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愚者とエゴイストの輪舞曲  作者: ハロー
第三章 欠けてゆく月
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ティーアとティーナ



 ロアの二日目の夜会は初日よりは上手く行った。ダンヒル子爵夫人が気に掛けて色々フォローしてくれたことと、昨日踊った熊のようなキリヤコフ公国の公子、キールも気さくに話し掛けてくれたおかげもある。


 コンラッドは昨日の埋め合わせをするかのように、今日は大勢の女性客と踊っていた。笑みさえ浮かべていたのを見てロアはコンラッドが上機嫌だと知り、先のことを少し楽観できる気分になった。


 ソイニンヴァーラ王国から来た美しい女性客とユリシーズが踊り終えた時、コンラッドはその女性客を次のダンスの相手にしようと二人のところへ近づいた。

 ユリシーズと踊り終えたばかりの、青紫のドレスを着た女性客へコンラッドは手を差し出す。


「ティーア王女。次は私とお相手願えますか」


「まあコンラッド、久しぶり過ぎて分からなかったかしらー? わたくしはティーナよー」


 のどかなソイニンヴァーラ訛りでそう言われて、コンラッドは眉を上げた。ティーナと名乗ったソイニンヴァーラ王女とユリシーズがくすくすと笑う。


「これは失礼、ティーナ王女でしたか」


「悪いねティーナ、弟は美女の顔を見分けるのが相変わらず下手なんだ」


「うふふ、気にしてないわー」


 ユリシーズは丁寧に王女をコンラッドへ引き渡し、襟を直した。


「兄上、天馬レースのことでお話があります。後でお時間を頂けますか」


 弟に声を掛けられたユリシーズは、意外そうな顔でコンラッドの目を見た。弟は天馬レースに興味などないはずだ。ここで話しても良さそうだがそうしないということは、何かあるのだろう。

 ユリシーズは何気ない顔で頷いたが、コンラッドは兄が自分の真意を察したことに気づいた。


「……ああ、分かったよ。さあ、それじゃあ僕は赤いティーナと踊って来ようかな」


「赤いティーナ?」


 話し合いの承諾をもらえてほっとしたのも束の間、妙なことを言われたコンラッドは兄の視線を追う。そこには今ティーナと名乗った王女と瓜二つの顔をした、赤いドレスの女性客がいた。コンラッドはやれやれという顔でこれから自分と踊る王女を見下ろした。


「やはりあなたがティーア王女でしたか」


「うふふ、どうかしらー? 曲が終わるまでに当ててみてー」


 ティーア王女かティーナ王女か判別のつかないソイニンヴァーラ王女は、曲の始まりに合わせて軽く背を反らした。金色の波打つ髪が揺れる。ティーア王女もティーナ王女も、正装でも髪を結い上げない。


「相変わらずあなた達は悪戯がお好きですね。当てたらご褒美をもらえますか?」


 コンラッドは王女を支えながらにやりと笑った。珍しいコンラッドの余裕のある笑みと言葉に、ソイニンヴァーラ王女はおやと弧を描く眉を僅かに上げた。

 クローディアと再会し彼女の心がまだ自分にあると確信できた今なら、コンラッドはあのマーヴィンとさえ微笑んで踊れるような気がした。


 一方のユリシーズは、赤いドレスを着たもう一人の王女に近づきその手を取る。


「やあ、月の女神様。使用人と何を話していたのかな、ウィンフィールドでは悪ふざけの企みごとは遠慮してくれよ?」


 自分が近づいて来たのを見て王女から離れていった使用人を、ユリシーズは目で追う。


「あらユリシーズ、それは要らない心配よー。飲みたいお酒があったから、確認してもらっただけなのー。よその国ではお行儀良くしなくてはねー」


 ソイニンヴァーラ王国のもう一人の王女は、ゆったりと答えてひらひらと扇で口元を隠す。


「そうならいいけど。一曲お相手願えるかな」


「もちろんよー」


 二人は慣れた所作で緩やかにステップを踏み始めた。

 ソイニンヴァーラ王国は大陸で最もウィンフィールド王国と近しい関係で、婚姻関係も昔から多く結ばれている。特に年の近いこの二人の王女とはほとんど幼馴染みのような関係なので、ユリシーズも王女も表情は柔らかい。


