拒否の念だった。


ノエルは、ここに何かを隠している。

私はそう確信した。


私は机の上のノエルの日記帳を開いた。

少し、深呼吸してみるが、拒絶の感情は湧いてこなかった。

どうやらこの日記帳の中身に対してではないらしい――。

ぱらぱらと斜め読みしてみるが、やっぱりその文章にも、書かれている出来事にも、覚えはなかった。


だが――同時に私は違和感も感じた。

その違和感の元が何だったのかはわからない。

その違和感はページを繰れども繰れども消えてはくれない。

むしろますます膨らんで、私の空っぽの頭を内側から圧迫するようだった。

何故だろう、なんでこんなに違和感があるんだろう。


私――すなわち、この部屋で寝起きし、この部屋で暮らしていたはずのノエル。

こうなる前の私は一体何者であり、どんな日常を送っていたのか。


ふと――日記帳から一枚の手紙が落ちた。


「手紙?」


アーサー王子がそれを拾い上げ、私に手渡してくれた。

拾い上げてみると、一枚の便箋だった。

そこにはたった一行、こう書かれていた。




『もう生きていても仕方がない。私はアーサー王子を殺し、あの世で永遠に彼と添い遂げます アレクシア・バートレット』




ぞっ、と、私の背筋が凍った。


アーサー王子は――誰かに殺されかけていたのか。

明らかにその手紙は、ノエルの筆跡ではなかった。

何故ノエルがこんな手紙を持っているのだ?

アレクシアとは――一体誰だ?


「どうしたんだ、ノエル。顔色が悪いぞ、何が書いてあったんだい?」

「え――? あ、いえ、なんでもありませんわ! ただ、ちょっとこれは見られたくない内容なので――申し訳ございません」


そう言って、私は便箋を折りたたんだ。


そう言えば――と私はアーサー王子の顔を見ながら思った。

思えば、私がこうなった理由を、アーサー王子は一度も詳しく語ったことがない。

ただただ『階段から落ちた』と言い張るだけだ。


そこに、詳しくは語れない事情、語りたくない真実があるのだとしたら。

あのアーサー王子の歯切れの悪さにも納得がいった。


震える手で、私は便箋をポケットに押し込んだ。



「なにか思い出せたかい?」


アーサー王子が気遣わしげに訪ねてきた。

私が力なく首を振ると、アーサー王子は、そうか、と呟いてため息をついた。


「殿下、アレクシア様とはどなたでしょう?」


その問いに、アーサー王子の目が虚空を泳いだ。

まるでその質問自体が予想外だったというように、アーサー王子は驚きの表情で私を見た。


「何故――彼女が気になるんだい?」

「え? いえ、あの――私の日記帳にアレクシア様という方がよく出てきましたので……」


私は咄嗟に嘘をついた。

嘘をついたが、その嘘が全面的に通用するわけはないだろう。

何しろ、私はそのアレクシアという人物について、一切の記憶がないのだから。


アーサー王子は一瞬だけ辛そうに顔を歪め、そして言った。


「アレクシアは――僕の婚約者だった人だ。彼女はバートレット公爵の令嬢だった」


公爵令嬢――その言葉に、私の中の疑念がひとつ溶けた気がした。

聞くところによると、ノエルは東方の身寄りのない孤児だったという。

そんなどこの馬の骨とも知れない娘が、この国の未来そのものである王子と婚約なんて、どう考えてもおかしいことに違いなかった。

元々、王子は私ではない、そのアレクシアという人物と婚約していた。

であればその婚約は――どうなったのだ?


