テロ等準備罪が成立して
世界は変化し続けています。
テクノロジーの進歩は我々の常識を覆し、新しい価値観を生み出し、社会の在り様さえ変えようとしています。
人工知能の発展によって、自動運転は実用化までもう少しといった様子ですし、そうなれば自家用車という概念も変わってくるかもしれません。
未来はバラ色、とまでは言いませんが、中々に面白そうな予感はします。
しかし、技術の進歩は負の側面も持っています。
原発の危険性は日本中に広まったと思いますし、太陽光発電パネルの大量設置は、環境破壊にも繋がりかねません。
また、ドローンは輸送に革命をもたらすかもしれないとしても、テロの道具にも使われかねない危険性を持っています。
IT技術によって、いつでもどこでも誰でもネットに繋がる事ができ、必要な情報を得、発信する事が出来る半面、個人情報が漏洩したり、ハッキングされて望まぬ不利益を被る可能性も生じます。
さて、野党の大反対の中成立したテロ等準備罪ですが、この法律ではテロは防げない、表現の自由が脅かされかねないとの声が聞かれます。
この様な懸念は正しいのでしょうか?
私の個人的な見解でしかありませんが、的外れだと思います。
というのも、テクノロジーの発展の方が早すぎて、我々の意識、社会制度がそれに追いついていないと思うのです。
これまでの法体系と、現実が即していないというべきでしょうか。
テロに関して言えば、今の技術をもってすれば、昔では考えられなかったテロが簡単に実行可能になった気がします。
例えば、ドローンに農薬なり劇薬を積んで、渋谷の交差点の上空で散布したらどうなるでしょう?
ドローンに鉄パイプでも積んで、ジェット機のエンジンに特攻させたらどうなるでしょう?
新幹線の線路上にマグネット付き鉄魁を置いたら?
全く問題なく行えそうな気がします。
ドローンの飛行禁止区域は設定されていますが、侵入した時点で問答無用で撃墜している訳ではないでしょう?
海外ではそういう所もあるのでしたか?
ドローンをコントロールする電波をジャックしている訳ではないでしょう?
全ては後から捜査し、罰則を科すに過ぎません。
テロを起こそうとしている人には無力です。
これらは個人で計画し、実行可能です。
テロ等準備罪は組織的犯罪集団に適用される法律ですので、上記の様なテロ活動を計画しても警察は検挙しえないでしょう。
従って、テロ等準備罪が成立した所でテロは防げません。
いや、どんな法律を成立させた所で、個人の行動を監視する事は不可能ですし、包丁一本あれば無差別殺人は行えるので、それをテロとは呼ばないにしても、防ぐ事は出来ません。
だからといって、それを防ぐ努力は無駄なのでしょうか?
そうは思いませんね。
また、社会が変わり続ける以上、法律も変え続ける必要があります。
これで終わりという事はありませんし、これで大丈夫という事もありません。
また、時代にそぐわないものは改正するなりしていかなければなりません。
今で終わりという訳ではないのです。
人間である以上、未来を見通す事は不可能ですし、完璧なモノなど作れません。
どれだけ用意周到に考え、抜かりなく計画した所で、運用していくうちに不備は出てきます。
想定外の事態など、いくらでも発生するモノです。
従って、現実的な所でいえば、緩く制定しておいて、後から細かく詰めていきがちです。
でないと、不意の状況に対応出来ませんから。
厳格に厳密に法を制定すると、それを超えた事態には対処出来ず、時間だけが無駄となってしまいます。
人命に関わる場合、どうしますか?
大きな事件が発生しそうな時、現行の法では罪に問えないなんて、不幸な事では?
技術の進歩は劇的です。
今までの法律では予想しえなかった犯罪行為が可能になるかもしれません。
そんな時、いちいち法の制定を待つよりも、緩い法を制定しておいて、捜査関係者の裁量に任せた方が良いのでは?
それが治安維持法時代の権力側の恣意的な運用につながる、という懸念は尤もです。
では、そうはならない様に対策をすれば良いだけでは?
それが不十分な段階で法の制定を急ぐから問題だ、でしょうか。
しかし、日本は民主主義な以上、そんな事より法の制定を急ぐべきだという意見が多いなら、仕方ありませんよね?
自分たちの立場の方が少数意見だという認識は持たれてますよね?
世論調査では拙速だという意見が多い?
国民投票をする訳ではないですから、国民の今の声は関係ないですよね。
間接民主主義の問題点ではありますが、システムがこうである以上、どうする事も出来ませんね。
結局、何かを得るには何かを代償とせざるを得ない、というだけではないでしょうか。
安全を確保するには、権力側の監視の目を認めざるを得ないのではないでしょうか。
それ以上の事は、我々一人ひとりが気を付け、意識していく必要があるのだと思います。
政治家の事が信頼出来ないのなら、信頼できる政治家を選ぶしかありません。
権力を持ったら人が変わるというなら、人間に権力を持たせるのを諦め、人工知能にやってもらうべきなのかもしれません。
まあ、それは兎も角、テロ等準備罪は始まりにしか過ぎません。
これから益々、監視の目は強化されていくでしょう。
これからも続く、テロとの戦いへの、第一歩にしか過ぎないのです。
テロ等準備罪で騒いでいたら、身が持たないと思ったりします。
ドローンを使った犯罪行為は、あくまでも思いついただけの事です。
警察でもそれくらいは想定しているでしょうし、だからこその飛行禁止区域でしょうから。
精密機械は、ほんのちょっとした事で重大な損傷を受けたりします。
精密であればあるほど便利なのですが、精密になればなるほど部品は小さくなり、小さなゴミ程度でも不具合が発生したりします。
便利であれば社会に広く普及しますが、普及すればするほど、それが使えなくなった時の不利益は大きくなります。
その社会に打撃を与えようと思えば、わざわざ人を殺して目立つよりも、装置に損傷を与えて経済的な打撃を与えた方が影響は大きいと思います。
これからのテロ活動は、経済的な打撃を与える方向にも進むでしょうね。