0100
it was careless of him to make the same mistake.
(同じ間違いを犯すなんて、彼は不注意だった)
【3(side by teacher)】
ある男の元に、一通のメールがとどいた。
その時男は職員室で時間割の制作を行っていたので、すぐには気づかなかった。
だから、それに気が付いたのは、当直が終わって門を閉めた後。
「……っ!」
男は自分の車に走る。
すぐにキーを入れて、自動操縦で自宅を選択する。
「はやく、頼むから急いでくれ!」
この自動操縦AIに言語を話す機能は追加されていないが、
それでも叫ばずにはいられないようだ。
そして、やっと車は動き出す。
学校に残っていた「3人」の生徒に気付かず、そのまま行ってしまった。
よほど慌てていたようで、手帳を落としてしまっている。
ぽつんと残された手帳。
いつ気付くのだろう?
【4】
彼は意趣返しを遂行するべく、思案する。
だが、次の一手が思いつかない。
そんな彼のスマホに、メールが1件届いた。
「だれだ……?」
自慢ではないが、彼のアドレス帳には父、妹と協力者1人しか入っていない。
かと言って、棒SNSアプリのトモダチやふぉろわーなども皆無である。
だから、彼が訝しむのも頷ける話だ。
『次のプランを考えましょう?』
件名には、その文字が書かれており、
下に今回の考察、
次回の作戦、
必要なモノ、
準備方法などが並んでいた。
「……」
まぁ、オレなんかに連絡よこしてくれるのはこの人だけか。
ふと思い返す。
彼は、元はただの弱者だった。
体型、顔、成績、態度……
全てを否定され、生きてきた。
だが、このメールの主が、彼を導く。
今回は、その手始めのプランだったのだ。
「どうせ、オレには無理な話だったんだ」
この内容だけを見れば、可能性は見える。
だが、一度の失敗で彼は折れていた。
半ばあきらめ気味に最後までスクロールすると、
一つ、URLが乗っていた。
『貴方が誰に味方されているのか知れるわよ。
https://www.iutas◆◇◆.co.jp/……』
どうせ最後だろうと思い、URLをタップする。
iutasというサイトに飛んだ。
この日、とある高校1年の生徒が行方不明になった。
同時に、死体が一つ校門前にばらばらに捨てられているのが発見された。
ただ、その女生徒の頭だけは無かったという……
新聞の見出しは大賑わいだ。