◆蒼汰、富士の麓でイチャラブする(その7)
◆蒼汰、富士の麓でイチャラブする(その7)
自宅に戻って来た次の日、俺は宮下課長にサキさんの実家の稼業を継ぐために、今年度いっぱいで退職する旨を申し出た。
まさか自分が「退職願い」を提出する日が来るとは思ってもみなかった。
もちろん入社した時から、この会社で定年まで勤めるつもりだったし、ちょっと前までは本当にそう思っていたのだ。
後で聞いたのだけれど、課長も田口もここ最近の俺の様子から、うすうす俺が会社を辞めるんだろうなと思っていたらしい。
なので俺が退職すると話した時は、二人とも笑顔で頑張れよと言ってくれた。 それを聞いて俺はちょっとだけ泣いた。
これで俺もようやく踏ん切りがついたし、あとは上田に行ってサキさんのご両親に結婚式と披露宴を富士の麓でやらせてもらえるようお願いすればミッションコンプリートだ。
異世界側のふも〇っぱらキャンプ場には、キャンプサイトで結婚式や披露宴を行えるかは確認済なので問題はない。
ライオン男さんは、いつでもどうぞと言ってくれたし、宿泊するわけでもないので利用料は格安にしてくれるそうだ。
で、今週末にサキさんと二人でご両親に説明しに、上田に行くことになっている。
でも、あの熊おやじが果たして、うんと言うだろうか。 何しろあの人脈の多さだし、政財界の大物もいるので、式の格式なんかにも拘りそうだ。
それに一般人も多いはずだし、その人達に異世界だと絶対に気づかれないという自信も無い。
しかし、その気苦労はあっさりと解消する。
富士の麓か・・・ いいじゃねえか。
えっ お父さんいいの? サキさんは自分のほっぺたと同時に、隣に座っていた俺の頬もギュッとツネる。 痛い!
だって、お前たちの結婚式だろ。 好きにやっていいよ。 なあ、母さん。
ええ 富士の麓で式を挙げるなんて素敵じゃないの咲姫。
ありがとう、お父さん、お母さん。 サキさんの目からぽろぽろと大粒の涙がこぼれる。
その代わり、跡継ぎのお披露目会は別にやるけどな。
あ゛ーーー そういうことかぁ・・ やっぱりこの人たちは、俺やサキさんの上を行く。
お義父さん。 そうすると招待客は500人中、何人くらいになるんでしょうか? ←恐る恐るお義父さんと言ってみる蒼汰
んっ? 蒼汰くん、500人は変わらんぞ。
はっ?
式は式、跡継ぎとしての二人のお披露目はお披露目だ。 なあ、母さん。
そうですわね。
なんだか、さっきから いちいちお義母さんに同意を求めてるじゃん。 ←心の声です
この時俺は、ふと もしお義母さんが「けもの化」した場合は、クマよりも強い動物なんじゃないかと本気で思った。
それじゃあ、お披露目は何人くらいなの? 今度はサキさんがビシッと聞いた。
500人と言いたいところだが、まあなんだかんだで300人ってところだろう。
300人・・・ 俺とサキさんは、その人数の多さに続く言葉が出ない。
それより咲姫、孫はまだなのか?
ちょっとお父さんたら、何を言っているの?
何ってお前たち、やることはやってるんだろ?
やっ もう信じらんない! サキさんは、あっという間に、ゆで蛸のように真っ赤になっている。
耳まで真っ赤で、もう頭から湯気が出るんじゃないかってくらいだ。
最低でも、男ひとりと女ひとりは産んでくれよ。 じいじ も ばあば も楽しみにしてるんだからな。
ちょっ、俺たちは娯楽の道具っすか? ←何度もですが、心の声です
ははは 頼んだぞ蒼汰くん。 バン バン バン (だから背中叩くと痛いですって、クマ男さん)
この後、式とお披露目の日取りを決めてから、夕食となったのだが、もう絶対に食べきれない量が出てくる。
しかも、ニンニク、牡蠣、山芋など精力がつきそうなものが多いような気がしたけど俺の気のせいだろうか。
第49話「新婚旅行」に続く。




