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異世界キャンプ旅  作者: 天浮橋
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◆蒼汰、富士の麓でイチャラブする(その5)


◆蒼汰、富士の麓でイチャラブする(その5)


今まで生きてきた中で2番目にきれいな夕日を見て最高に感動した後に、あさぎり温泉 風の〇というバナジウム温泉に行ってきた。


温泉につかり体もホッカホカにあったまったので、サキさんはさっそく濃厚バニラソフトクリームを食べている。


この温泉施設では料理やお酒など飲食もできるので、なんちゃってキャンプの際には、ここでお風呂と夕飯を済ませ、後は寝るだけも出来てしまうのだ。


さらにここは岩盤浴が無料でうれしい限りだ。


サキさんも岩盤浴をしたかったみたいだけど、それはまた今度にしてもらう。



表にでるとすっかり暗くなっていて、気温もかなり低く息が少し白くなる。


でもお鍋はこのくらいの寒さがちょうど良いのかもしれない。


そんなことを考えながら運転していると例の霧が立ち込めてきた。


この霧の中を通っている時は、何とも言えない嫌な気分になる。 めまいがするというか、目の前のものが歪んで見えるのだ。


おそらく異世界に行くために、無理やり空間をゆがめて通過しているのだろう。



明るいうちに小さな風よけテントと焚き火台を設営しておいたのだけれど、キャンプ場が広すぎるのと辺りが暗くて場所を見つけるのに豪く苦労した。


おまけにサキさんがあっちだと思う絶対に間違いないという方向は、いつも真逆でもうあの場所には辿り着けないのじゃないかと思った。


それなので、火を熾して鍋の準備を終えたころには、おなかのすき具合もMAXになっていた。



焚き火用の薪は、いつもより細めに割って火加減がしやすくしてある。


今回は少々手抜きをして寄せ鍋用のつゆも買ってきた。  鍋は土鍋ではなくステンレスだけど仕方がない。


つゆが温まってきたところでサキさんが、さっそく買ってきた具材をお鍋に入れて行く。



ちょっと具材が多いから、お鍋を二つ作っちゃいましょう。 あたし、もう一つお鍋を取ってきます。


そう言って直ぐにサキさんがワゴン車の荷台から一回り小さい鍋を持って来る。


うふふ こっちは、明日の朝用デスね。


 

なんでサキさんが鍋を二つ分けたかというと後から闇鍋用の具材も追加投入するからだ。


そういえばサキさんは何を買ったのだろう?  お互いに秘密で買った具材は3つずつだ。



俺は無難なところで、餅巾着とカニカマ、それに冷凍の水餃子だ。


スーパーの売り場では一緒にならなかったので、違った具材なのは間違いないと思うけれど、俺は早くも気になり始める。


というか少し怖い。



さあ、そろそろ食べられますよ~♪


うん、うまそう~。



はい。  蒼汰さん、あ~ん。


サキさん、気を使わないでいいから自分でも食べてよ。


ふふっ ダメです。  あたし、こういうのやってみたい派なんですから。


やってみたい派ってなに?


いいから、あ~んデスよ♪  はい。 あ~ん。


わかった、わかった。 あ~ん。


まあ、辺りは真っ暗だし、このキャンプ場にいる人は少ないしで、恥ずかしさはそんなに無いのだけど・・



よしっ!  それじゃあ、サキさんもだ。  はい、あ~ん。  こっちからも逆襲である。


えっ?  あたしもですか?  えへへ、ちょっと嬉しいかもデス。


あ~ん♪


なんだかヒナに餌をやる親鳥の気分だな。



そうだ。  サキさん、日本酒飲む?


はい♪


それじゃあ、最初はこれね。  富士〇砂酒造さんの「大吟醸ソレ〇ユ」。 全国燗酒コンテストで金賞を受賞したやつだよ。



はいっ。  マグカップに半分ほど入れてサキさんに手渡す。


サキさんは、ひとくちコクリと飲んで、ニコ~っと笑う。  これは最高に美味しいときの笑顔だ。


「あ~ん」のやりっこにも飽きてきたので、それぞれでお酒を飲みながらお鍋を突く。



しばらくするとサキさんの目が、とろ~ん状態になってくる。


あまり飲ますと、いつぞやの西湖の二の舞になりかねないので、ここでストップをかける。


サキさんは、ちょっと恨めしそうな顔をしてたけど、急に闇鍋のことを思い出して顔が ぱぁ~と輝く。


蒼汰ひゃん。 そろそろ行きまひゅか?


お、おぅ。


それじゃ、お互いに見えないようにしてお鍋に入れて行きまひょう。


サキさん、大丈夫?


何がでひゅか?


何がって、さっきから呂律が回ってない?


だいじょうぶれすよ。  それより、順番デスからね。  それじゃあ、あたしから行きまひゅよ~。


トッポンッ  ←鍋に具材を入れた音


はい、次は蒼汰さんの番でしゅ!


はいはい。 それじゃこっち見ないでね。


トッポンッ



具材を順番に入れながら、火力が落ちてきた焚き火台に薪を追加でくべる。



果たして、これでシメの雑炊が美味くできあがるのだろうか。




蒼汰が心配になったところで次回、第47話「蒼汰、富士の麓でイチャラブする(その6)」に続く。

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