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サリーナ・マハリン  作者: なのるほどのものではありません
第2章:約束
17/32

17, 約束

 村に残ったほんのわずかな住民たちと、村を復興させる事に力を注ごうと決めた。


 このアルブ北部は、サリーナ・マハリンのようにアングランドファウスト家の領地ではないから、伯爵家がこの村を支援することは出来ないが、フェレスが少しお金をくれると言ってくれたのを断った。


「本当に一人で此処で暮らすのか?」

「一人じゃないよ。ちゃんと何人かいる。」

「だが家族は……。」

「大丈夫。料理くらい少しは作れるよ。兄ちゃんにも、帰ってきたら話をしてみる。」

「そうか。」

「ありがとう。フェレス。」

「何もしてない。」

「違うんだ。薬の事も。本当に来てくれて嬉しかった。」


 フェレスは頷きも、首を振りもしなかった。私は微笑んだ。


「また会おう。サリーナ・マハリンまではすぐだし。訪ねるよ。」

「あぁ。」

「じゃあ。またなフェレス。」

「あぁ、またな。」


 手を振って、フェレスを見送った。馬車が遠ざかる。

 その馬車にはクシスもいたらしいが、クシスは結局最後まで外に出て来なかった。

 この頃のクシスは私のことを嫌っていたように思う。彼もまた誇り高い男だった。



 それからというもの、思ったよりも忙しかった。

 一人で生きる事はそこまで大変だと思わなかったけれど、ただ、お金がないのが一番大変だった。だから結構必死に働いていた。そんなこんなで、フェレスを訪ねると言った自分の言葉は有言実行されないまま年月が過ぎて行った。


 そうして私たちは15歳になっていた。


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