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魔法の記憶  作者:
23/26

レイ・コスモスの記憶

紫色の光を浴びると、フレア達はレイの記憶が映画のように見え始めた。


私の始まりはとても曖昧で、広い海の中を漂い急にそこから飛び出したような感覚だった。

でも、なぜ自身が海から飛び出したのかは自然と分かっていた。

辺りを探るように歩き出して、しばらくするともう誰も使っていない教会が見えた。

その中に入るってみても、中は寂れていて人1人もいなかった。

十字架、椅子などどれもボロボロで使われなくなったから随分と経つようだった。

少し辺りを探るとボロボロの紙切れを見つけた。聖書の一部だろうか。そこで、見た文字が『コスモス』だった。それで漠然と自分の名前はコスモスなんだ、となんの根拠もなく思った。

その名が神話の世界の物の名前であると知るのはしばらく先だった。

そして、またしばらく辺りを見ていたら割れた鏡の破片を見つけた。

そして、いま自分は本当に人間の姿をしているのだと再確認するとともに、服を何も着ていないのだと知った。

記憶の中の人間は基本、全員服を着ていた。だから、何か服がないかと探して、ボロボロのシスターの服を身につけた。

でも、私の目的は名前を見つけることでも、服を着ることでもない、自分が見つけた愛する人の記憶を頼りに各地を歩いた。そしてついに、記憶の中で愛する人の住んでいた場所に一致する村に着いた。

