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第11話:唐草模様

 むか〜し、昔、とある所に1人の男がりました。その男は古くより続く武術家の家系の嫡男で、その家は武術家とは名ばかりの『任侠』を重んじる極道の家の一族なのでありました。なので男は、やはり凶暴で、悪という悪をやり散らかして、それはそれは立派なヤクザが一匹、出来上がってしまったのでした。



『赤松の白竜』



 人はその男をそう呼び恐れ、男は人にそう呼ばせ、それはそれは恐ろしい悪魔へと変貌していったのでありました。

 男は何より戦いが好きでした。特に血が飛び交うような戦場のような戦いが大好きでした。白竜の名の下に白いスーツを着込んでは、日本刀を片手に、幾度となく敵対する暴力団関係組織に喧嘩を売りに行き、そして、帰る頃には、その着込んだ真っ白であったはずのスーツをどす黒い色のスーツに染めて、ほくそ笑むのが彼の日課でありました。幾度となく繰り返されるそれは、街をも巻き込む大事件となり、街は血で血を洗う地獄と化していったのでした。やがて、その抗争は男の配下に付く敵組織という王者の図が出来上がり、街は文字通り、男の支配下に置かれてしまうのでした。彼が仕切る街は惨然とし、誰もが暗い影を落とし、下を向いて生きていくしかありません。もはや、男を止める者は居りませんでした。もはや、この地獄を救う手だては、ありはしなかったのです。

 そして、数年後…





 男は組織の跡目を弟に譲り、ヤクザをやめたのでした。

 何故、男が急に巨大な組織のボスをやめたのか、それは組織の誰にも分かりはしません。ただ、見つけたのです。男は見つけたのです。金より、力より、権力よりも、大切にしたい『極道』を、彼は見つけたのでした。









「それで?どこに居るとね、あの男は?」




 あぁ、まずい。いや、本当にマズイ事になってしまった。新婚さんである和屋 杏子は思った。確かに、確かに、旦那は浮気と思わしき疑いのある事をしていた。携帯電話の予定表なんかに『女と会う』なんて約束事なんぞを書き込んでいたりしていたが、だが、それは真実なのか?

 今になって嫁である杏子は、とある不安を抱えて考えこんでいた。



「カーーーッ!?…あん(あの)、男は、杏子ば、嫁に貰い来た時に、何んて言うたか、忘れた訳じゃあるまいなぁっ!?」



 何やら、細長い物を入れた唐草模様の布を振り回しながら、和服を着こんだ初老の男・杏子の父親である柏木 竜ノかしわぎ たつのじょうは怒り心頭であった。それを横目で見て、娘である杏子は、ズササーっと自分の頭から血の気が引いて行くのが分かった。あ、やばい…ヤル気だ、この人。

 もちろんの事、旦那が本気で浮気なんかをしているものなら、それは嫁としては許せない。いや、もはや、許す許さないの問題ではない。命を絶たせるか、させないかの問題である。……現実的には冗談であるが、そういうくらいの気持ちなのである。が、だが、彼は違う。この、自分の父・柏木 竜ノ丞は、違うのである。

 その手に持った唐草模様の細長い布端。たぶん、それは日本刀。中身を出せば悪即斬の武士の武器。彼は、やるだろう。必ず、実行するだろう。自分と同じ血。いや、それよりも濃い血を持つ父は、旦那が浮気をしている現場を見たものならば……



「杏子っ!!」


「ふぁ、は、はいっ!?」



「もはや、彼奴めを追うことは無いな!?裏切り者に対して、お前も命をかけて追うことなんぞ無いわっ!!」


「えっ、いや、あの…おとう、さん?」



「今宵の我が自慢の刀……ちょいと斬れ過ぎるやもしれんなぁ…」




(あぁ、やばい。時はまだ昼過ぎ、なのに今宵なんていってるよ〜ょよよよっ……)




 ひたすら、杏子は心の中で旦那が無実であることを願うばかりなのであった。





こんにちは、久しぶりの更新です。なんとかまだ頑張って書いております。



さて、和屋家のお嫁さんの父親・柏木竜ノ丞。前半のパートで何やらきな臭い話が書いてあるのですが、この後どうなる事やら…例によってアイディアはありません(笑)

どうしよう…

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