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第二十三話 るー☆しん~スイッチが入るとき~





更新遅れてすみません。それ以外に言葉が見付からない

 流星ルーシンの棒術に追い詰められながらも咄嗟の機転で姿を変え何とか巻き返し彼より優位に立つことに成功した柵木であったが、然し彼女にとっての好況は想定していたより終わる結果となってしまっていた。


「ッシエア、づあらあっ!」

「っくぅっ!?」

 振り下ろされた流星の鉤爪――彼の右手の手首か甲辺りから三本生えたもので、長さ60cm程とかなりの長さを誇る――を、柵木は手元にあった杖で素早く防御する。

「おウオうオウおうっ! どウしタよ、何がアッたんだよBBA(ババア)!? ついサッきマデの余裕は何所へ何シに行っチマいヤがッたあ!? 南南西へ観光旅行か? 北西へ武者修行か?異次元まで運転免許の更新ニデも行っチマってんのカー!?」

 調子付いた流星は柵木を煽るように大声かつ早口で捲し立てる。

「まアドーだろーが俺にゃ無関係だガナあ、死ニタくなきゃあサッサと連れ戻した方がイーんじゃネエのかっ? オメーの余裕って奴をヨぉ!」

『変形、第十一按鍵輸入-鉄錘殴打』

 何処からか抑揚とやる気のない中国語らしき電子音声が響いたのと同時に、振り上げられた流星の左腕から突如として大ぶりなハンマーが生える。

「うおぅっ!?」

 ハンマーの生えた左腕が振り下ろされる瞬間、すんでの所で全身を金色の微粒子に変化させどうにか逃げおおせる。一方そのまま振り下ろされた流星の左腕から生えたハンマーの衝撃は地面を抉るかのようなものであった。

 微粒子から距離を

「出タか、微粒子化……生前、只でサエ多芸でメンドーだッたオめーを余計メンドーにしテタ糞めンドくセー魔術……」

「ほう、知っとったか」

「ッたリメーだ。知らズニおメーとルわキャねエダろウガ。寧ろ何で今マで使わなかッタんダってグレー、超警戒しテタんだゼえ?」

「そりゃそりゃすまんかったのぅ。然し許せや、慣れん姿でこれ使うんはどうにもややこしゅうてなぁ」

「おンめーに慣れねー姿とかあンノカよ、初耳だなオイ。まあいイヤ、どの道おメぇは、助かラネえ……」

『改変容貌、第零按鍵輸入-白色的按鍵入力』

 先程同様抑揚とやる気のない電子音声が響いたのと同時に、柵木は流星の胸元辺りで何やら"カチリ"という音がしたのを微かに聞いた気がした。然し冷静に考える間もなく、流星は元の青と金色という派手な色合いをした武術家から一変、無機的なロボットの如き鎧を纏うSFじみた戦士へと姿を変えていく。

「来到、宇宙ッ!」

 試合を目前に控えた格闘家のように気合いを入れた所で、変身は完了した。

「(な、何じゃ!? 白黒のカラーリングにオレンジ色をした噴射孔とあの微妙な曲線……まるで宇宙船か何かのようじゃが……)」

 余りにも差のあり過ぎる姿への変貌に、柵木は内心動揺していた。

「ン、どォーシたぁ? 動揺しテンのかイ? ま、ショーがねエヨなぁ、何せ目前で敵がいキナり姿変えチマっテンだかラナぁ、そりャア動揺しネエ方ガオかしイッつう話だガよぉー」

「……よう妾が動揺しょおるとわかったな。そねん顔に出とったか?」

「いヤ、全然。ツーかマジで動揺しテタのカよ?」

 予想外の言葉に柵木は息を飲み、直後に思った――『してやられた』と。動揺云々の発言はハッタリであり、自分はそれにまんまと乗せられてしまったのだ。

 それそのものは別段大したことではなく、戦況に何ら影響を及ぼす事もない――仮に及ぼしたとして、柵木程にもなれば後から幾らでもカバーが可能なレベルでしかない――ほんの些細な出来事でしかない。だというのに柵木は、どうにもそれを不安に感じてしまっていた。

「……」

「そウカぁ、動揺シてたノかぁ。へえー、フうーん、ほおーン……マ、何度も言うヨーだがソラしょウがネエよ、誰ダって動揺すル。俺だッテ動揺スる。寧ロ表情カおに出てネーだケすンげーと、俺ぁ思うガね?」

「いや、動揺しょおるっちゅう事を言わされただけ妾の落ち度じゃ」

「そウカ? ま、オめーがソー思うンなら俺ぁ否定シネーがなぁ。何せてメエの事だしよオ」

『変形、第一按鍵輸入-火箭飛行』

 抑揚のない電子音声を合図に、二人の戦闘は再開される。

「ゥあっしゃあ!」

 先に動き出したのは流星であった。鎧の右腕部分が複雑に展開・変形して体積が増しバランスが偏っているにも関わらず平然と空高く跳び上がる。それを目で追おうとした柵木であったが、視線を上に遣った時眼前にあったのは、右腕に備わるロケット型ガントレットからのジェット噴射で柵木目掛けて突進しつつある流星の姿であった。

「ぉうっ!?」

 信じがたい出来事に柵木は一瞬混乱しかけるも咄嗟の判断で普段の自身を模したフィギュアに化け小さくなることで攻撃を回避。背後数メートルで流星が停止・着地したのを確認し元の姿に戻る。

「(……な、何なら今のは!? 跳び上がったんを目で追うとった筈が、何時の間にやら眼前まで迫られとった……俄かには信じられん話じゃなぁ。一体何をどねんすりゃあんだけゴツい格好ナリであねん早う、まるで瞬間移動をするかのように飛べるんじゃ……)」

「おウオうオう、どウシたよBBAババア? マサかとハ思ウが、俺の新しイ姿にビビっテ動けねーとカ、ソウイう事はネえだロうなぁ? 」

「おう、まあビビっとりゃせんわ。驚きはしたけぇな」

「フむ、まア確かニ驚きャスらーナあ。……何なラここデ、俺につイての諸々も含めテ少しばカリ解説しネー事もネエぜぇ? こレでも一応武道志シたクチだぁ。大物相手に全力出ス以上、アる程度手の内明かスのは礼儀みテーな所あルシよ。何よリオめー、好きダろぅ? こーイう『戦闘中の雑談』て奴ガよう」

「ええんか? まあ確かに妾、敵と喋るんは好きじゃけぇども」

「イーってコトよぉ。そレに、俺とシてもオめーに話しとキテーネタとかあルカラよぉ」


 かくして流星は柵木に、自分の身に纏う装備や自身の過去について語り出す。

次回、流星の過去と目的が明らかに!

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