スイッチ
ドアや窓のない真っ白い殺風景な部屋に、一人の男がたたずんでいる。
男は何故、いつ頃から自分がここにいるのか分からないでいた。
白く染まった部屋の壁にスイッチがある。男はそのスイッチを押すが、部屋にはとくに何の変化も起こらない。
だが、押さなければいけない様な気がした。
ある場所で、クラゲ形の宇宙人が宇宙の果てに到達した。また別な場所では、人々が死ねないと騒いでいる。博士が妙な発明品を作り出し、風呂嫌いの神様は頭を掻きむしり、サンタクロースは鹿を盗んだ。
男には何の為のスイッチで、何の為に押すのか分からなかったが、何故か、
「このスイッチを押せば、どこかで何かが起こる。」
そんな確信があってならないのだった。