 絵になる二人のダンスに、周囲の客人の何人かがほうっとため息をついた。


「さてユリシーズ、あなたは誰と踊っているか分かっているのかしらー?」


 ソイニンヴァーラ王女は軽く膝を曲げ、赤いドレスを沈ませて微笑みかけた。ユリシーズも笑みを返して耳元で囁く。


「きみ自身が知らないならその可愛い耳に教えてあげるよ、ティーア・ヘッラ・ヴィフレイス王女」


「まあ。残念だけど、ティーアならあそこよー?」


 赤いドレスの王女はさも悲しげに眉を下げ、コンラッドと踊るもう一人の王女を手のひらで示した。ユリシーズは口端を吊り上げる。


「その手は食わない。ティーアはきみだ」


 ティーア王女は不思議そうに小首を傾げ、曲に合わせて左足を踏み出した。


「今日は自信たっぷりねー、どうして分かるのー?」


 周囲の人々は口々に二人を褒め称え、本当にお似合いねえという声も聞こえた。だがユリシーズは気にも留めていない。幼い頃から身近すぎて、王女達とは姉弟のような関係だった。それに互いに人の心の裏を読もうとする性質なので、彼女達を相手にしていると手の内の読み合いになりがちで疲れてしまうのだ。


「この前ソイニンヴァーラにお邪魔していた間に、ようやくきみ達の見分け方を覚えたのさ」


「まあ、それは大発見ねー。お父様に教えて差し上げなくてはいけないわー。どんな見分け方なの?」


 ユリシーズは人差し指を立てて唇に当てた。


「教えないよ、教えたら修正されてまた分からなくなってしまうからね」


「教えてくれたら、少しは教会をおとなしくさせてあげるけれどー?」


 二枚羽の天馬を増やしているウィンフィールドで、羽落ちと呼ばれる飛べなくなった天馬の殺処分数が増えていることに対して、大陸一の信者数を誇る聖ピロタージュ教会は近年批判の声を高めている。


 教会を黙らせてもらえればユリシーズとしては有り難いが、ティーア王女に借りを作るのはそれほど簡単なことではない。美しい容貌とソイニンヴァーラ訛りのゆったりとした共通語とは裏腹に、彼女達は冴えた頭脳と情に流されない冷徹さを持っている。もちろん王族としての豊かな人脈も彼女達の武器だ。


「魅力的なお誘いだけど、遠慮しとこう」


 曲が終わる。ユリシーズは王女から手を離した。


「まあ、残念ねー。そのうちヒートアップして、わたくし達でも教会を止められなくなってしまうわよ-?」


 食い下がるティーア王女には取り合わず、ユリシーズはどこか面白そうに微笑んだ。


「そうなった時はその時さ。そうだ、きみ達がご執心の例の羽落ち牧場のことで気の合いそうな子を見つけたよ」


 ティーア王女は長く垂らした髪を両手で後ろへ流して整え、目を細めた。


「都合の悪い話になると、そうやってすぐ話題を変えてしまうのねー。悪いひと。でも興味はあるわ、どんな子かしらー?」


「ベルンシュタイン帝国から来た、女性ながらに本物の騎手をしている子だよ。関所で見かけた羽落ちを、国へ連れて帰るんだそうだ」


「騎手? 女の子がー?」


「ああ。ほら、あそこでロスチスラフ公子と踊ってるあの子だよ。ロア・ジャンメールと言うんだ、紹介しようか」


「ええ、お願いするわー」


 キリヤコフ大公国の公子が、大きな背中を丸めてロアと踊っている。靴擦れが痛むせいで、今夜のロアはおとなしく静かに踊っていた。ティーア王女の表情で何か面白そうな話だと嗅ぎつけたのか、いつでもティーア王女と一緒のティーナ王女がこちらへ歩いてくる。


