表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

発狂

作者: 森 go太
掲載日:2026/04/21

地獄の味を忘れかけていたが、

やっと思い出した。

苦しいのと同時に、

少しだけ安心している自分もいる。

これが俺だ。

これがある事で俺は、

また人に優しくできる。



-------



 全世界から自分の存在を遮断して、僕だけの世界で声を発すると、スムーズに発話できるだろうか。

 周囲の評価が上がれば上がるほど、奈落に落ちることが怖くなっていく。死のうとしていた頃のことも、もう殆ど思い出せない。ただ今死ぬことだけを考えてしまって、それが駄目なことは客観的に理解はできているけれど、どうしても吃音が大きく出てしまった時に、それが周囲に誤解されていると思うと、どうにもいられなくなって、首を吊って全て終わりにしてやりたくなるのだ。

 本気で死にたくなっていたあの時、僕は開き直って好きにやろうと決めた。他人の評価など気にせず、自分らしく生きようと思った。しかし、こうして今、吃音に抗えず、失敗をすると、あぁ、今まで積み上げてきた信頼が、全て崩れ落ちてまった、きっと陰で馬鹿にされているだろうと、悲観的なことばかりが脳裏をよぎって、何も次のことを考えられなくなって、またここで終わりにしたいと思ってしまう。

 頭がぐちゃぐちゃになって、バグる。電話が入ってくるたび、僕は叫び出したいほどの恐怖を何とか堪えながら、必死で名乗っているのだった。

 僕は本当は無能だ。

 こんなに当たり前のこともできない、社会不適合者なんだ。

 どれだけ知識があって、どれだけ指示能力があっても、喋るという当たり前のことができない僕に、価値なんて無いのだ。

 みんなが僕を蔑みの目で見ているのが分かる。

 僕はカス野郎なんだ。

 死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ

 自己否定に押し殺される。

 いっそ死んでしまいたい。

 死んで天国の扉を開けて、楽になりたい。

 そんなことを考えている僕を、僕は下らないと思いつつも、仕方ないと思うのだった。

 明日も仕事だ。

 こうやって小説を書いていると、少し落ち着いた。

 死ぬ気で我慢しよう。

 そしたら、明後日は休みだ。

 良かった。

 小説があって。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
 森 go太さん、こんにちは。 「発狂」拝読致しました。  タイトルからして、いかにも森 go太さん節。  出だしも、そんな感じ。  覚悟して、読み進めましょう。      ~ ・ ~  吃音問…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