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第十一話 褌竜無双~それでも最後は服を着る~





2/14だからってバレンタインデーネタの話を書けるような流れじゃない。

ならせめてフンドシの日ネタを……

「「「「「グレェェェェェェ!」」」」」

「「「「「グレグレェェェェ!」」」」」

「「「「「グレグレグレェェ!」」」」」


 ジェム・ザ・ソーマの魔術によって様々な年齢・体格・服装の仮面女に姿を変えたワールドショックの戦闘員"グーレイ"達は、刃物や鈍器などこれまた様々な武器を掲げ一斉にただ一人の標的――白褌一丁というほぼ裸同然かつ丸腰のガラン・マラン――に襲い掛かる。その数ゆうに数百名。普通ならば(武装の有無に関わらず)目にしただけで逃げ出すなり身構えるなりするのが当然とも言えるような数であった。尚余談だがこのグーレイ達、"グ"と"レ"で構成される鳴き声めいた言語を発することしかできない(つまり、我々人間のような言葉を操ることができない)という、何とも在り来たりな特徴を持っている。


「……」


 然しこの頭に赤いタテガミと兎かロバの如き耳とレイヨウの如き角を生やした爬虫類(要するに翼のないドラゴン)のような巨こn――もとい巨漢は、逃げ出しも身構えもしないばかりか、動揺したり驚くような素振りさえ微塵も見せず、ただ何をするでもなくぼーっと突っ立っている。ともすれば当然、グーレイ達は『笑えるほどに隙だらけ。袋叩きにする絶好の機会チャンス』と考え、そのままより勢いよく、嬉々として突撃していく――勿論、直後の展開など知るはずもない。


「グレグレ。グレグレグーレ(和訳:何だあいつ、起きてからずっとぼーっとしてるぞ?)」

「グーレ。グレーグレ(和訳:そりゃ知らない内に自慢の装備を奪われたんだもの。無理もないわよ)」

「ググレッグーグレッグレッグー(和訳:その上あんな惨めな身なりだからな。ショックで思考が止まるのも無理はあるまい)」

「グレレグレググ、グーレググレーレ(和訳:ま、どうだっていいじゃない。どんな格好だろうと叩きのめしちゃえば同じよ)」

「グレググレグ。グレグ、グレグッグ、グレッレグ!(和訳:そうだよな。そして奴をぶっ殺せば俺らは昇進のチャンスって訳だ。幹部も夢じゃねーって訳よ!)」

「レグレレグレ。レグレ、レグレッレ、レグッグレ!(和訳:そうと決まれば絶対に昇進してやるわよ。この戦いが終わった暁には幹部になってやるんだから!)」

 かくしてグーレイ達は、敵を倒し手柄を上げる事ばかり考えながらガランへ襲いかかる。


 あと少しで武器の先端が奴に届く。

 あいつを殺せる。最初の連中エスカレンジャーより格上であろうあいつを殺した功績があれば、幹部か、少なくとも戦闘員以上の役職への昇格は確実になる。


「(そうなりゃあとはこっちのもんだ!)」

「(楽な仕事で高いギャラ!)」

「(薔薇色幹部ライフが待っ――レグァッ!?」

「グレェ!?」

「レググゥッ!?」


 そんな『獲らぬ狸の皮算用』ならぬ『殺さぬ敵の首算用』とでも言うべき空虚で無意味な妄想に浮かれるまま突進していたグーレイ達がガランに軽々と殴り殺されたのは言うまでもない。浮かれるまま無計画に突進したことが原因か、瞬く間にガランの目と鼻の先まで迫っていた彼らは然し、自分達が既に敵の間合いに入ってしまっていたこと――即ち自ら殺されに行っているようなものだという、至極当然の事実――に、まるで気付いていなかったのである。


「ほっ」

「レグぶっ!」

「ふん」

「グレビばっ!?」

「よい」

「レぶふぅ!」

「そら」

「レベェーッ!」


 ガラン目掛けて突撃を続けるグーレイ達が次々と殴り殺されていく光景は、凄惨を通り越して滑稽ですらあった。だが幾ら同僚が死のうともグーレイ達は突撃をやめず、そんなグーレイ達をガランは至極いい加減でやる気の無さそうな手付きと力加減で殴り殺していく。否、それは"殴り殺す"というより"払い除ける"という表現の方が妥当であろうか。

 ともかく戦況は余りにも一方的であり、グーレイ数百名の軍勢はガラン一人によってものの15分程度で全滅させられてしまった。単純計算にして、一人凡そ1.5秒で殺された計算になる。


「……さて、こんなもんか」


 激戦を経て訪れた一先ずの平安に、ガランは安堵しつつも身構える。これだけの異空間を用意しておけるだけの力を持ちながら、まさかこの程度で終わりではあるまい――そんなガランの予想通り、程なくして彼の眼前に次なる敵が姿を現した。その敵とは――先ほどと同じ数百のグーレイであった。ただ、顔を覆う仮面の額部分に炎を象った赤い水晶か宝石のようなものが埋め込まれている。


「……何か、ベスト尽くしてねぇ気がするんだが気の所為か?」


 ガランの素朴な疑問に答える者は居なかった。だがその代わりとでも言わんばかりに、闘技場内へアナウンスの声が響き渡る。声の主はこの空間を作り上げた張本人――即ちジェム・ザ・ソーマである。

『ヘイ、そこの哀れで惨めなトカゲ』

「(トカゲ……俺の事だよな。翼ねぇし、トカゲに見えても仕方ねぇか)」

『次のショーもさっきみたいに行くと思ったら大間違いよ! 何故って、次にお前の相手をするのはグーレイの一段上を行く"フレイムメイジグーレイ"だからよ!』

「(それって結局さっきのグーレイとか言う連中と同じようなもんじゃねぇの?)」

『言っておくけど「それはグーレイと何が違うのか?」なんて野暮な質問は無しよ。確かにこのフレイムメイジグーレイ、元は普通のグーレイよ』

「(やっぱ普通のグーレイなんじゃねぇか)」

『だけどそんなグーレイにファイアールビーを加えて強化することで火力は三倍、その他の基礎能力も30%上昇した奇跡のグーレイ。それがフレイムメイジグーレイなのよ!』

「(だったらもう最初から全部三倍にしとけよ。何でベストを尽くさねぇんだよ)」

『あとこれは余談だけど、お前から剥ぎ取った衣服と戦闘スーツは部分ごとに分けてそのフレイムメイジグーレイに封印してあるわ。封印してあるグーレイが死ねばお前の身体へ自動的に服が戻る仕組みよ。あとその褌はお前が元々履いてたグレーのボクサーブリーフを取り戻せば入れ代わる形で外れるわ。忘れないことね!』

「(……何でそんなゲームにありがちな親切設計にしたんだよ。ま、いいか……服やスーツに何か妙な事されてなきゃいいんだが)」


 かくして二度目の戦いの火蓋は切って落とされる。

次回、引き続きガラン回です(そしてガラン回終わり次第紀和回、柵木回、アイル回、永谷回を重点的にやって行きますよ)

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