「公子が何ですってー?」


「公子ではなくて、公子と踊ってる子の方の話よー、ティーナ。女性なのに騎手なんですってー」


 僅かダンス一曲分の間でも離れていたのが耐え難かったというように、ティーア王女はティーナ王女を目を閉じて軽く抱き締めた。ティーナ王女は身を離して、楽しげに目を見開いた。


「騎手というと、馬にしがみついてぴょこぴょこ揺れるお猿さんねー?」


「そうよー、馬のお尻を鞭で叩く野蛮なお猿さんよー」


 踊り終えたロアと公子はまだ何か話しているようだ。


「……よし、彼女と一曲踊ってから連れてくるよ」


 ユリシーズは二人の会話の終わりを待たずに話しかけることにして、二人の元へ近づいた。


「やあロスチスラフ──いや、キールじゃないか!」


 ユリシーズは二人に近づくと、振り返ったキリヤコフ公子の顔を見て驚嘆の声を上げた。ロアはそんなユリシーズを見て顔をしかめた。


「驚いたよ、ずいぶん大きくなったなあ!」


 ロスチスラフ公子の弟、キール公子の背はとっくに長身のユリシーズをも越えていた。かつては父にも兄にも似ず細身で小柄だったキール公子は、今やユリシーズを見下ろして楽しそうに笑った。


「おお、ユリシーズ王子! あなたは少しばかり縮みましたかな」


「きみにこれだけ見下ろされていると、本当にそんな気もしてくるね。後ろ姿はロスチスラフそっくりだったよ」


「結局おまえもマルキン一族だったんだなと、皆から言われていますよ。いやはや全く、血は恐ろしい」


 キールは他人事のように言って大きな声で笑い、ユリシーズは苦笑した。


「今日はロスチスラフは?」


「キリヤコフでは今悪い風邪が流行っていましてね。先に姪達がかかっていたのですが兄も道中で熱を出してしまって、急遽私がお邪魔しました。せっかくの大舞踏会なのにすみません」


「いやいや、会えて嬉しいよ。ほんとに見違えたなあ、幾つになったんだったかな?」


「二十歳ですよ。私もそろそろ身を固める年ですので、ちょうどいい機会を頂けて感謝します」


 キールは冗談混じりに恭しく胸に手を当てて、軽く頭を下げた。


「なるほど。キリヤコフとベルンシュタインの絆を強めるのに一役買えたなら、父上もさぞ喜ぶだろう」


 ユリシーズは軽口のつもりだったのだが、満更でもなかったのかキールは頬を染めてはにかんで笑った。おやおやと内心ユリシーズは驚く。蓼食う虫も好き好きというが、それにしたって女性を見る目がない、と心の中で呟く。