「僕は――アレクシアとの婚約を破棄したんだ」

「え――?」


予想外の言葉に、私は単純に絶句してしまった。

アーサー王子は疲れたような目で言った。


「最低な男だと思うだろう? でも仕方がなかった。僕は――この学院で君と触れ合っていく中で、婚約者のアレクシアではなく、君を愛してしまった。僕は君と出会って真実の愛を知ったんだ。僕は彼女と話し合って、婚約を破棄したい旨を告げた。僕はケジメをつけるために、父王に王籍離脱を申し出ると言った。最終的には――彼女も納得してくれた。だが彼女は学院にはもういない。僕がそういうことをしたせいで、彼女は学院を辞めてしまった」


最終的には、ということはつまり、アレクシアはそれを望まなかったということだ。

相手は公爵令嬢である。王に次ぐ権力を持つ有力貴族が公爵家であるはずだ。

如何に王子とはいえ、その公爵令嬢との婚約を一方的に破棄し、平民の娘と婚約し直すなんて――正気の沙汰とは思えない行為だ。


私はアーサー王子を、今までとは違う視線で見た。

善意と献身の塊とばかり思っていたこの青年が、そんな無責任なことをしでかすなんて。

そして、たかが平民の娘と引き換えに、王籍を捨てて下野を願い出るなんて。

もっと言えば、ノエルもノエルだった。

真実の愛とやらに目覚めたのか、それとも将来の王妃の座という玉の輿に目がくらんだのか。

いずれにせよ、世間的には全く通らないことをやらかしたには違いはない。


だからアレクシアはノエルを殺そうとした。

婚約者を奪った憎き泥棒猫として。

婚約者の心が戻ってくることを期待して。

人を使ったのか、はてまた本人が手を下したのか。

この学園でノエルを思い切り階段から突き飛ばした。

そして己の醜い嫉妬心を恥じたのか、それとも露見することを恐れたのか、学院を退学した。

真相はそういうことなのか――?


「ノエル、僕を見てくれ」


突然、アーサー王子が強い言葉で言い、私の肩を抱いた。

王子の青い瞳は、真剣そのものの目だった。


「僕は優柔不断で、約束ひとつ守れない最低の男かも知れない。でも、僕の君に対する気持ちは本物だ。僕は君さえ側にいれば――王子の座なんてどうでもよかった。勝手なことかも知れないけれど、僕はそれぐらい真剣なんだ」