「ココガ、私ノ、愛スル人ノ住ム村…!」

私はその村の中に入った。

「あら、冒険者さん?いらっしゃい、こんな所に珍しいわね」

この村の人間は外部からの人間に寛容だった。

夜も遅いという事で、私はそこの宿屋で泊まらせてもらう事にした。

私は愛する人と会えると期待で胸がいっぱいになるという感覚を初めて味わった。

翌日、私は愛する人を探して村のあちこちを探した。

そして、ついに見つけた、私の愛する人を。

「あっ、あんた冒険者だろ?いいなー俺もいつかなりたい!」

「オ、オマエ!」

「何?急に大声出して?」

「ナ、名前、ナント言ウ?」

「俺?俺はディアって言うんだ!」

「ソウカ…ディア…!イイ名前ダナ!」

私はその村で子供の頃のディアにあった。

「だろ?っても本当の名前じゃないかもしれないけどな」

「ドウイウコトダ?」

「俺は拾われたんだ。赤ん坊だったから村の近くで泣いているのを拾ったんだと」

「ソウカ…」

「戦争とかで、子供を逃す親もいるって今の父さんが言ってた。まあ、ただ捨てられただけかもしれないけどな」

「…」

「にしても、あんたはどうしてここに来たんだ?」

「愛スル人ヲ探シニ」

「なんだそれ?よく分かんないけどそんな奴がいるのかよ」

「イタ!デモ…」

「?」

私の中にある人間の記憶では基本的には小さい子供とは愛するものではなかった。

だから…

「少シ、早カッタミタイダ」

「?」

「ジャアナ」

「帰るのか?」

「アア」

「そっか…」

「マタ、会ウカモナ」

「あ、あんた名前は?」

「…コスモス!」

「コスモス、またな!」

私はディアが成長するのを待つ事にした。


ある日平原を歩いていた時、上から機体が目の前に着陸してきて、レインが中から現れた。

「誰ダ!」

「ああ、驚いた!カオス以外に自律した記憶物質がいたなんて」

「ナニヲ言ッテイル?」

「君、名前は?」

「…コスモス」

「そうか、コスモスか、君も乗るといい、私達の拠点に案内しよう」

そうしてレインの誘いに乗り、私はここにきた。

「こんにちは、コスモス、君にはぜひ頼みたいことがあるんだ。」

「ナンダ?」

「君と同じ自律記憶物質であるカオスが奇妙な技を使う魔王として名を轟かせている。君にはそれを止めてもらいたい」

「ナゼ?」

「当然、秩序を保つため」

「オマエガ、ヤレバイイダロウ?」

「それは無理だ。私一人では彼を止められない」

「ナゼ?」

「それは今から話そう」

レインは私に、魔法の仕組みを説明し、私達の体が魔法の素である記憶物質の塊である事を教えてくれた。

「ナルホド、ツマリ、ワタシガ、カオスヲ、倒セバイイト」

「いやそれは駄目だ」

「ナゼ?」

「君たち二人の力は強大すぎるあまり、周りへの被害が甚大だ。それに確実に勝てる保証もない。だから、仲間を集めるんだ。」

「ナゼ?オマエハ先程ワタシタチニ人間ハカナワナイト…」

「一人ならね、でも、仲間がいれば、それだけいろんなスキルを持つ人が集まり、君もそこに加われば、きっと…!」

「カオスヲ倒セルト」

「やってくれるかい?」

「…分カッタ」

「ありがとう!」

ディアの成長を待つついでだと思い、そこで魔法の鍛錬を始めた。


そこで、数年を過ごし、強力な魔法も使えるようになった。

「いいよ、コスモス。その調子だ」

「ありがとうございます」

「にしても、ちゃんと言葉を話せるようになったね。」

「レインのおかげですよ」

「前までは敬語なんて話せなかったのに」

「…では、そろそろ行きます。」

「ああ、ちょっと待った」

「どうしましたか?」

「鍵を渡そうと思って、ここは何度もカオスの襲撃にあっていてね、バリアを貼ったんだ。鍵がないとここを通らないよ」

「分かりました」

「それに近年では、魔法の研究が進んで人間もある程度魔法を使えるそうだ。カオス討伐が捗るね!」

「それは、良いことを聞きました。」

「じゃあ気をつけて」

「ええ、ありがとうございました」

そして、私の旅が始まった。


まず私はレインの言葉に従い、街のギルドに登録して仲間を集めることにした。

しかし、まだ人々の間ではスキルが重視されていた為、中々仲間が集まらなかった。

そんな時…

「本当に彼女でいいのかい?」

「ええ、大丈夫ですよ」

「そう…おーい、あんた出番だぞ」

ディアが私を仲間にしてくれた。

「あんたが、スキルを持ってないってやつか」

「ええ、そうだけど…」

「ん?どうかした?」

「い、いや、なんでも」

「うーん、俺たちどこかで会った?」

「え!?覚えてないの?」

「ご、ごめん。名前教えて?」

「コスモスよ!」

「………あっ!」

「うう、覚えてないなんて…」

「ご、ごめんよ。子供の頃だったからさ。にしても、なんか雰囲気変わった?」

「そうでしょ?」

「言葉が流暢だ」

「そこかい!…まあ、いいわ。行きましょ」

「はいはい、分かったよ」

それからは私の魔法の力もあり、順調だった。

仲間として、強力な魔法使いを探して、フレア、シャナ、フウ、ライ、ファーレンも仲間になった。

あとは、カオスを倒すだけのはずだった。

カオスの力は想像以上だった。ディア達の力ではもちろん、私が本気を出してやっとの力。

追い詰められ、私は自身の力を召喚によって底上げした。

召喚は自身に記憶物質を集める事でより魔法の力を高めることができる。

「コスモス?」

「ディア、ここは私に任せて!」

「お前、やはり俺と同じか…!」

「そうよ、この力でカオスお前を倒す!」

「面白い!俺もようやく本気でやり合える相手に出会えたみたいだ。召喚!」

そこからは、高威力の魔法が飛び交い、私とカオス、2人の力がぶつかり合った。

「俺たち記憶物質の力は人間なんかじゃまるで測ることができない。」

「なにを…!?」

「そう、まるで神のように!」

「違う!この力は…」

「人のために使うのか?」

「そうだ!あんたは間違っている」

「そうか、それは随分見当違いだな。お前は俺と同じような考えだと思っていた。」

「どう言うことだ?」

「なんだ、ただの愚か者だったか。自分が捨てたものさえ分からないのか。」

「だから、何を言っている!?」

「足元を見ろ」

私の足元には、戦いに巻き込まれ、死んだ仲間達の姿があった。

「あ、あ、…」

この後はあまり覚えていないって言いたいけど、自分が記憶物質である事の性で忘れられない。

「こんな愚か者を見たのは久しぶりだ」

魔王は笑いながらどこかへ去っていった。

私はしばらく思考ができなかった。

だが、あることに気づいた。

自分が内蔵している記憶の中には、時間の記憶があった。それをうまく使えば、時間を巻き戻すことが出来るかもしれない。

私はすぐにそれを使った。


戻った時は、私が旅を始める前、レインの元にいた時に戻っていた。

それからは、すぐにレインにこの事を話した。

「…そ、それは、気の毒だね。にしても、記憶物質の力は凄まじいね。時間を巻き戻すなんて」

「ええ、私でも驚いています。」

「分かっただろ?私が君に一騎討ちを止めたのはこう言う事だったのさ。」

「…痛感しました。」

「でも、カオスの力は絶大だ。いつか君の力を使わないといけないかもしれない。」

「どうすれば?」

「…分からない。でも、もしかしたらカオスを打破できるスキルがあるかもしれない。」

「それを探すと?」

「もうそれしかないだろう。君達の一騎討ちは世界を滅ぼす可能性がある。それだけは絶対にダメだ」

「…あと、レイン?」

「どうしたんだい?」

それから、私はレインの名前をとって、コスモス、つまり神の名を捨て、『レイ』として生きることを決めた。

5回目

この時、ディアのスキルが判明した。

ディアがスキルを試す時、周りの記憶物質が意識に還った。

しばらくすると、また記憶物質が意識を取り込むが、このスキルがあれば、カオスに有効打を与えられるかもしれない。

8回目

この時、カオスがディアのスキルを認知。

魔王幹部を作るようになった。

10回目

ここで、私は違和感に気づいた。

1回目、あの失敗の記憶は鮮明だが、その後のループは回数を重ねる毎に記憶が薄れている。

恐らく、記憶物質が再現した時間の記憶は完全ではないと思う。

だから、無理矢理時間を巻き戻した状態になっているから、何もしなかったら1回目と同じ道を辿るのではないか?

そして、1回目から外れた行動をとると理の外の現象と見なされ記憶物質にも残らないのでは、と。

だから、この後のループは私もあまり覚えていない。

でも、この時間巻き戻しでも、その影響を受けない者がいる。

まずは、カオスと記憶物質。

そして、神。

神は記憶物質に飲み込まれたため記憶物質と同じように影響を受けなかった。

そして、今まで記憶物質を飲み込んできた。


「これが、私の記憶です」

「………え!?私たち死んだの?」

シャナがそう言った。

「今そうじゃないだろ」

フレアがつっこんだ。

「いや、そうでしょ。一回死んでるよ私達。凄いよ。

もうこれゾンビでしょ」

「だから、まずは…」

「これはあれかな。死に際で復活してとんでもない力を手に入れるやつかなこれは」

「だから、ちがーーう!」

「ふ、フレアさん、シャナさん、ケンカは…」

レイが2人を止めようと声をかけた。

「喧嘩じゃないわよ」

「え?」

「全くあんたねぇ、そういう事はもっと早く言いなさいよ。仲間でしょ」

「…」

「そうだぞ、全く。俺がディアだったら、もっと聞いてたさ」

「…は、はい…」

レイは気の抜けたような返事をした。

「じゃあ、ディアを取り戻す作戦を立てようか!」

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