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類義累積
朝、目覚めると雨が降っていた。
取り込み忘れた洗濯物がベランダで、びしょ濡れのぐしょ濡れのずぶ濡れになっている。寝ぼけ眼と寝ぐせ頭を奮い立たせて重い衣類をかき集め、洗濯機をまわした。
洗い終わるまでに時間があるので、その間に朝食を摂ることにする。フライパンを火にかけ、目玉焼きをサニー・サイド・アップに作り始めたところで電話が鳴った。母からだった。先日教えたインターネットでのホテルの予約方法をもう一度説明してほしいとのことだった。機械音痴の母が理解できるように諄々《じゅんじゅん》と丁寧に言葉を選んでいたため時間がかかってしまい、電話が終わってふとフライパンを見ると、目玉焼きは燃え尽きて黒焦げになっていた。
『類義累積』
意味の似た言葉を並列して繰り返すことで強調しつつ、多面的に表現する。