嘘はない言葉と口調だった。

私もアーサー王子をまっすぐに見た。


「そして、君も僕と同じように思ってくれていたことを、僕の婚約者になることを了承してくれた君を――なんとしても取り戻したいんだ。頑張ってくれるかい?」



真実の愛――。

そんな言葉にバカ正直に頬を染めるほど、私は少女にはなりきれなかった。

だが、血を吐くような彼の言葉を無碍に出来るほど、冷酷にもなりきれなかった。


結局私は、濡れた服を着たような違和感と不快感とを抱えたまま、日常生活に戻ることになった。


それから一月の間、私はノエルの部屋で寝起きしつつ、私物を色々と検めてみた。

どれも大した情報はなく、なくなった記憶が思い出されることもなかった。


『アーサー王子を殺し、あの世で添い遂げたい』――。


夜、ベッドの上で、私はそう書かれた手紙を眺めていた。

何故あんな手紙が、自分の日記帳に挟まれていたのか。

アレは本当に、学園を退学したアレクシアが書いたものだったのだろうか。

いや、そんなわけがない。

アレクシアにはアーサー王子を殺す動機はある。

ああいった遺書めいた手紙を書き残すことはあり得るだろう。

だが、だからといって、わざわざあの遺書のような手紙をノエルの部屋に忍ばせる理由は全くない。


ならばあれは――どう考えても、記憶を失う前のノエルが書いていたことになる。

他人名義の遺書などをわざわざ捏造して書く意味がわからない。

私、いや、ノエルは――王子に、そしてアレクシアに、一体何をしようとしていたのだろう。


そして一番わからないのは、私が知らない、アレクシアという女性そのものについてだ。

後でよくよく読み返してみれば、私の日記帳にはアレクシアの名前が数回出てきていた。

そのいずれもが、決して友好的ではなさそうな内容で。


アレクシア様に嫌味を言われた。

アレクシア様が私を突き飛ばした。

大勢の前で生まれの卑しさを論われた――。

たった数行であるが、そんな事が書かれていた。


そりゃそうだろう。

私はアレクシアから婚約者を奪った、憎き浮気相手なのだから。

アレクシアが私を殺そうとしていたなら、それは致し方がないとも言える。


だが、あの手紙はなんなんだろう。

あの手紙に、私への恨みつらみが書かれていたならまだわかる。

だが、書かれていたのは遺書めいた内容の、しかもアーサー王子を殺そうとする内容だった。

アレクシアは私ではなく、アーサー王子を殺そうとしていたのだろうか。

そのうちに気が変わり、泥棒猫のノエルを先に始末しようとしたのだろうか。


結論から言うと、そんなことは不可能な気がする。

学園の階段はどれも見晴らしがよく、人気の多い場所にあり、誰かに見られずに人を階段から突き落とすことなど不可能に思われた。

「君は階段から落ちた」と、アーサー王子は私に繰り返しそう説明している。

だったら、学園に行った時点で、学園の令息令嬢たちからその手の話や質問が出てくるはずだ。

どこの階段から落ちたのか、とか、階段から落ちて大怪我したけど大丈夫だったのか、とか。

しかし、学園の令息令嬢たちはそんなことは一言も発しなかった。

そもそも彼らは、ノエルがどこの階段から落ちて怪我をしたのか知らないのではないだろうか。

いいや、もっと言えば――ノエルが何故大怪我をしたのか、彼らには知らされていないのではないだろうか。

何故だ。


そこまで思いついて、なんだか嫌な予感がした。

と、そのときだった。

部屋のドアがノックされた。


失礼します、と優雅に一礼して入ってきたのは、この学園のメイドだった。

お薬の時間です、と静かに言い、彼女は医者から処方された薬を私のベッドサイドのテーブルに置いた。


私は彼女をそれとなく観察した。

年の頃は私より下だろうことは予想がつく。

とても線の細い、見るからに繊細で気弱そうな女性だった。

私は意を決して尋ねることにした。


「あなたにちょっと訊きたいことがあるのだけれど……よろしいでしょうか」


なんだか、奇妙な言葉になった。

下野する予定とはいえ、自分がゆくゆくは王家に連なる人間になるという事実と、今はただの記憶喪失の娘である事実。

そのどちらも折衷でいこうとしたのだが、それは信じられないぐらい不自然な言葉になった。

当然、メイドの女性は怯えたように私を見た。


「……なんでしょうか――ノエル様」


メイドの女性の顔に浮かんでいるのは、恐怖だった。

やはり口止めされている、と私は感じた。


「私、どうして怪我をしたの? 殿下が言う通り、本当に階段から落ちたの?」


思った通り、女性は目線を逸した。


「……そのように聞いております」

「嘘よね? 私は階段から落ちたんじゃない、そうでしょう?」

「私には何も申し上げることはできません」


