広がる炎
「さて、これからどこへ行こうか」
ディアはみんなに問いかけた。
「そうですね...そういえば、少し前にとある地帯の森が全て燃えた事がありましたね。あの仮面の男も炎属性を扱ってましたね。何か関係があるかもしれません。」
「そうか、行ってみるのもいいかな」
「私はいいわよ」
「フレアはどうする?」
「分かった、行こう」
「決まりだな」
ディア達はその場所にたどり着いた。
「なぁ、レイ」
「どうしました、ディア?」
「この辺りやたらレッドスライムが多くないか?」
「あぁ、それ私も思った。なんか敵倒しやすいなって。」
「なるほど、レッドスライムは炎属性だから、氷属性を扱う、シャナと相性がいいんだな。でも、なんで...森が燃えたことと何か関係があるってのか?」
「まだ、分かりませんね」
しばらく周りを見てみると
「ねぇ、みんなこっちに来て」
と、シャナが言った。
ディア達はシャナの方に向かった。
「これこれ、この辺りが一番焦げてるから炎の中心っぽいよね。」
「それがどうした?」
「分からない?この辺り異様に魔力の流れが少ない。」
「本当ですね」
「つまりここでは、召喚が起こったってことなのよ」
「!」
「召喚?」
「あれ、ディアは知りませんでしたか。召喚というのは人間の思念がとある理由で魔力と調和し、具現化されることです。」
「それが、ここまでの炎を起こしたとすると。その人は相当な炎属性の使い手なのかしら?」
「召喚者が炎属性の使い手とも考えられる。人間を1人選んでそいつに魔力を注入する事でも召喚は可能だな。」
「ということは、仮面の男がこれをやったのか?」
「それは、貴様らの知るところではない」
「!、危ない!!」
レイ、フレア、シャナの誰でもない声にディアは強烈な危機感を感じた。
シャナはその声を聞いて、すぐに仮面の男を視界に収めた。
「氷初級魔法、フリーズ!」
「遅いな」
仮面の男はシャナの攻撃を横に避けて、一気にシャナに距離を詰めた。
「その命、二度は逃さんぞ!炎上級魔法トリプルファイア!」
「聖中級魔法、メガホーリー!」
ディアは仮面の男の横に魔法を放った。
「くっ!」
それは仮面の男に直撃した。仮面の男は一度距離を置いた。
「ありがとう、ディア」
「いいってことよ」
「テメェ、また来やがったか。炎超級魔法、6ファイア!!」
「炎究極魔法、フレイムレイン!!」
「何!?」
仮面の男は無数の火の玉をフレア達に向けて放った。
フレアの魔法で、幾らかがぶつかり爆発したが、それでも足りない。
「レイちゃん!いくよ!」
「分かりました。氷上級魔法トリプルフリーズ!」
「氷超級魔法、6フリーズ!」
レイ、シャナそれぞれが氷魔法を放ち、ほとんどの火の玉にぶつけて消滅させた。
しかし、それでも少しの火の玉は消されず地面にぶつかり、炸裂した。
「うわっ」
それは炸裂した後、炎をあげた。
それを見たフレアはある違和感を感じた。
「なんで、炎がこんなにも残るんだ?」
「えっ?」
「ここは土の上だ魔法で炎をあげたところですぐに消えるはずなのに、どうなってんだ?」
「よく気づいたな、そうだ私のスキルはエネルギーを完全に保存する。お前達が消さない限り、その炎は永遠に残る。」
「まじかよ!」
「さあ、フレア。お前の力はそんなものでは無いはずだ。かかってこい」
「!...どうして俺の名前を?」
「来ないならこちらから行くぞ!炎上級魔法トリプルファイア!」
しかし、魔法は放たれなかった。
「なるほど、ディアと言ったか。お前のスキルは魔力の流れを断つのか」
「ああ、そうだ。これでお前はもう魔法を使えない!」
「ああ、そうだ。だがな私のスキルはこういう使い方もあるんだよ」
魔法を封じたはずが、仮面の男は炎をディアに向けて放った。
「ぐわっ!」
仮面の男は攻撃を放たない、そう思っていたためディアの反応は遅れ炎は直撃、ディアの全身に炎が広がった。
「ああああああああああ!」
「ディア!!」
レイはディアの方へ急いで駆け寄った。
「氷初級魔法、フリーズ!!」
ディアの炎は消えたが、全身に火傷を負ったようで倒れ込んでしまった。
「ディア!ディア!しっかり!!」
「ゲホッ」
ディアは意識はないが、生きているようだった。
「シャナさん!ディアを見ていてください!」
「えっ?」
「早く!!」
「わ、分かったわ」
シャナはレイの気迫に気押された。
シャナにディアを任せると、レイは仮面の男の方へ走っていった。
「氷上級魔法トリプルフリーズ!」
「炎上級魔法トリプルファイア!」
二つの魔法は直撃し、相殺した。
「氷上級魔法トリプルフリーズ!」
そして、間髪入れずにレイは再び魔法を放った。
「何っ!」
仮面の男はスキルで相殺させた。
「氷上級魔法トリプルフリーズ!」
それでも、レイは魔法を放つ。
「ちっ!」
仮面の男はスキルを地面に放ち、その反動でレイから遠ざかった。
「何故だ、何故上級魔法をあんなに連発できる?やつのスキルか?くっ、ならば物量で押し切る!
炎究極魔法フレイムレイン!」
仮面の男はまた、究極魔法を放った。しかし、それは前のように全体を狙ったものではない。レイ、ただ一点を狙ったものだった。
無数の火の玉がレイの方へ飛んでいった。
レイの体からは紫色のオーラが包み込むように溢れてきた。
火の玉は全て打ち出された。
「...どうだ?」
レイのいた場所は、煙で見えない。
だが、少しずつ煙が薄くなっていった。
「!...馬鹿な」
薄くなっている煙の向こうに確かなレイの影が見えた。
「まさか、あの無数の火の玉を全て氷上級魔法のみで捌ききったというのか?お前は何なのだ!」
「はぁ...はぁ...うっ!」
しかし、レイは膝をついた。
「なるほど、無限に打てるわけではないのか。今度こそ終わらせる。死ね!」
「炎初級魔法ファイア!」
フレアは仮面の男の横から攻撃を仕掛けた。
「炎初級魔法ファイア!」
二つの火の玉が2人の間で爆発した。
しかし、フレアはその爆発を飛び越え仮面の男に直接攻撃を仕掛けた。
「オラァ!」
フレアの拳は仮面に直撃した。
「くっ!」
仮面の男は衝撃で少し交代し膝をついた。
仮面にはヒビが入っている。
「さぁ、その面見せやがれ!」
仮面は割れ、その顔が露わになった。
「!」
フレアはその顔を知っている。
「なんで...親父?」
「...」
男は、飛び去っていった。