◆浜松餃子
◆浜松餃子
新東名高速は最高速度120キロの区間も長く、飛ばすクルマも結構多い。
今回は、異世キャンプ場で知り合った方にお借りした、軽キャンで出雲を目指している。
ターボが付いているクルマではあるけど、キャンピングカーの重量は軽キャンには厳しいところがある。
まぁ、ゆっくり旅なので問題はないのだけれど。
このクルマは屋根が自動でポップアップするタイプで、なかなか気に入っている。
さらに後部の居住スペースへは、ウォークスルー出来てとても便利だ。
お金に余裕ができたら、ぜひ欲しい一台である。
新東名でこの先にあるサービスエリアは、浜松SAだ。
浜松は明治時代にうなぎの養殖に成功した養殖発祥の地であり、うなぎの有名店も多い。
しかし、浜松と言えばもう一つ、浜松餃子がある。
この餃子は、たっぷりキャベツと豚肉がとても美味しいのだ。
ということで、腹ペコのサキさんには、浜松餃子を食べてもらうことにした。
なぜ、うなぎではなく餃子なのかと言えば、この先の出費が幾らになるか分からないからだ。
それにサキさんは、餃子が大大大好きなのである。
実家では、3人家族で餃子100個は当たり前だったと変な自慢話しを聞いたこともあるくらいだ。
さて浜松SAまでは、約50キロくらいなので、この軽キャンでも40分くらいで着くと思われる。
浜松SAで浜松餃子を食べようとサキさんに提案してからは、サキさんが餃子の歌を作詞作曲して、助手席で歌い始めた。
「ぎょうざ♪ ぎょうざ♪ キャベツたっぷり、美味しいね♪ 焦げ目は、きなことおんなじ色よ♪」
にゃっ、にゃっ、にゃぁ・・
ふと、はしゃぐサキさんを見れば、なんと猫耳が歌に合わせて、ピョコピョコと動いているではないか。
「おわっ! サキさん。 耳、耳、耳がぁ~」
「えっ? きゃっ、たいへん」
サキさんが自分の猫耳を触って慌て出したら、耳がシュッと引っ込んでしまった。
どうやら、気持ちがウキウキしたりすると耳が生えてくるのかも知れない。
これは今後気を付けなければならない。 念のため、南アルプス天然水を追加で飲ませておく。
サキさんは、ウキウキを封印されたため、助手席で足をパタパタさせている。
心なしか頬もプクッと膨れているような・・・
これはSAに着いてクルマを下りたとき、不意なポコスカ攻撃に注意しなければならない。
それに、餃子を食べたとき、また猫耳が出現したらヤバイ。
悩んだ末、対策と言ってはなんだけど、たまたま持っていた こげ茶色のカチューシャを予めつけてもらった。
これなら急に耳が生えたときでも、何とか作り物に見えるだろう。
そうこうしているうちに、浜松SAが近づいて来た。
もう餃子が目の前にちらついているのだろうか、サキさんの目がキラキラし始める。
「蒼汰さん。 浜松餃子のタレってご存じですか?」
「前に一度だけ食べたことがあるんだけど、確かその時は醤油と酢にラー油と砂糖を少しだけ混ぜたような・・」
「まぁ・・ お砂糖ですか? それって甘じょっぱいタレですよね」
「う~ん。 どうだったかなぁ そんなに甘かった記憶はないんだけれどねぇ」
「そうなんですか・・」
「でもさ・・ 浜松SAのレストランのだから、万人受けする味にしてるんじゃないのかな?」
するとサキさんは、スマホを手にして信じられないくらいの速さでスマホを操作し始めた。
「蒼汰さん。 いまチャッピーで調べたら、浜松SAは有名な○松餃子が入っていて、少し甘めのタレって書いてありますよ」
にゃぁ
なぜか’きなこ’も知っていたかのように蒼汰を見てくる。
そして
「浜松餃子の上にのっている’茹でたもやし’も絶品にゃ」
と’きなこ’が言った?
んっ?
「サキさん! いま’きなこ’が喋らなかった?」
「いやですねぇ。 猫ちゃんが喋るわけがないでしょ。 蒼汰さんたら、運転疲れたなら次代わりますよぉ」
「う、うん。 ありがとう。 やっぱり気のせいだよね」
このあと俺たちは、軽キャンを駐車場にとめると、浜北軒へと突撃開始したのだった。




