純情と美を縫う、影のエッセイ
この白い部屋の中心で、
心を踊らせる僕はタッタ一人、
絵筆を持ちながら、
彼女の横顔を思い出しておりました。
僕の心に咲いた、
儚いあの子の微笑みは、
まだその美しい生命を、
この世界へと、
描写してくれるかのようでありました。
ふわりと舞った黒髪に、
白いハイビスカスの芸術を、
可憐に垣間見せてくれたのです。
あの子は幻想のようで、
現実の存在でありました。
華奢で、健気な、
差し詰めイデアの如き存在。
そう捉えて離さないから、
おおよそ閉じこもった、
この白い部屋で、
画板へと向かって、
彼女を描写するのであります。
肌色は純白の如く、
黒髪は漆黒の如く、
念頭に置いて、
絵筆を立てるのであります。
純情と美を縫う、イデアの存在。
しかしながら、
痛烈な情念を胸に秘めるのであります。
ほとばしる熱気が、僕の指先を伝って、
大胆にも、空間と空間どうしの、
隙間を縫うのであります。
瞳は純情。
ニッチな波動。
その筆の先に、高次元の空間。
愛しさと、困窮の物語。