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サリーナ・マハリン  作者: なのるほどのものではありません
第2章:約束
13/32

13, 綺麗

「今日襲ってきたやつらだけどさ。」


 服を着替えながら切り出す。カーテン越しのフェレスにむけて。

「……もしかして伯爵の家、誰かに狙われてるのか?」

「狙われてる……?」

「んー。実は、私伯爵家の護衛だってんで他にも二回襲われたんだ。」

「どこで?」

「ブロイニュ。」


 沈黙。


「や、別に思い当たる節がないならいいんだけどさ。ただお金持ちだから狙われただけかもしれない。」

「アングランドファウスト家として狙われたのであれば、考えられるのは政敵の貴族になるが、今日倒れてた連中はなんの紋章も掲げてなかったな……。」

「匿名?」

「それかただの野盗だ。」

「匿名だったら、性質悪いな。」

「まったくだ。」

「喧嘩売るならさ、堂々と名乗ればいいのにっと。」


 着替えを終えて、しゃっとカーテンを開く。


「どうだ?サイズ、あってるか?ワンピースなんて初めてだから、着方が良くわかんなくってさ。」

「…………あぁ。」

「よかった。」

 微笑んだ。

「俺は嫌いだな。」

「え?似合わないか?」

「そういう誇りのない真似をする人間だ。」

「……匿名希望で襲ってくる奴のこと?」

「あぁ。俺は、嫌いだ。」

 フェレスは彼らのことを軽蔑してるようだった。



 夕餉。

 フェレスと一緒に部屋に入ると、クシスが待っていた。

「綺麗ですね、スザンナ。」

 クシスが微笑んで褒めてくれた。

「あ、本当に?や、ビラビラの服しかなくってさ。一番動きやすそうなのを貰ったんだ。でもこの裾、多分後で切るっ。」

「……そうですか。」

 クシスは笑ったが、あの時絶対呆れてた。


 しかし、対照的な兄弟だなと思った。

 クシスはにこにこと、嘘か本当かわかんないような笑顔を常に顔に貼り付けてる。一方でフェレスは決して微笑んだり笑ったりしない。


「なぁフェレス。いつまで此処にいるんだ?」

「一ヵ月半ほどだ。」

「あ、そうなのか?じゃあ、私はその頃にはバルガンにいるなぁ。思えば一年って結構長かったな。楽しみだ。」

「祖父に会うのが楽しみ?」

「そりゃあもう。手合わせが楽しみ。」

「母親は?」

「うん。元気だといいなっ。」

「兄や弟も、バルガンに住んでるんだったか?」

「や、兄ちゃんはいないよ。もう。3年前に村を出て行ったから。多分どこかで働いてるんだろうな。時々お金もって帰ってくれる。弟も多分今年旅に出る年だからな。あえるかなっ。すれ違いかもな。」

「そうか。」


 そこに食事が運ばれてきたので、たくさん、美味しくいただいた。


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