表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サリーナ・マハリン  作者: なのるほどのものではありません
エピローグ
31/32

31, 笑顔

 コンコン。ノックの音が鳴る。


「はいはい。」


 ぎぃ、というこの扉の音はずっと変わらない。木の音がして扉が開く。

「おや、クシス。」

 スザンナは笑って向かえた。

「お邪魔するよ。」

「どうぞ。ボードレーも、入って。」

 にこっと笑って従者も迎えいれる。

「あ……お邪魔します。」

 ボードレーは軽く会釈をしてスザンナの家に入った。

「丁度昼御飯を作ってたんだ。食べる?」

「おや、それはいいタイミングだった。頂くよ。」

「今日は目玉焼きだからね。」

「あははっ、いつもじゃないか。」

「得意料理なの。」

「うん。確かにスザンナの目玉焼きは美味しいよ。他では食べれない。」


 二人はいつも笑顔で話をする。幸せしか彼らのもとには訪れていないかのように、朗らかで華やかな笑顔で。

 ボードレーはそんな二人を見ていつも不思議に思っていた。愛人なのか、それとも、ただの友人なのか。スザンナだけは判断に困った。



 昼食をとり、しばらく軽く話をしてからクシスが席を立った。

「じゃあ、また来るよ。」

「いつでも来て頂戴。」

 そして手を振って、スザンナの家を出た。


「伯爵。」

「ん?」

 家を出て、馬車に向かう途中でボードレーが問いかける。

「スザンナさんって、いつも笑顔ですね。」

「ん?うん。そうだね。いつも笑顔だ。」

「何処で知り合ったんですか?」

「何処だったかな。」

「その頃からいつも笑顔だったんですか?」

「そうだね。」

 クシスは微笑んだ。

「だけど、これも一種の呪いかもしれない。」

「のろい?」

「こっちの話だ。さ、帰ろう。」

「はい。」



 笑って。


 笑って、いつだって。







『サリーナ・マハリン』完

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