◆異世界キャンプへGo
◆異世界キャンプへGo
去年の寒い冬、親父が急病で死んでしまった。
俺は幼いころに母親を亡くしていて親父と二人暮らしだったので、とうとう一人ぼっちになってしまった。
で、俺にはボロ家と軽ワゴン車が残された。
家はボロだったけどクルマは去年買ったばかりで、ハイブリッドターボの高いやつだった。
そういえば親父は趣味には金をつぎ込む人だったな。
俺は興味がなかったけど、親父はこの軽ワゴン車をキャンピングカーに改造して、週末になるとキャンプに出掛けていた。
俺はたまにこのクルマを借りて買い物に出かけたりもしたが、こんなクルマじゃ当然女の子を横に乗せてドライブなんて気分にはならない。
このクルマはキャンプに使うため後席が取り払われていて、小さなテーブルがあったり、何枚かの板を移動させるとベッドになる機能があった。
そのほかに、クーラーBOXや釣り道具、寝袋、簡単な調理器具なんかも積んであった。
こんなクルマだったので、俺は今までは月に1度乗ればいいほうだった。
だがある日、俺はこのクルマのとんでもない秘密を知ことになる。
それは、この軽ワゴン車が異世界へ行くことができるクルマだったということだ。
親父がキャンプから帰ってくると、見たことがないような魚を釣って来ることがあったが、やっとその謎が解けた。
なにしろ図鑑で調べてもネットで調べても該当する魚は見つからない。
「これって新種じゃないの?」と言っても、親父はごにょごにょ言うだけで、よくはぐらかされた。
何のことはない。 釣って来た魚は、異世界の魚だったのだ。
そして、やがて俺もこの軽ワゴン車で行く異世界キャンプに嵌まって行くことになるのだった。
第2話 「異世界に行けるクルマ」に続く。