メイドの女性は明らかにその質問から逃げようとしていた。

私は薬と水差しを置いて出ていこうとする女性の手を握り、「お願い」とうつむけた顔を覗き込むようにした。


「私は本当のことを知りたいんです。お願いです、話していただけませんか?」


これでダメなら、訪ねる相手を変えるしかない。

だが、女性の瞳が迷ったように揺れたのを、私は見逃さなかった。


「私、自分に何が起こったのかもう気づいてます。私は階段から落ちたわけじゃない、そうでしょう? 記憶を取り戻すためにただ答え合わせがしたいだけなんです、お願い!」


女性は瞬時迷ったように目を伏せてから、意を決したように言った。


「これから言うのは、私の独り言でございます――」


女性はごくり、と唾を飲み込んでから、小さな小さな声で言った。




「ノエル様は――半年前の深夜、この学園の四階から転落されたそうです。自殺を図ったのだと、私たちは噂しておりますわ――」



自殺。

予想外のことではなかった。

いやむしろ、それしかないとさえ思えた。


私――ノエルは自殺を図ったのだ。

そして死にきれず、大怪我を負って記憶をなくした。

そうでなければ、記憶を思い出させようとしているのに、その最終地点である事故の話をアーサー王子が話さないのはおかしい。

だから、ああいう端切れの悪い返答になるのだ。


だが、それによってノエルの記憶の謎は深まった。

そもそも、ノエルが自殺を図ったのは何故なのか。

そして、『あの人を殺し、あの世で永遠に添い遂げたい』という、あの遺書。


私はベッドの置かれている部屋を見渡した。

婚約者となったノエルが使っていたという私室。

見覚えはないが、違和感はあった。


なるべく目を向けないようにしている、自室の机。

文字盤の割れた時計だけが置かれているだけで、他には何もない。

だが、それを見る度に、私は強い忌避の感情を覚えた。

それを見たくない。

閃光のように拒否感が走る。

あそこにはなにもないはずなのに。

机の中は何度も探ったが、なにも手がかりはなかった。

なのに、何故こんなに嫌な気持ちになるんだろう。


ふと――私はあることを思いついて立ち上がった。

目眩を堪えながら机の前に立ち、すう、と深呼吸をする。


抽斗を開け、中を見てみる。

いろんな資料や雑貨が詰め込まれた抽斗。

私はよくよくそれを観察した。


おかしい、抽斗にはもっと深さがあるのに、底が浅すぎる。

二重底、ということだろう。

私は底を取り外した。


「なによ、これ……」


私は驚愕に目を見開いた。

そこに転がっていたのは、小さなガラスの瓶だった。

取り出して蓋を取り、少し匂いを嗅いで見るが、匂いはない。


ふと――私はベッドサイドにある食器を見た。

薬と水差しの置かれたトレイは銀製だった。


私は確信的に、そこへ瓶の中身を一滴垂らした。




途端に、銀が真っ黒に変色した。




これは――毒だ。

何故こんなものがノエルの抽斗の中にある?


この机を見る度に覚えていた違和感。

『あの世で添い遂げる』――という、アレクシア名義の遺書。

誠実なアーサー王子が婚約を破棄してノエルに走った不自然さ。

そしてこの毒――。




私は、私はまさか――。

頭の中に不穏な想像が渦巻いた、そのときだった。




「ノエル――!」




急に声をかけられて、私は慌てて振り返った。

アーサー王子が、ドアノブに手を掛けたまま、呆然と私を見ていた。

そしてその視線が私の顔から、手に持った瓶へ移動する。


「それを――見つけてしまったのか」


何だ? 一体何だ、この表情は。

私は一体何を発見してしまったのだ。


アーサー王子は一瞬目を伏せた後、つかつかと私に歩み寄ってきた。


なんだ。

彼は何を知っている?


己が何者なのかわからなくなる恐怖に、私が声を上げようとしたときだった。


ふと――彼が私を優しく抱き締めた。


突然のことに、私は言葉を失った。

彼は静かに言った。




「ノエル、お願いだ――ここから逃げてくれ」





「逃げる?」


私は彼に訊ねた。

彼は私を抱き締めたまま、震える声で話し始めた。




「実は――君は僕を殺すために学園に入学し、僕に近づいた。記憶を失う前の君は――暗殺者だったんだ」




暗殺者。

その言葉に、私の心臓が握り潰されたように収縮した。




「半年前のあの日――君は僕を呼び出して、僕に全てを打ち明けた。私は暗殺者に雇われた人間だ、アレクシアと僕の仲を引き裂き、婚約を破棄させた上で、嫉妬に狂ったアレクシアの犯行に見せかけて僕を毒殺する計画だったと。全ての罪をバートレット家になすりつけることで、王家とバートレット家を決定的に対立させるために、君はここへ送り込まれたと……」