 その蓼のロアはというと二人の話もろくに聞かずに、靴擦れを気にして行儀悪くハイヒールと踵の間に何とか隙間を作ろうと足掻いていた。


「さて。次は彼女と踊りたいんだが、少しの間お借りしてもいいかな?」


 ユリシーズの言葉に、ロアがぎょっとして顔を上げた。昨夜は二階の窓から落とそうとした相手に笑顔でダンスを申し込める神経が、とても理解できなかった。


「もちろんです」


 何も知らないキールは握っていたロアの手を丁寧にユリシーズへ差し出すと、ロアに優雅に頭を下げて微笑んで去っていった。


「……そういうことは、本人にも聞いてもらえる?」


 周囲から頭一つ抜け出る大きな背中を見送り、ロアは厳しい声でユリシーズに言った。


「昨日のことを怒っているのかい?」


 曲が始まり、ユリシーズは手を差し伸べた。ロアはその手を引っぱたきたいくらいだったが、ぐっと堪えて自分の手を預ける。


「当たり前でしょう。死にかけたんだよ!」


「ただの冗談だよ、事故になる前に助けたさ」


「どうかな。あなたは嘘つきだから。……馬好きの、いい人だと思ってたのに」


 勝手にそうと思い込んで裏切られ、踊りながらもロアは悲しげで悔しげだった。ユリシーズは微笑む。


「天馬が好きなのは嘘じゃないよ」


「でも、いい人ではなかった」


 ロアはユリシーズをきつく見上げる。


「きみにとってはね」


「……私も全部、聞いたから」


 昨夜のことを思い出し、ロアは眉根を寄せた。


「全部?」


「クローディアと、コンラッドのこと。あなたはコンラッドを、傷つけたくなかったんだね?」


 険しい顔で自分を見上げたロアを見て、ユリシーズはキールにこの小生意気な顔を見せてやりたいと思った。この娘が好奇心で人の秘密を暴こうとする無神経な馬狂いだということを、キールは知らないだろう。


「彼女の名と弟の名を、気安く並べて口にしないでくれるかな。でもその通り、麗しい兄弟愛さ。大事な大事な弟に、昔の恋人が異国で皇帝の愛人に身を落としてるなんて知らせたくなかった」


「そうならそうと、言ってくれれば良かったのに」


「それできみが引き下がってくれたとはとても思えないな。それに時間も無い。何せ結婚相手を探す舞踏会の真っ最中だからね」


 おどけたように言うユリシーズに、ロアは唇を引き結ぶ。


「コンラッドは、」


「名前を出しては駄目だよ。彼か、その人と呼んでくれ」


 ユリシーズは口に気をつけろと言うようにロアの唇に人差し指で触れようとしたが、そうする前にぱっと指を掴まれた。二人の遣り取りに気づいた周囲が小さくどよめく。ユリシーズは苦く笑って手を引いた。

 ふざけてばかりのユリシーズに、ロアはいよいよ眦を吊り上げた。


「その人、は! そのことを知っても、本気でクロ──彼女のことを……好き、なんだよ!」


 昨日のクローディアとコンラッドを思い出し、ロアは改めて胸を打たれると同時に照れくさくもなって流暢さの欠片もない言葉で反論した。その口調の変化を見逃さず、ユリシーズは尋ねる。


「どうしてそう言い切れるんだい?」


「だって、私の前でプ──ええと、その、えいえ、永遠の愛を、誓い合ってたから」


 求婚したとは流石に言えずに回避したものの、求婚以上に恥ずかしい言葉を口にしてしまった気がしてロアは赤くなった。ダンスの動きも固くなる。

 ユリシーズはロアが口を滑らせた一文字で弟が求婚したと察してショックを受けたが、すぐににやにやと笑いながら更に問う。


「へえ。でもあいつが、人前で求婚するとは思えないなあ。あの二人にロマンチックな展開を望みすぎたきみの、若い女の子らしい勘違いじゃないのかい?」


「そっ、そんなの望んでないよ!」


 ロアの歩調が乱れて、足を踏まれかけたユリシーズは慌てて右足を引いた。


「おっと、悪ふざけが過ぎたようだ。ダンスに集中してくれ」


 少しの間ロアは怒りの表情のまま黙って踊っていたが、頭の中は悲恋に苦しむクローディアとコンラッドのことでいっぱいだった。曲が終わりがけになると、ロアは表情を和らげて遠慮がちにユリシーズを見上げた。


