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転生少年、勇者を救う  作者: 新崎 勉
第一章 転生編
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第7話 模擬戦

お久しぶりです!またも遅れてしまいました。

申し訳ございません。

夢を見た。


それは一人の男の人生だった。

その男は、異世界から召喚された者だった。

その男は、誰かのために剣を振り続けた。

その男は、多くの者を救い続けた。


そしてその男は、英雄となった。


英雄となった後、彼は選択を迫られた。

世界を取るか、大切な者を取るか


その選択の末、彼は世界を救った。

大切な者と、彼の心を犠牲にして・・・。



―――暗転


意識が浮上する。

視界に映るのは、寝室の天井。


誰かの顔が見える。この顔は―――


「よう、起きたか?」


―――この世界での俺の父、ジョセフ・アーウィンだった。








構えは下段。

手に持つは木剣。

相対するは俺の父。


……あれ?なんでこーなったんだっけ?

―――あ、そうだ。

なんか、起きたら鍛えなおすって言われたんだっけ。


思考を戻す。

眼前には、王都中央魔術学校歴代最強とさえ言われた男。


生半可な剣では簡単に返されるだろう。

だったら・・・


「最初から、全力で倒しに行くッ!!」


血流が加速するような感覚。

流れる景色は減速し、時間の感覚は引き伸ばされる。


―――時空魔術


時間や空間を自在に操ることの出来る無属性系統の魔術。

適性のある者が使えば、時間を巻き戻したりも出来るらしいが、適正の無い俺には体感時間を操るぐらいしか出来ない。

それでも、普通は強力な武器になるはずだ。


そう、普通ならば。


目の前の男は、最強と謳われた剣士。


それを相手に、両手の剣と少しの加速程度で追いつけるか?


答えは否、追いつけない。


一瞬、腕が霞んだかと思うと、俺は上空に弾き飛ばされていた。


……やばい、これどうやって着地すればいいんだ?


「うわああああああああ死ぬうううううううううう!!!!!???」


近づく地面。

目測で高さは10メートル近くあるだろう。

そして真下には我が父。


―――それを確認すると同時に、俺の体は動き出す。

空中で無理やり体を捻り、体勢を立て直す。そこから剣を振り下ろしながら落下する。

振り下ろしながら父を見る。

その目は完全に俺を射抜いていた。


―――ゾクリ、と悪寒が走る。


だがもう遅い。左手の剣はもう振り下ろされている。

どう足掻こうと空中で振り下ろす剣を止めることはできない。

ならば出来ることはただ一つ―――


「ハァァアアアアアア!!!」


―――ただ振り下ろすのみ。




―――振りぬかれる剣

両者の距離は僅か1メートル

眼前に迫る剣

剣速、軌道ともに、とても子供が振るう剣とは思えない。

恐らくその威力も、とてつもないものだろう。

しかし―――


「身体強化使ってその程度じゃ、このジョセフ・アーウィンには届かねぇよ」



剣と剣がぶつかり合う。

その音はまるで、金属同士がぶつかり合うような音だ。とても木剣から出る音ではない。

その音の発生源は俺の剣ではなく、父さんの剣だ。

手に伝わる衝撃はまるで、金槌で思い切り打ち付けたような痛みだった。


「っ……ぐぁ……ぁぁああああああああ!!」


左手に伝う衝撃を利用し空中で体を無理やり回転させて、右の剣で凪ぐ。

しかしそれも―――


「…クソッ」


―――高速で引き戻された剣により防御された。

瞬間、視界から父さんが消える。

振り向けば振りぬかれる木剣。

防御も回避も間に合わない。

そう思った瞬間、剣が俺の体を直撃した。




また意識が暗転してゆく。


―――もう、眠ってしまおうかな…。


意識が奥深くに沈むような感覚がする。


―――ああ、そういえばあの日も、こんな感じだったなぁ。


思い出す。

あの日、美咲を守って死んだ時のことを。

そして―――


―――タク君!しっかりして!タク君!!


美咲の涙を、思い出した。


そうだ、俺は何のために転生した?

何のために強くなろうとしてるんだ?


―――美咲との約束を守るためだろうが…!


だから、こんなところで眠るわけにはいかない。

せめて一撃でも、当ててやる…!

その程度の壁も超えられないなら―――


「―――俺に、美咲を守る資格は無い…!!」






……しまった。

完全にやりすぎてしまった。

タクトに攻撃するとき、力を入れすぎてしまった。

いくら身体強化を使っていたとはいえ、あんな強さで叩き込めば、ただでは済まないだろう。

子供相手に打ち込む強さじゃないな、あれは…。

無事を確認するために、タクトへと近づく。


「おーいタクト、大丈夫かー?」


声を掛けると、ゆっくりと体が動き出した。

剣を支えにして立ち上がり、そして―――


「―――ハァ!」


剣を思い切り振りぬいてきた。

それも、とんでもない量の魔力を纏わせて。

咄嗟にバックステップで避けてなければ、間違いなくダメージとなるであろう一撃だった。

振り抜いた剣を構えなおし、タクトは―――


「さあ、第二ラウンドといこう、父さん」


―――そう言って、俺の目を見る。


その目は、とても力強かった。

ぶつかり合う剣

交差する視線

そして語られる、ジョセフの過去

次回、『二人の決意』

彼は決意する、守るべき者のために

(予告のとおりにはならない可能性があるので注意です)

あと、次も遅くなるかもしれません。

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