信じられなかった。

自分は――ノエルはそういう密命を帯びていたのか。


『あの世でアーサー王子と永遠に添い遂げる』――。


あの手紙は、事態を一層深刻化させるための小道具。

アレクシアがノエルへの嫉妬に狂うあまり、王子を殺害したと思わせるために捏造した小道具だったというのか。




「僕には君が理解できなかった。君がそういう人間だったことも、僕とアレクシアを対立させようと故意に僕に近づいていたことも、なにひとつ信じられないのに、僕にすべてを話してしまった君が、僕には一番理解できなかった」




私はすべてを悟った。

そう、ノエルはきっと――この男に本気の想いを抱いてしまったのだ。

今の自分と同じように。

献身的で真摯な彼に、使命を忘れて惹かれてしまった。

自分は手を下せないことに気づいてしまった。

そしてノエルは悩んだ末に――彼にすべてを話してしまった。




「全ての真相を知った後、僕はそれでもいい、と言った」




ぎゅっ、と、アーサー王子が抱き締めてくる力が強くなった。




「僕は君を愛してしまった。たとえ君にどんな事情があったとしても、君が許してくれるなら、僕は君の側にいたかった。いや、君に殺されたいとすら――」




ノエルは震えた。

そんな馬鹿なことをこの人は考えていたというのか。

くだらない争いに一方的に巻き込まれた被害者のくせに。

それなのに、何故そこまで――。




「君は納得しなかった。僕の隣にはいられないと君は言った。私はあなたを殺そうとした。暗殺を命じた人間も決して私のことを許さないだろう。これ以上あなたの優しさに甘えたくない、あなたに迷惑はかけられないと言って、君は窓から――」




そこから先を、アーサー王子は言い淀んだ。

私は窓から落ちた。

否、身を投げたのだ。

そして大怪我を負い――記憶を失った。


王子は私から身体を離し、私の目を真っ直ぐに見て懇願した。


「ノエル、逃げてくれ。暗殺者はいずれ君を始末しようとするだろう。いつまで君の記憶が失われたままなのかわからない。思い出す前に君は殺されてしまう。だから逃げてくれ。僕は君が生きていてくれれば、もう何もいらない――!」


アーサー王子の目が真っ赤になった。

私の頬から――涙がこぼれ落ちるのを知覚した。

さぁ早く、というように、王子は私の身体を揺さぶった。


「ノエル、君のことは決して忘れない。後のことは心配するな、僕がなんとでも説明する! 二度とここへ戻ってきてはいけないよ! さぁ早く!」


私――「ノエル」は強く首を振った。


「ノエル――!」


私は――私にはそんなことはできない。

私は卑しい暗殺者。

決して許されていい人間ではない。

そして――彼がいない世界に生きることなど――。

もはや考えられなかった。


私は彼の色を失った唇に、一度だけ口づけた。

王子に隙を生じさせるためだけの、短いものだった。


突然のことに固まっている隙に王子の手を振り払い、私は立ち上がって窓際に駆け寄った。


「ノエル、何を――!」


アーサー王子の目が驚愕に見開かれた。

私の涙はもう止まることがなかった。


「――私には、そんな資格はありません」


ノエルもきっとそう言っただろう。

私は窓を後ろ手に開け放ち、窓枠に腰を乗せた。

アーサー王子が呆然とそれを見た。


「ノエル――!」

「お慕いしておりました、アーサー王子。私も、きっと、ノエルも――」


だから、死なせて。


私は窓枠から身を躍らせた。


一刹那の間。

虚空に投げ出された私は、空に浮かんだ月を見た。

美しい弧を描く半月の月。

その途端、真っ白だった私の頭が、なにかの像を描き出した。


半月状に弧を描く光。

光?

それが私の頭に吸い込まれた。

あの日、私は誰かに殴られた――。


あの机の中。

あの机を見た時に感じた忌避感。

私は王子を暗殺する毒のことを忘れようとしていたのか。


いや、違う。

私は――あの机の中身ではなく。

あの上に乗っている時計に、強い嫌悪感と恐怖を覚えたのだ。

文字盤が割れた時計。

あの時計が私を。

あの時計で、私を。

一体――誰が?




