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サリーナ・マハリン  作者: なのるほどのものではありません
第2章:約束
12/32

12, 護衛の対価

 その後、襲われるような事はなかった。

 町の手前で一度馬車を止めた。


「多分、ここまできたら大丈夫だよ。すぐに王都だ。」

「スザンナ。」

「ん?」

「もうどこかに行こうとしてるだろ。」

「え、だ、だって……。護衛。もう必要ないだろ?」

「お礼は。」

「あぁっ。うん。なんかくれんのか?」

 手を差し出してみる。

「今日、夕餉に招かれろ。」

「は?」

「それから、服も見立ててやる。それから、アルブに帰る旅費。これが対価でいいか?」

「……もっと簡単なお金とかじゃないのか?」

「嫌なのか?」

「嫌じゃないよ。でも……。」


「乗って。」


 いきなりフェレスは差し出しっぱなしだった私の手を取って、ぐっと馬車に引きずりあげた。


「ちょっと待ってフェレス!私、血まみれ……っ!」


 案の定、クシスがこっちを見てすこし目を丸くしていた。

「その格好で王都に入るのは目立つ。」

「でも、馬車汚れちゃうかも……。」

「結構細かいこと気にするんだな。」

 まだ幼いけれど、綺麗で落ち着いた顔つきでフェレスはこちらを見る。


「俺達を助けてくれて汚れたんだろ。汚いものじゃない。」


「…………そっか。」

 微笑んだ。今度は心が温かくて。血が騒いで、ではなく。


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