◆いったいどうして?
◆いったいどうして?
おわっ! えっ? まさか・・ サキさんなのか?
にゃ~♪
た、たいへんだーーー!
俺は恐らく今まで生きて来た中で一番驚いたと思う。 心臓がバクバクいって、もう口から飛び出しそうだ。
なんでこうなった! 「南アル〇スの天然水」は、寝かせる前に飲ませはずだ。
しかも最終形態と言われていた「けもの化」を通り越して猫そのものじゃないか!
気が動転してもう少しで事故を起こしそうになるが、何とか近くのパーキングエリアに飛び込む。
今からでも「南アル〇スの天然水」を飲ませれば何とか元の姿に戻るかもしれない。
俺は大急ぎで荷室に積んである「南アル〇スの天然水」を取りに、クルマの外に出てバックドアを跳ね上げた。
んっ?
あ、あれっ?
サキさん・・・?
なんと目に前の荷室には、サキさんが運び込んだ時の姿勢のままで寝ているではないか。
それじゃあ、あの猫はいったい・・・
急いで運転席に戻ると相変わらず助手席には猫がちょこんと座っている。
にゃーー
ん~~~? そういえば、サキさんの猫耳はトラ猫っぽかったが、目の前の猫は三毛猫だ。
俺がしげしげと観察していると、猫はふぁ~っと大きなあくびを一つすると次に背中を弓なりに反らせ伸びをした。
そして、俺の方を見て「お腹が空いたにゃあ」と鳴いた・・ような気がした。
そういえば俺もお腹が空いていた。 何しろ披露宴では緊張し過ぎて料理をほとんど食べていない。
それに次から次へと招待客がお祝いを述べにやってくるので正直食べてる暇もなかったのだ。
よしよし、ここのパーキングで何か美味しいものが売ってないか見て来てやるからな。 少し待ってろよ。
猫の頭を撫でながらそういうと猫は頭をすりすりしてくる。 なかなか人懐っこくて可愛い奴じゃないか。
クルマを降りて見れば、PAなのにラーメン屋もあるしコンビニもある。
サキさんがまだ寝ているので、俺はコンビニでパンと飲み物をカゴに入れてから、猫が喜びそうなものを探した。
さすがにキャットフードは置いてなかったので、サラダチキンとサバ缶(水煮)を買ってみる。
また居眠り運転をするといけないので、コンビニを出てクルマに戻る途中、自販機でコーヒーも買った。
どこのPAか見ずに飛び込んだけど、看板を見たらここは藤枝PAだった。
なんだ、まだちょっとしか走ってなかったんだな。
クルマに戻ると三毛猫が俺の膝の上に乗って来た。
そして俺の顔を見上げながら、にゃ~と鳴いてご飯の催促をしてくる。
これだけ人に馴れているのだから、きっと野良猫ではないのだろう。
さっそく、買ってきたサラダチキンの袋を破って中身を少し押し出し猫に与えてみる。
ゴロゴロゴロ
すると余程お腹が空いていたのだろう、のどを鳴らしながらムシャムシャと食べるではないか。
そして、あっという間に完食である。
もっと食べたそうに俺を見るが、猫の体の大きさからするとサバ缶は次のご飯に回した方がよさそうだ。
猫がまた助手席に戻って座ったのでコーヒーを飲みながら、俺は改めてサキさんが猫になったのではなくて本当に良かったと思った。
正直な話し、猫が飛び出して来て助手席に座ったときは、心臓が止まるかと思ったほど驚いた。
それにしてもお前は、いったい何処からこのクルマに忍び込んだんだい?
俺は澄ました顔をして助手席で毛づくろいをしている三毛猫に話しかける。
にゃあ~
君もなかなか可愛いけれど、やっぱり猫耳のサキさんには敵わないな。 ハハハ
う~ん 蒼汰さん・・・ ここどこですか?
後席から今度は間違いなくサキさんの声がする。
どうやら俺が猫と話していたのでサキさんを起こしてしまったようだ。
そして助手席越しに顔を覗かせたサキさんが、三毛猫を見つけて目をまるくする。
あら~ この猫ちゃんは・・・
あれ? もしかしてサキさん。 この猫知ってるの?
ええ。 確かあたしたちが座っていたテーブルの横の大きな木の下でずっと昼寝してた猫ちゃんだわ。
そう言ってサキさんが猫を撫でようとして手を伸ばすが、猫はそれをひらりとかわして俺の膝の上に座ったのだった。
第52話「ねこがライバル?」に続く。




