記憶物質
「レ、レイン!」
「無事か!?レイ!」
空から飛んできた機体はディアの姿をした者を迎撃した。
「厄介なのが来たな。まぁいい、この体もまだ慣れていない。お前たちを滅すのはまた、別の機会にしておこう。」
そして、霧のように姿を消した。
「待って、ディア!」
機体はレイ達の前に着陸し、中からレインが出てきた。
「レイ、無事か?」
「わ、私は大丈夫。でも…」
「気持ちは分かる。だが、今は拠点に戻ろう。」
「…分かった」
「君も…来るかい?カオス、いや、ミクス」
レインはカオスに呼びかけた。
「…」
しかし、その声を無視して、魔王もどこかに消えてしまった。
「な、なんだこれは?」
その時、フレアたちが駆けつけてきた。
「皆さん、大丈夫です。この人はレイン、味方です。」
「そうなのか?」
「ええ」
「ここで話すのもなんだ、私達の拠点へと案内しよう。」
そう言って、レインは全員を機体に乗せ、飛び立った。
着いた場所は、空を漂う空中要塞。明らかに地上よりも文明が進んでいた。
「す、すげぇ」
フレアが思わず息を漏らした。
「すごいだろう?でも、中にいる人間はあまりいない。正直いつ廃墟になるか分からん。」
「どうして?」
シャナが尋ねた。
「狭いし、バリアを張るまでは魔王に狙われたりで色々ね。」
「そうなのね」
しばらくして、要塞内に着陸した。
「さあ、こっちだ。そろそろ君たちは詳しいことを教えてもらってもいい頃だろう」
そうして、案内された部屋は中央に机が置かれイスがいくつか置かれていた。
「さあさあ、多分みんなの分はあるから先に座りなよ。」
そう言って、レインも椅子に腰掛けた。
「君たちにはきっと色々気になる事があるだろうね。」
全員が静かに頷いた。
レインは微笑んで話し始めた。
「まずは順を追って話そう。最初はこの星の誕生からだ。と、言っても漠然と星が誕生した、としか言えないのだけどね。
星が誕生して、その後生物が誕生した。生物は進化が進むにつれ巨大化したり、知能を持つようになった。次第に生物が意識を持つようになり、意識の波ができるようになった。そして、人間という知的生命体が生まれるとともに意識の波はより強くなった。
すると、個々は独立しているが、全体としても一つの意識として固まり始めた。それが神だ。」
「神…」
「そう、神。そう呼ぶ以外、呼びようがなかったのさ。それは大きな力を持ち始めたが、あくまで意識の中、現実には関係ないはずだった。
しかし、神の力は想像以上で、意識の存在が一部、現実に露出した。それが、のちに伝わる黄金の果実。
今となっては、禁断の果実だろうがな。
それは、神の力の露出、摂取したものには力が与えられる。それが、今のスキル。スキルを持つものの子孫は同じくスキルを持つ。そして、スキルを持たない人間は淘汰され数を減らした。
しかし、力を得た者が必然的に起こすのは争いだ。各地でスキルによる争いが起きた。
そこで、私のスキル、ある物体を別の物体に変えるスキルでスキルを抑制する果実、白銀の果実を作ろうとした。だが、私が作り出したのは君たちが魔力の流れと呼んでいるもの、記憶物質だ。」
「!」
「記憶物質は人間の記憶、物の記憶、現象の記憶などを閉じ込めておく物だ。それは人間の意識と関係が深い。それは、意識を侵食し始めた、神と共に。
そうして神の存在は消えたと思われた。
だが、今こうして神は再誕した」
「一体なぜなの?」
ファーレンが問いかけた。
「そうだな、例えば君達が使う魔法。あれはどうやって使っているか分かるかな?」
「え?それは…」
「…正解はね、君たちの意識で動かしているんだ」
「え!?」
「記憶物質が閉じ込めた記憶は特定のコード、つまり特定の衝撃で再現できるんだ。そして、記憶物質と意識は関係が深い。君たちの意識で記憶物質が連動して動くんだ。そうして、引き出された現象…例えば、炎とか、冷気とか…ね。
そして、それは神にも可能だったんだ。当然だよね、あれも一つの意識体なのだから。そして、神は自身を飲み込んだ記憶物質を逆に飲み込み始めた。そして、
本来、意識のみの存在であるはずの神が物体として、存在したのさ。
さて、これで神とは何か、記憶物質とは何かを話した後はレイと魔王について、それはレイにしてもらおうかな。」
レイは頷いて、レインに代わってに話し始めた。
「記憶物質は記憶を保存するものです。そのため時を経て、人の記憶が積み重なると記憶物質自身も人間のように意志を持ち始め、塊をつくるものが現れました。それが、魔王、いえ、カオスの誕生です。
そして、ついにカオスが人間の形を再現しました。
その後、カオスはある女性を愛し、そして彼は壊れていきました。そのことについては私も詳しくは知りません。ですが、その事が彼を魔王にさせた。彼は神を憎み、愚かな人間を憎み、果てには世界までも憎みました。
その後、私が、コスモスが生まれました。そして、ある人間を愛したがために魔王と同じように人間の姿を再現しました。その愛した人が…」
「ディアだったってわけね」
「さすが、シャナさん。」
「そのくらい分かるわよ」
「では、言葉ではなくこれからは私の記憶を記憶物質を通じて見せます。」
そして、レイな紫色の光を発し、部屋全体を包み込んだ。




