肖像
世界でも有名なとある画家が、衝撃的な作品を発表した。
そこに描かれていたのは何人もの人。
それもただの人ではなかった。
ある人には片腕がなかった、足がなかった、耳がなかった、顔が不自然に歪んでいた、だらしなく口を開けて涎を垂らしていた、二人の頭が繋がっていた、頭が醜く凹んでいた、目が一つしかなかった、口がなかった、顔が二つあった、もはや人の姿をしていない何がいた。
画家は、それはもう様々なところから批判を轟々に浴びた。
「差別的だ」「馬鹿にしている」「可哀想だ」「酷いと思わないの」
そんな罵声を。見ず知らずの人間から大量に浴びせられた。
画家はそんな周囲の反応を一通り聴き終わって、こんな一言を残した。
「あなた方が、どんな目で彼らを見ていたのかがよくわかりました」
画家は、モデルとなった人物全員に許可を得て、作品を描いていた。