思い出す前に、ブツッと音を立てて、私の意識は途切れた。





僕――アーサーは慌てて窓から下を見た。

完全に事切れたノエルが、そこにいた。

ぼんやりと虚空を見つめて、頭から血の花を咲かせて。

今度こそ、彼女は死んだ。


「ノエル……」


僕は彼女の名前を呼んだ。

彼女はもう、何も言うことはなかった。




お慕いしていた、と、さっき彼女は言った。

きっと、ノエルもそうだった、と。




いや――それは「彼女」の勘違いだ。




僕はため息をついた。

そして事切れている彼女から視線を離し、部屋の中を見回った。

毒を窓の外に捨て、瓶は誰の目も届かない植え込みへと放った。

予め用意していた、彼女名義の遺書を机の上に置いた。

無論、彼女の筆跡を真似て、僕が書いたものだ。


僕は時計を取り上げた。

文字盤が割れて、時が止まっている。


あの日、彼女を殴りつけた時計。

僕が彼女を殺そうとした――否、殺したという、動かぬ証拠。

これをここに出しっ放しにしておくのは危険なことだった。

だが、ノエルはこの時計を見る度に、時計そのものではなく、その下にあった机に対して強い忌避感を覚えていたようだ。

記憶を失った彼女は、その忌避感がその抽斗の中身を思い出すことへの忌避感だと、最期まで上手く勘違いしてくれていたようだ。

一か八かの賭けに、僕は勝ったと言っていいだろう。


僕は時計を取り上げて、嘆息した。

割れた文字盤からは既に何度も血を拭き取ってあった。

だがあの日の苦々しい記憶は、何度拭き取ってもこびりついて離れなかった。




『あんたと婚約? 馬鹿なことを言わないで』――。




あの日、ノエルは僕の求婚に、小馬鹿にしたようにそう答えた。


予想外の返答に、僕はノエルに詰め寄った。

僕はアレクシアとの婚約を破棄した。

それなのに何故だ、と僕は喰い下がった。

ノエルは、好き勝手に僕をなじった。




あんたなんかになんで私が惹かれると思うの?

ナヨナヨしてて、優柔不断で、鬱陶しくて。

婚約を破棄する代わりに王籍離脱を申し出た?

