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第八話 バイオーマーズ~地獄の錠前を開く者~




アイルVSバイオロード

「――グガルラァッ!」


 グリーンセンチピードことアイル・ア・ガイアーとバイオロード。無言のまま睨み合っていた二者の内、先に動いたのはバイオロードの方であった。彼が咆哮と共に右腕で地面を殴りつけると、体内から皮膚を突き破って緑色をした触手のようなもの――彼の身体に植え込まれほぼ一体化している奇妙な植物の茎――が伸びては地面に突き刺さり、そのまま潜り込んでいく。

「ガウァッ!」

 バイオロードは茎を幾らか潜り込ませて引きちぎり、地面に向かって一声吠える。

「(な、何を始めようっての……?)」

 アイルはバイオロードの不可解な行動に一瞬困惑していたが、すぐにその真意を知ることとなる。

「グガルァッ!」

 バイオロードの声に応じるように、彼の足元から植物の芽らしきものが顔を出す。それは驚くべきスピードで成長していき、異様に太短い謎めいた低木へと姿を変えた。更に次の瞬間、低木は実をつけていた。だがついた果実は一つだけで、大きさも(バイオロードにとっては掌に収まり一口で喰えるサイズだったとは言え)低木に対して明らかに巨大過ぎた。更にその外見も、赤紫とも黒ともつかない鱗のような果皮に覆われた不気味なものであった。

 アイルはその隙にバイオロードを攻撃することもできはした。だが『下手に手を出せば何をされるかわかったものではない』という未知なるものへの恐怖に囚われただ呆然とその様子を見ていることしかできなかった(と、後に雑誌のインタビューで語っている)。

 そんなアイルを尻目にバイオロードは低木についた果実を乱雑にもぎ取る。するとそれは彼の手の中で金属光沢を放つ青色をしたオレンジのような柑橘類に姿を変えた。

「(あれは蜜柑……っていうより、オレンジかしら? 何かびっくりするほど青色だけど。いや本当、何でオレンジだとわかったのかわからないくらい青色だけど――って、なぁっ!?)」

 刹那、アイルは驚愕の余り(独白モノローグでだが)絶句した。その後暫く固まったように佇んでいたバイオロードが、手にした青い柑橘類を一口で喰ってしまったのである。

「(な、あ、あいつ……明らかに食べ物じゃなさそうなメタリックブルーのオレンジを、皮も剥かずに一口で……しかも何か身体の色変わって来てるし!)」

 アイルが独白で語る通り、バイオロードの体毛は元の茶色がかった灰色から喰った柑橘類と同じ鮮やかな青色へと変化していた。

「(け、毛の色が変わった!? これは流石にヤバいわね……もう用心なんてしてる場合じゃないわ!)」

 決意を固めたアイルは、青く変色した巨獣を切り伏せようとムカデの顎を模した双剣"ピードスライサー"を掲げながら跳躍し、その勢いに任せて展開した翼を駆使し目にも留まらぬ猛スピードでバイオロードへ迫る。途中口に含んだ石ころのような何かを弾丸のように飛ばして来られはしたものの、それを回避できないようなアイルではない。

「(そんなの攻撃の内に入りゃしないわよっ、間抜けぇ!)」

 かくして瞬く間にバイオロードへ詰め寄ったアイルであったが、彼を待ち受けていたのは予想外の出来事であった。

「ゥグル……」

 突如不自然に膨れ上がる、バイオロードの腹。

 後にアイルはSNSにて『それは膨れ上がるというより、内部から棒状の何かが右斜め下へ向かって突き出ているかのようだった』と語る。

「グガァ……」

 腹の中にある棒状の何か――その形が、次第にはっきりしてくる。

 後にアイルを取材した雑誌記者は、彼の口から『その時、腹から突き出た何かがある器物の一部分に見えた』という言葉を聞く。

「……ガォァ」

 バイオロードは少し間を置いてから、腹の中から突き出した棒状の何かを力一杯握り締める。

 続けて記者はアイルから『その瞬間、確信した』という言葉を聞く。

「――グゥラガァァァァァァアアアアッ!」

 握り締められた棒状の物体が、思い切り引き抜かれる。肉が裂け、血が吹き出し、臓物が飛び出る。然しバイオロードは一切動じず、体内にまで埋め込まれた植物に傷の治療(というよりは"修復")を任せたまま、引き抜いた物体を全力で、然し無駄なく振り抜いた。

「なっ……何よあ――く、がふあっ!?」

 引き抜かれたその"器物"は、突然の出来事に動揺し空中で動きの止まってしまったアイルを薙ぎ払い、吹き飛ばす。咄嗟の防御とスーツの耐久性が功を奏したか、幸いにもアイルは戦いに支障を来たす程の傷を負わずに済んだ。「な、何よあれ……一体どういう事なのよ……? 何であいつのお腹からあんなのが……!」

 アイルの身体は純粋な驚愕の余り無意識の内に震えていたが、それもその筈であった。何せ彼を薙ぎ払った――則ち、バイオロードの腹から引き抜かれた――"一部分が棒状の器物"というのは、刃の部分が金属光沢のある橙色、鍔から柄の部分が同じく金属光沢のある緑色をした太刀だったのである。

「一体どういう原理なのよ、いや冗談抜きで……」

 アイルは衝撃的な光景に度肝を抜かれ困惑するも、何とか落ち着きを取り戻す。

「まあ、いいわ……永谷ちゃんも姉さんも紀和も結構ヤバい相手と戦わされてるし、ガランに至っては異空間で消息不明だし……ならあたしも頑張んなきゃねぇ」

次回、柵木VS流星ルーシン

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