表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/7

第一話 仲間その5

 王族の豪奢な衣装が眩い光に包まれ、瞬く間に、彼がかつて勇者として魔王軍と戦った際に着ていた、歴戦の傷跡が刻まれた白銀の鎧と蒼いマントの装備へと変わっていく。その姿は、まるで絶望の淵から甦った英雄のように、かつての力強い輝きを取り戻したかのようだった。フェーデルは横に腕を鋭く伸ばし、「我が意思に答えよ、聖剣"レルダルスエイリー”!」と高らかに唱えた。空から一条の光が差し、彼の伸ばした手に吸い込まれるようにして、白銀に輝く優美な両刃の長剣が握られた。それと同時に、王の全身から放たれるとてつもない闘気のオーラが、足元の地面をビリビリと響き渡らせた。


「まあ待ってくれ、落ち着け。さっきの一撃は悪かった。確かにあんたを殺す依頼を受けたが、それでも話を聞いてほしい。」


「ぐっ……。どうせ張ったりだろう。殺すつもりなら、とことん来い!!」


(完全にやり方を間違えたな。初撃が強すぎたし、敵意も向けすぎた。これではもうフェーデルは俺を排除すべき敵としか見ていない)


 俺は内心で舌打ちしつつ、どうやって彼に冷静に耳を傾けてもらえるか、その糸口を探りながら、次から次へと繰り出される剣聖の域に達した連撃を、手にした戦斧で巧みに受け流し、あるいは最小限の動きで回避した。聖剣と戦斧が激しくぶつかり合うたびに、甲高い金属音と共に激しい火花が散り、衝撃波で大地が細かく震える。二つの、規格外の強大な力が、互いの読み合いの中で激しくぶつかり合っていた。


 俺は一瞬、わざと体勢を崩して隙を見せる。それに気づいたフェーデルは好機と見て、最後のとどめとばかりに渾身の力で俺の首筋目掛けて聖剣レルダルスエイリーを横薙ぎに振り払った。しかし、首の皮一枚で剣が触れるその刹那、俺は体勢を立て直しながら戦斧の柄ですぐさまそれを受け止めると同時に、円を描くような巧みな動きで相手の剣の軌道を逸らし、勢いよく弾き飛ばした。聖剣は宙を舞い、少し離れた地面に突き刺さる。


「あんた何者かに脅されているのか?事情があるなら話してくれないか。」


「ならなぜ俺を吹き飛ばしてまで来たんだ?」


「まぁ、突然『助けに来た』なんて言われても、あんた信じられなかっただろう?」


「ま、そうだな。それで?信じていいんだな。裏切られるのは、もうゴメンだ。」


 この刺々しい言い方、そして「もうゴメンだ」という言葉の響きから、彼が過去に誰か信頼していた者に裏切られた経験があるのではないか、と俺は推測した。ひとまず戦闘を中断し、近くにあった森の古い小屋に二人で身を置いた。元勇者であるフェーデルの驚異的な自己治癒能力で傷がある程度塞がり始めたところで、俺は改めて作戦会議を切り出した。


「その様子だと、過去に何があった。」


フェーデルは苦々しい表情で俯き、ぽつりぽつりと語り始めた。


「……魔王を討伐した翌日、俺は王国最大の英雄としてその功績を称えられ、破格の爵位と領地を与えられた。最初は民の期待に応えられると、誇らしかったさ。だが、本当の地獄はそれからだった。古くから力を握る大貴族たちが、俺を自分たちの都合のいい道具として扱い始めたんだ。やれ『あの政治家は我々の邪魔だから秘密裏に消せ』だの、やれ『かつての仲間たちは潜在的な脅威になるから今のうちに処刑しろ』などと……。爵位をもらって少しばかり自分に酔っていたのかもしれない。そして、気づいた時にはもう遅かった。俺は完全に、腐敗した貴族たちの操り人形になっていたんだ。


……それで、あんたはどうする気だ。今の私では、あの貴族たちに手出しすることすらできない。この首にかけられた呪いのペンダントのせいでな。」


フェーデルは首にかけられた黒ずんだ紋様のペンダントを忌ま忌ましげに握りしめた。「特定の紋章を持つ貴族に敵意を向けたり、直接的な危害を加えようとしたりすると、耐え難い苦痛が全身を襲い、力を著しく削がれるんだ。」


「わかった、一人でやるよ。あんたはここにいろ。下手に動いて呪いが発動しても厄介だ。」その言葉を聞いた勇者は目を見開いた。本当か確かめようと話そうとした時、俺は言った。「ただし、あの国をより良くすると誓うか?」


 今までの無力だった生活よりも良くなるのか悪くなるのか、それは定かではない。だが、ただ一つだけ確かなことがある。それは、自分の弱さと判断の甘さ、そして貴族たちの謀略によって、かつて共に戦った仲間たちが不当に命を落とし、民が不当な圧政に苦しんでいるということだ。その仲間たちへの償いのためにも、そしてこれ以上国の腐敗を座視し、自らが手を下した過去の過ちから目を背け続けるわけにはいかない。この見ず知らずだが必要な力を示してくれた男に全てを任せきりにするのは、あまりにも情けないではないか。フェーデルは強くそう感じた。


「決めた。俺も行く。できる限り協力させてくれ。」


 フェーデルの言葉は、静かな小屋の中に響き渡る。彼の目は、かつての輝きを取り戻し、決意に燃えている。俺は応えるように頷いた。

最後まで読んでいただきありがとうございます!


もし「面白かった」「続きが気になる!」と思っていただけましたら、


ページ下の**【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】**


にして応援していただけると、執筆の励みになります! ブックマーク登録もぜひよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