「……ねえ、あの二人、何とかならないかな?」


 昨日の恨みはどこへやら、自分に真剣に相談してきたロアにユリシーズは思わず吹き出しそうになる。


「ならないよ」


「お願い。あなたも協力してくれない?」


 ロアの瞳が縋るように揺らぐ。ユリシーズはほとんど初めて、ロアの女性らしい表情を見た気がした。


「……ふうん。そんな顔もできるんだな。僕に縋る理由が、他人の恋路だなんて滑稽だけど」


 ユリシーズは皮肉気に口端を吊り上げ、ロアの顎に触れた。人を小馬鹿にしたその態度に、ロアはユリシーズの手を自分の手の甲で押しのけながら顔をしかめた。


「もう、ふざけないで聞いてよ。二人は真剣なんだよ」


「僕だって真剣だ。そんな話はお断りだね、彼女は王妃には絶対になれない」


 途端にロアは捨てられた子犬のような顔になる。ユリシーズは声を潜めた。


「当たり前だろう? お忘れかもしれないけど、僕の父上は彼女の父親に殺されかけてるんだよ」


「でも、」


「彼女のせいではないけど、仕方ないんだ。さあじゃじゃ馬娘さん、テンポアップだ。黙っていないと舌を噛むよ」


 悔しさで俯き、ロアは意固地になって派手にダンスを踊った。案の定ずきずきと靴擦れが痛み出す。怒りはむしろロアのダンスの技術を情熱的に見せてくれたようで、近くの観客は二人に釘付けになった。


 曲が終わり、ユリシーズは肩で息をしながらもまだ憂い顔のロアを見下ろした。


「さて。羽落ちのことで、きみと気の合いそうなお仲間を紹介するよ」


「え?」


「ついておいで」


「いや、いいよ」


 ロアが後ろから付いてくると思い込んで既に歩き出していたユリシーズは、出鼻をくじかれて面白くない顔で足を止めて振り返った。


「どうして?」


「だって、どこかの偉い人なんでしょう? 緊張するし、ちゃんと話せないから」


 ロアはドレスを掴むともじもじと下を見た。ベルンシュタイン皇帝との謁見に耐えられたのは、天馬に乗れるという期待に浮かされていたからだ。何もない今はどこかの国と要人と会話するのは遠慮をこうむりたかった。

 内気な子どものようなロアの態度に、度胸がいいのか悪いのか分からないなとユリシーズは呆れる。


「大丈夫だよ。ちょっと不思議な感性を持っていて悪戯好きのお姫様達だけど、悪人じゃない」


 ユリシ-ズは二人のソイニンヴァーラ王女を見た。二人は揃って扇で口元を隠し、興味津々といった目だけをこちらに向けている。ユリシーズは痺れを切らしてロアの手を取った。


「あっ、ちょっと……!」


 衆人環視の中で王子の手を振り払う訳にもいかず、ロアは仕方なく手を引かれ歩き出した。


「やあ二人とも、お待たせしたね。ロア・ジャンメール、こちらはソイニンヴァーラが誇る麗しの月の女王。ティーナ王女と、ティーア王女だ」


 ユリシーズはどちらがどちらか分かるよう、丁重に手のひらで示しながら二人の王女を紹介した。


 ロアは同じ顔をした二人の王女を見て思わずぽかんと口を開けた。母性的とも言える円やかな落ち着きと柔和な微笑みの下に、小悪魔めいた稚気のようなものが潜んでいる。ヨゼフィーネのどこか影のある美しさとは異なり、二人の王女の美しさには影はなくむしろ仄かに輝いて見えるようだった。


「ふ、双子……?」


 二人の王女を見比べてロアが思わず漏らした言葉に、ユリシーズは短く笑った。


「おっと。その呼び方は彼女達の機嫌を損ねるよ、気をつけてくれ。ティーアとティーナ、こちらはロア・ジャンメールだよ。ベルンシュタイン帝国の男爵家のお嬢さんで、帝国一の女性騎手だそうだ」


「は、初めまして」


 二人の王女に見惚れていたロアはユリシーズの紹介ではっとすると、消え入りそうな声で膝を曲げてぎこちなく会釈をした。





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