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第十話 際どい身なりの女と触手の戦いでエロに走らないのは間違っているだろうか~だって書けないんだもん~





紀和VSキメラ&Eラブリール!

「行くわよラブリールちゃん! 私達の本領をあいつに見せつけてやりましょう!」

「ギシュジュワギギュギギギギィィィーッ!」

「(本領、って……一体何をしようっていうのかしら? まさか自爆とか? それとも敵前逃亡?)」

 強化型炸裂細胞や様々な武装を効率的に駆使する紀和により追い詰められたキメラE及びラブリールのド変態触手コンビが状況を打開すべく実行に移したのは、何とも荒唐無稽で驚くべき(そして当然、紀和の予想ともまるで違う)作戦であった。


「さあ、いらっしゃい……」

「シュギォンッワアアアアアアア……」

 やけに落ち着いた様子のキメラEがまるで誘惑するかのように言葉を紡ぎ、それに応じるようにラブリールが触手に覆われた不気味な口を開く。そして次の瞬間、紀和は己の耳を疑う驚くべき台詞を耳にし、また目を疑わずには居られない凄まじい光景を目の当たりにする。

「……存分に、召し上がれ・・・・・

「ンミュヒヮァアア――モッフュゥ」

 大口を力一杯開いたままじりじりとキメラEに近寄って行ったラブリールは、そのまま彼女を一口で丸呑みにしてしまったのである。まさに『召し上がれ』というキメラEの発した言葉のままに。「んなっ! あ、あの化け物……仲間を丸呑みにっ……! しかも触手痴女の方の言葉からすると……」

 この後に何が起こるのか、大まかにではあるものの何と無く予想できた紀和はラブリールを止めようとしたが、毒薬か何かを仕込まれた所為なのか、身体が全く動かない。

「っく……目の前であんな事になってるのにまるで動けないなんて、こんな馬鹿なこと……!」

 そうこうしている内にもラブリールは全身の触手を激しく蠢かせながらその姿を変えていく。そうして出来上がったのは、無数の触手が寄り集まるようにして形作られた身長数メートル程度で無駄にスタイルのいい(然し色合いは地味な)女人異形であった。

『んンーっ……こぉんなもんかしらぁねぇ。さぁあ、覚悟なさぁいブルージェリーフィッシュ。ここから先はぁ、一味違うわよぉ?』

 紀和は、発せられる声と喋りから女人異形の肉体を動かしているのがキメラEの人格であり、また自身の推測通り彼女とラブリールが心身自我まで完全に融合したのだと確信する。

「……一味違う、ねぇ」

 冷ややかに身構えた紀和の手元に、ウンバチクラゲのような意匠のある透明な細長い杖が現れる。そして紀和が何やら呪文のような言葉を唱えると、杖の両端がまるで変形菌のように蠢き、細くも脆弱さを感じさせない透き通った鎖鎌へと姿を変える。

「いいわ。そこまで言うなら試してあげようじゃない、あんたの力を……」


 かくして紀和と(ラブリールと融合した)キメラEの戦いは再開される。

 その戦いは一見キメラEより遥かに小柄な紀和の方が不利であるかのようにも思われたが、然し両者の圧倒的とも言える体格サイズ差は紀和にとってさほど苦にならず、寧ろその逆ですらあった。何せ相手より小柄であるという事は、則ち相手より小回りが利くという事であり、相手の死角に入り込みやすいという事でもある。

 更にこれを後押しするように、ブルージェリーフィッシュの戦闘スーツ(とは言うものの少々幅広のX字ビキニへ多少ばかり半透明の装甲版を付け加えただけという、際どく扇情的なデザインの代物)には肉体をゲル或いはエアゾル化させ高速移動するという(中々厄介な諸々の制約こそあれ使い方次第ではこの上ない性能を誇る)機能が備わっていた。この機能のお陰で紀和は(キメラEとラブリールが融合する前以上に)戦況を有利に進められていたのである。

 然し当然、幾ら戦況が極端であろうとも、このまま紀和にやられっぱなしであっさり撃破たおされるような二人ではなかったのも事実であった。

『(くっ、ぎぅぅ……このままじゃやられちゃうわ……そろそろあの力を使う時のようね!)』

 このままでは死んでしまう。そう思ったキメラEは、ラブリールとの融合によって得た新たな能力を開放する。鎖鎌によるダメージで痛む身体を半ば無理に動かし立ち上がると、全身を構成する触手を波打たせる。すると彼女の全身が瞬く間に光沢のない金属のような灰色がかった銀色に変化する。

『古の世に生まれし神、満たされず求める者、欲解き放ちし七つの命よ! 我が身を器とし我が眼前の愚者愚物に御身皆々方の大いなる御力を示し給え! 皇頭七栄円陣おうずしちえいえんじん!』

 寄り集まって女体を成していた触手は一瞬にしてうねりながら解かれていき、やがて再び纏まりながら形を成していく。

『第一の命! 赤の神! 炎纏いし空の智者! 我が血肉にて、今蘇らん!』

 キメラEの叫びと共に完成したのは、寄り集まり束ねられ編みこまれた触手によって形作られた鳥とも翼竜ともつかない姿をした赤い巨獣であった。それは触手によるものとは思えない程に――或いは、触手によるものであるが故に――この上なく美しく、それまで彼女を痴女と見下していた紀和さえも思わず心を奪われるような洗練されたデザインをしていた。

『さあ、とくと見るがいいわ! これぞ私の切り札「王頭七栄円陣」が擁す奥義の一つ「ビリジアンアイズ・レッドホーク」! 狡猾な赤き天空神の知略は、太陽を手本とした命の炎によって完全なものとなる! 覚悟なさい、ブルージェリーフィッシュ! あんたも今に、この炎で焼き尽くしてやるわ!』

次回「褌竜無双~それでもやっぱり服を着る~」

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