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i interpreted his silence as a sign of dissatisfaction.
《私は彼が黙っていることを不満のしるしと解釈した》
【8】
彼はぼんやりとした意識の中、目を開けた。
なんだか体が自分のものではなくなったような感じだ。
「起きた、同志」
そこにはIUTASがつぶらな瞳でいた。
いや、瞳というよりは視覚センサー?
ロボット工学に詳しくない彼には知る由もなかった。
「なにがあったんだっけ……?」
いや、そもそも……
「オレは誰?」
……記憶が無い?
何も覚えていない……
だが、言葉は話せるし、理解も出来る。
目の前の彼女が機械仕掛けの傀儡だということも知っている。
だが、
オレが誰で、何故こんなとこにいるのか、それが分らなかった。
「ふふっ♪」
ただ、目の前のIUTASが嬉しそうで、
もうそれだけで良かった。
【9】
実験は成功だ、とメガネの男は思う。
意味記憶だけを残して、全てを消す。
そしてそれを人形に移植して、汎用人型自立思考型機械種の完成だ。
「ふつ」
これで8体目。
計画は順調。
「8体目のやつの名前はどうするんですか、リーダー?」
研究員の一人が問う。
「そうだな……《Type7 IA》とでもしておくか。それと、プロトタイプであるIUTAS様が気に入ったようだから、暫くは一緒に置いておこう」
「承知しました」
部下は観察室を退出していった。