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第1話 君が幸せになりますように。

 神さまおろし。


 君が幸せになりますように。


 毎日絵を描く。

 毎日、絵のことを考えている。

 毎日、誰かと競争をしている。

 毎日、……、絵のことが好きになったり、嫌いになったりしている。

 自分のことを好きになったり、嫌いになったりしている。

 毎日、毎日、わたしは絵を描いている。

 私は画家だから。

 絵を描くために、生まれてきたんだから。


 生まれ変わったら、どんな人になりたい?

 どんな人がいいかな?

 いっぱいおいしいものが食べられて、おなかいっぱいになれる人がいいな。

 甘いお菓子とか甘い飲みものとかいっぱい(我慢しないで)食べたり飲んだりしたいな。

 大きなお風呂にも入りたいな。

 あったかい家があって、お日様の匂いがするふかふかのお布団があって、洗ったばかりのパジャマを着て、ぐっすりと眠りたいな。

 そんな生きかたも楽しいのかもしれない。

 でも、私はやっぱり絵が描きたい。

 絵を描いているときがどんなことよりも一番楽しい。一番幸せなんだから。

 だから、私はやっぱり生まれ変わったとしても、『私になりたい』って思ったんだ。

 生まれ変わっても『絵が大好きな私になりたい』。


 やまと


 ものの少ないとても片付いている綺麗な小さな白い部屋の中に、一枚の絵が置いてあった。

 その絵は『一人の女の子の絵』だった。

 絵の中で、とても美しい女の子が目の覚めるような青空と、色とりどりの花が咲いている緑の世界の中で、にっこりとこちらを見て天使みたいな顔で笑っていた。

 その絵を見て、やまとはその場所からうまく動けなくなってしまった。

 うまく動けなくなるだけじゃなくて、うまく言葉も喋れなくなってしまったし、音もうまく聞こえてこなくなってしまった。

 そこにはやまとと一枚の美しい女の子の笑っている絵しかなかった。(ほかのものは全部消えて無くなってしまったのだ)

 神さまおろし。

 この絵の題名は、神さまおろしだった。

 この絵の作者の名前はりゅうという名前だった。たぶん、神話の生きものの竜からとった名前なのだと思うけど、りゅうは男の子っぽい名前だけど女の子だった。

 りゅうはやまとの憧れの人だった。

 絵を描きたい。

 画家になりたいって、思うようになったきっかけの人だった。

 やまととりゅうは同じ年の生まれの同い年だった。

 でも、りゅうは子どものころから病気だったらしくて、十七歳で病気で亡くなってしまった。(つまり、やまとが十七歳のときにりゅうはいなくなってしまったのだ)

 天才の画家はいなくなってしまった。そして天才の画家の描いた絵だけがこの世界に残されていた。

 絵の中にいる小さな女の子のりゅうはじっとやまとを見ていた。

 小さな白い部屋の中にはやまととそれから『絵の中にいる小さな女の子のりゅう』の二人だけしかいなかった。(まるで世界に二人だけしかいないみたいだった)

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