あんたのそういうお人好しなところが嫌いなのよ。

この二年間、必死になって演技してきたのに。

やっとアレクシアから引き剥がせたと思ったのに。

全部全部無駄になったじゃないの。

とにかく、もう二度と私に親しく話しかけてこないで。

王子じゃないあんたなんかこっちから願い下げよ――。




彼女の答えがそれだった。


怒りよりも、絶望が強かった。

ノエルと一緒にいられるなら王籍を離脱してもいいと、真剣に思っていたのに。

僕は何を犠牲にしてもよかったのに。

ノエルは、王子ではなくなった僕を愛してはくれなかった。

僕には――それが耐え難いぐらい辛いことだった。


気がつけば、僕は時計を掴み、背後からノエルに殴りかかっていた。

悲鳴も上げずに昏倒したノエルの頭から、凄い勢いで血が流れ出た。

不思議なほどに、動揺もなにもなかった。

僕はノエルを担ぎ上げて、窓の下へ――。


だが――ノエルは生きていた。

ノエルからは、すべての記憶が失われていた。


僕はたった半年の間だけ、ノエルではない「彼女」の婚約者として、側に寄り添うことが出来た。

でもそれは、架空の生活だった。

ノエルは僕を拒絶した。

僕はノエルの婚約者ではなかった。

それなのに――僕は結局、「彼女」との偽りの平穏に溺れてしまった。


幸せだった反面、いつも僕には恐怖がつきまとった。

いつか彼女は僕のしたことを思い出すだろう。

そうなれば――「彼女」は必ず「ノエル」に戻る。


真実が露見することも怖かった。

でもそれよりももっと、「彼女」が「ノエル」に戻るのが怖かった。

気が狂いそうなほど――怖かった。


だから僕は、彼女の偽の記憶を捏造した。

ノエルが僕を暗殺するために送り込まれという、偽の記憶を。


机の抽斗に細工をして二重底に毒薬を入れた。

アレクシアに関する日記の記述を偽造して、アレクシアと不仲だったように思わせた。

アレクシアの遺書を、ノエルが偽造したものであるかのように日記に挟み込んだ。

彼女に身寄りがないのをいいことに、僕は架空の物語を作り上げた。

献身的に付き添い、記憶を取り戻させるふりをして、僕はゆっくりと彼女に偽のノエルを刷り込んでいった。


そして、それの極めつけとなる、先程のダメ押しの演技。

真っ白になった頭に情報を詰め込まれた彼女は、すっかりと僕の言うことを信じた。

彼女は本当に自分が暗殺者であったと信じ切り――。

そして、その事実に耐えきれずに身を投げた。


死なせるつもりはなかった――といえば嘘になる。

でも、彼女が偽の記憶を持ったまま遠くへ行ってくれれば、僕はそれでもよかった。

もう二度と「ノエル」の顔をした「彼女」を見なくていいなら、僕はそれでもよかった。

もしそうなっていたら、僕はこの偽造した遺書を破り捨てるだけで済んだのに。


「愛しているよ――」


僕はノエルではない「彼女」に、そう呟いた。

彼女は、もう永遠に戻ってこない。

僕の愛した人は遠くへ行ってしまった。

否――嫉妬と悲しみに狂った僕が、そこへ彼女を追いやったのだ。


僕は時計を床に叩きつけた。

時計は大きな音を立てて粉々に砕け、消滅した。

後は僕が大声で叫べば、誰かがやってきて、全ては終わるだろう。



ノエルの葬儀が終わって、一月が経過した。

僕はぼんやりと窓の外を見ていた。


あの日、ノエルが身を投げた窓。

愛している、と言ってくれたノエルを、僕が最期に見た窓。

僕はそこから、あの日と何も変わらない風景を見ていた。


結局、事は内密に処理された。

記憶を取り戻せない自分はアーサー王子の妃として相応くない。

そう苦悩した彼女が自ら死を選んだと、親しい者たちには報告された。

無論、それは僕が偽造した遺書に書かれた、偽の動機だった。


「殿下、ここにおられましたか」


年配のメイドは、気の毒そうに僕を見た。

婚約者が死んだことを受け入れられず、その部屋で物思いに耽る哀れな男――。

彼女の目にはそう映っているに違いない。


「朝食のご用意ができました」


ふと、ノックと共にそう言われて、僕はドアを振り返った。

あぁ、と声を上げた僕は、恭しく礼をしたメイドを見て、思わず言った。


「いつもの彼女はどうした?」


ノエルの部屋を担当していた、若いメイド。

今日僕を呼びに来たのは彼女ではなく、年配のメイドだった。

いつもの彼女、と言われて、年配のメイドは頷きながら言った。


「あぁ、彼女はノエル様の葬儀とともに学院を辞めましてございます。話では故郷に帰るとか――」


あぁ、と僕は曖昧に頷いた。

