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魔法の記憶  作者:
3/12

炎の魔法使いフレア

(とんでもないことになった。俺だってこの世界の強い

魔法使いくらい知ってる。その中でもこの人は上位の実力者だぞ)

「ち、ちょっと待ってまずは話でも...」

「いいでしょう、受けて立ちます」

「レイ!?」

「いい心意気だ褒めてやる。だが、手加減はせんぞ聖属性の使い手!」

「ディア、ちょっと」

レイはディアに耳打ちをした。

「なんだ?」

「ディアのスキルを試してみたいのです」

「はぁ?前も言っただろ?俺のスキルははっきりしないって」

「でも、何か変化はあったのでしょう?」

「それでも今は...」

「いいから」

「あー、分かったよ。俺のスキルは基本的に何も起こらないんだ。強いて言うならたまに魔法の威力が気持ち下がったかな、くらいしかないんだ。」

「そうですか、ディアそのスキルを奴に向けて放ってみて下さい。すぐにとは言いません。私が奴を引きつけている隙にスキルを発動する準備をしてください。渾身のものを頼みますよ。」

「本気かよ、どうなっても知らないぞ」

「ふふっ、ディアは少し私の実力を低く見積もっている様ですね」

(まさか、あいつに勝てるって言うのか?)

ディアは頭の中の疑念は一時取り払って、スキル発動に向けて集中力を高める。

「さぁ、君たちの作戦タイムも終わりか?」

「ええ、待ってくれてありがとうございます。

それでは...」

レイの眼光はこれまでからは想像できないほど鋭く、フレアを突き刺している。

それを見てフレアの心拍数は上昇し、フレアの緊張は非常に高まった。両者はすぐさま戦闘体制となった。

両者の緊張は些細なきっかけでも戦闘が始まるほど張り詰めている。

そして、

「始めましょうか」

レイのその一言が戦いの合図となった。

「炎上級魔法、トリプルファイア!」

「氷上級魔法、トリプルフリーズ!」

戦いは始まった瞬間に上級魔法による激しい衝突が起きた。

「なるほどな、氷魔法も扱えるのか」

フレアはそう言うと、一気に距離を詰めた。

「俺は近接戦も得意なんだよ!」

レイはフレアとの距離がある程度縮まったタイミングで、

「聖初級魔法ホーリー!」

と、唱えた。

フレアはそれを避けようと左に動く、それを見計っていたのか

「氷中級魔法、ダブルフリーズ!」

「何!?炎中級魔法、ダブルファイア!」

フレアは予期せぬ攻撃に反応が遅れ、フレアの近くで魔法の衝突が起こった。それにより、衝突で発生した光がフレアの目眩しになった。

フレアのに視界が戻った時、レイはすでに近くに迫っていた。そして、そこはレイの持っている杖の間合い...

「はあ!」

「がっ」

レイは杖を横に薙ぎ払って、フレアの顎にぶつけた。

フレアはよろめきながら、なんとか立っている。

「もう、終わりですか?」

「フッ、終わるのはお前だ」

フレアは杖に殴られたときから、一つの勝ち筋のための準備をしていた。

「お前は、賢者だろ?つまりは上級魔法までしか使えないわけだ。

俺は超級魔法を使えるんだよ!」

「...」

「炎超級魔法、6ファイア!!」

しかし、唱えた魔法は発動しなかった。

「何!?なぜだ...?」

「はあー、なんとか成功したぜ」

戦闘の横でスキルの準備をしていたディアがそういった。

「...これはお前が?」

「その通りです。ディアのスキルは魔力の流れを断ち切る効果があるようですね。」

「...でも、疲れた。人生で一番集中したかも」

フレアは怒りで拳を握りしめていた。

「ふざけるな、俺の超級魔法ならそいつを倒せたのに横やりなんて卑怯だ!」

「そうですね、納得いかないでしょうが私は雷上級魔法を準備していました。」

「!」

「炎魔法よりも雷魔法の方が速い、どっちにしろ結果は変わらなかったのです。」

「っ!」

「それではディア、先を急ぎましょうか」

「あ、ああ」

フレアは屈辱を感じていた。

ここまで、圧倒され覆せないような実力差に対する屈辱。

レイに対する怒りが頭を支配する。フレアは正常な判断ができないほど頭に血が上っていた。

そして

「ファイア!!」

突発的にそう唱え、レイの方向に炎が行く。

ディアはそれにいち早く気づいた。

「危ない!」

ディアはレイを押した。

「ディア?」

「聖中級魔法、メガホーリー!」

そう唱え、炎に向けて光線を放った。

光線は炎を貫通し、フレアに届く。

「ぐあっ!」

光線はフレアに直撃した。

「あっ!」

ディアはフレアの方に駆け寄る。フレアは気を失っているようだった。

「おーい!だめだ起きない」

「気を失っているようですね」

「仕方ない、起きるまで面倒みといてやるか。ここに置いとくわけにもいかないしな」

「そうですね」

レイは微笑みながらそういった。


しばらくして、フレアは目を覚ました。

もうすっかり夜になっていた。

「...俺は...!」

フレアは状況を理解するとすぐさま体を起こした。

「おっ、目が覚めたか」

「お前は...」

「具合はどうかな?大丈夫そう?」

「どうして、敵の世話なんか...」

「困った時はお互い様だからね。」

「...すまない、頭に血が上りすぎた。勝負は君達の勝ちだ。俺はこれで失礼させてもらう」

「この時間に出るなんて危険ですよ。それに戻るなら私たちのパーティに加わりませんか?」

「何?」

「あなたは生粋の炎属性の使い手、魔王を倒すために大きな力になってくれるでしょう。」

「魔王...だと?」

「そうです、だから...」

「いや、悪いがそれに協力はできない。俺は一国の王子だ。父の務めを俺もしなければならない立場だ。」

フレアは少し不満そうな顔をした。

「そうですか、なら仕方がありませんね。ディア次の目的地はとある街にでもいきましょうか。」

「街?どうして?」

「とある村に魔女が住み着いているらしいんですよ。」

「!」

フレアはその言葉に反応した。

「魔女?」

「そうです、気になるでしょ?だから次の目的地は...」

「待て、その話詳しく聞かせてくれ」

「なるほど、なら代わりに私達の旅に同行するって言ってくれるならいいですよ」

「...分かった。お前たちと共に行こう。ただし魔王討伐まで共にするつもりはない。俺はあくまでこの件に興味があるんだ。」

「分かりました、では行きましょうか。ね?ディア」

「あ、ああ(中々策士だなレイ)」

こうして彼らは旅を進めるのだった。

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