表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サリーナ・マハリン  作者: なのるほどのものではありません
第1章:闘う民と笑わない貴族
1/32

1, 出会い

挿絵(By みてみん)

 剣を持つ。肩からかける帯刀ベルトに長い剣を刺し、道を行く。

 私は武民ぶみん。アルブの女。女の身でありながら、12歳で旅に出た。自分の腕を鍛えるために。赤毛を束ねて、大きめのシャツを来て、一人で旅をする。


「さて。どっちにいこうか。」

 思いあぐねていた時だった。馬の啼く声がした。荒ぶる声がした。

「なんだ?」

 くるりと向きを変える。短い赤い髪の毛が揺れる。

 ――……声。馬の啼く声に、これは、人の争う声。

 瞬間、私は走りだしていた。声のする方へ。するすると。しなやかに、すばやくだ。

 まるで身体には重さが無いように、軽やかに。

 ――見つけた……!

 跳んだ。すらりと剣を抜き、打ち付ける。ガッ、と鈍い音がして男がうめく。

 今の受身も取れないのならば、こいつらは武民じゃない。

 だったら話は簡単だ。倒せる。


 実際、ものの3分だった。全ての片がついたのは。


「ひっどいな。馬、もうこれじゃ走れまい。」

 馬が倒れているのを見つけて言った。

「大丈夫か?……――。」

 そして振り向いて人を見つけるが、なんという風に呼べばいいのか一瞬惑う。

「……ボク。」

「お前にボク呼ばわりされたくはない。」

 馬車から出てきたのは男の子だった。

「パパとママは?」

「父上も母上もいない。」

「……あぁ。お気の毒に。」

「そういう意味じゃない。」

「そか。そいつは良かった。で、無事か?」

「……あぁ。傷一つない。」

 うん。確かに。私は微笑んだ。

「良かった。じゃ。」

 手を振って去ろうとした。

「待て。」

「なに?」

「お前、俺の護衛をしろ。」

「……はぁ?」

「今の野盗で護衛が死んでしまった。」

 確かに。彼の足元に倒れている男は野盗ではない。息はきっともうない。

「……馬車はないぞ?」

「いい。歩ける。」

「見返りは?」

「十分払う。」

「何処まで?」

「サリーナ・マハリンまで。」

 私は微笑んだ。彼は一度も微笑まない。

「いいぞ。すぐそこだ。」

 歩きだす。

「そうだ、聞き忘れてた。あんた、名前は?」

 振り向いて問う。

「先に名乗れよ。そう習わなかったか?」

「いいだろ別に。」

「……フェレス。」

「私はスザンナ。よろしく、フェレス。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