記憶を失う前のノエルと彼女は格別に親しかった。

歳が近いせいもあるのか、彼女とノエルはまるで本当の姉妹のようだった。

そのノエルがいなくなった今、学院にいる理由もなくなったのだろう。


僕は窓際の椅子から腰を上げて、青空を見上げた。

抜けるような青空が、後悔と喪失感にくすんで見えた。









「お嬢さん、ここらじゃ見ない顔だが、どこに行くんだい?」


ふと――荷馬車の主にそう訊ねられて、私は物思いを打ち切った。

目の前には漠と広がる草原と、青い山々だけがあった。


「西へ――バートレット公爵様の領地へ向かおうと」

「へぇ! バートレット公爵様のところへ! バートレット公爵様といえば西の一帯を治める大貴族だ。お嬢さんはメイドだって言ってたな、転職かい?」


私は苦笑を浮かべて曖昧にその返答を躱した。


あの日――私は全てを目撃していた。

ノエル様が暗殺者であると嘘をついたアーサー王子を。

その嘘を信じて身を投げたノエル様も。

王子が、偽造した遺書を机に忍ばせるところも。


彼女はアーサー王子に殺された。

そしておそらく――二度も。

私にはそれが許せなかった。

お互いに平民なこともあり、記憶を失う前のノエル様と私は仲が良かった。

否――本当の意味で、私はノエル様という生き方と、きっと同調していたのだ。




「私は卑しい生まれらしいからね。だから絶対に幸せになってやるんだ。高貴な生まれの人間に吠え面かかせて、そんで卑しい血の人間をボコボコ産んで、この国を卑しい血の人間だらけにしてやるんだから」――。




彼女は私によくそう言った。

私には、そんな彼女の強かさが眩しかった。

気弱な私と親しくしてくれたノエル様。

もっと他人を使って生きていいよ、そう励ましてくれたノエル様。

まるで実の姉のように慕っていたノエル様。


彼女の無念は必ず晴らす。

私はその決意とともに、学院を辞した。

必ず、アーサー王子に相応の責任を取らせる。

ノエル様の仇は、私が取るつもりだ。


私の手元には、一枚の紙がある。


いくらあの王子でも、自室でノエル様の遺書を偽造した時、その下に敷いていた白紙にまでは注意を払わなかったようだ。

おかげで私は、木炭を擦りつけて、その筆跡を写し取ることが出来た。


よくぞこんな言葉が並べられるものだと、胸糞が悪くなるような内容の遺書。

必死になって記憶を取り戻そうとしていた彼女を、最後まで裏切り、踏みにじる内容だった。

それを読み返す度に、ノエル様の無念を思って、私の目からは涙が溢れた。


学院付きのメイドだった女の目撃情報と、遺書が偽造されたものであるという証拠。

その2つだけで、バートレット家が、アレクシア様が、王家相手に事の真相を暴く気になってくれるかどうかはわからない。

だが、きっとその心配は無用だろう。


アレクシア様とノエル様は無二の親友だったから。

アーサー王子に婚約を破棄された後、ノエル様のことを考えて、アレクシア様はわざわざ学院を辞して身を引いたぐらいだ。


アレクシア様だって、彼女の事件の真相を知りたいと思っているだろう。

ノエル様が二度も見舞われた事故のことを不自然だと思っていることだろう。

そして、必ずや親友の仇を取りたいと思ってくれることだろう。


そう、全ては今始まる。

決して終わらせることは出来ない。




「待っていてくださいね、ノエル様――」




馬車に揺られながら、私は空を見上げた。


そこにいれば苦難など何もなさそうな青空が、どこまでも広がっていた。






ここまでお読みいただいてありがとうございました。

記憶喪失モノがバリバリ来ていると聞いてやってしまいました。

記憶喪失と言えばミステリーだろ、ということでこんなんなりました。


面白かった!

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[良い点] 面白かったです!!これをきっかけにミステリーにハマるかも。。。
[気になる点] 悪役令嬢ではないですよね? タイトルサギ?? それとも、王子を騙す=悪役 という無理やりな嵌め込みでしょうか… ノエルは悪役令嬢なのに、ヒロイン役を振られてるの?と思いながら読んでた…
[気になる点] タイトルの『記憶喪失になった悪役令嬢〜』 ですが、 記憶喪失 → ○ ノエル 悪役 → ? 役ではなく素で悪い子 令嬢 → × ノエルは庶民  アレクシスは令嬢だけど、特に…
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