災禍の渦
「お前は!」
「私はアウラ、あなたの兄を殺した…」
「…何の用だ?」
「私は話をしに来たの。」
「あんたと話すことはない」
「私とじゃない。あなたのお兄さんから預かった言葉よ」
「!?」
ライは驚愕し、目を見開いた。
「私があなたの兄から聞いたことは、あなたのスキルの秘密について…ぐっ!」
アウラは急に頭を抱えて苦しみ始めた。
「どうした!?」
「わ、私のスキルが発動する。その子を連れて逃げて!」
「逃げる?」
「そうよ、早く!」
「だ、駄目だ!俺が逃げたら屋敷が…」
ファーレンはハッとした様子でライを見た。
「ライ…」
「…だったら私を、屋敷と、は逆に、ひき、つけて。あなた、の、、スキル、なら、できるはず。絶対に、し、正面から…グッ!」
「ああ…ファーレン行くぞ、掴まれ!」
「分かった」
ライはファーレンを抱え、スキルで雷となって屋敷とは逆に飛んでいった。
アウラからしばらく離れた所でファーレンを下ろし、ライはアウラの方へ向かった。
アウラはもう既に正気を失っているようで、いつ暴れ出してもおかしくはなかった。
「おい!」
アウラはライの方を向いた。
「お前の相手は俺だ、他の方を向くんじゃねえ!」
「風究極魔法、サイクロンサーカス」
強烈な竜巻がライを襲った。
ライはすぐさまそれを避けた。
が、間髪入れずにすぐに次の攻撃が来る。
ライはなんとかそれも避けた。
「容赦ないな…」
屋敷の周りにある木々が容易く粉々にされているのを見ると、ライの心臓が一瞬握られるような恐怖を覚えた。
「今度はこっちの番だ。
雷究極魔法、ライトニングシャワー!」
無数の雷がアウラ目掛けて走った。
そして、確実に直撃した。
「風究極魔法、トルネードサーカス」
「嘘だろ!?」
予想外の攻撃に判断が遅れ、左足に風が掠ってしまった。
だが、その傷は想像以上に深かった。
「グアッ!」
足から多く出血し、スキルを使わねば左足はもう使えない程の傷を負った。
「ライ!」
その状況を見たファーレンが飛び出してきた。
「風究極魔法、トルネードサーカス!」
ファーレンはアウラに向かって究極魔法を放った。
「ライ、避けて!」
「クッ!」
ライはスキルで、なんとか距離をとった。
暴風はアウラに衝突した。
しかし、竜巻の中からアウラが飛び出して、高速でファーレンに近づき、蹴り飛ばした。
「っ!」
「ファーレン!」
(やはりそうだ、こいつスキルで攻撃力を上げるだけじゃない。防御力、速さも上がってる!)
「ゲホッ、カハッ」
ファーレンは蹴りの衝撃で動けなくなってしまっている。
ライも足を負傷して、小回りが効きづらく、スキルだよりの行動になってしまう。
それに対してアウラは究極魔法を2回も受けてなお、ここまで動けている。
(どうする…?)
「なんだ?こっちには全然敵が来ないな」
屋敷の左側を守っていたフレアとシャナだったが、正面と比べてあまりにも敵が少ない事に違和感を感じた。
「妙ね…」
「…!、何か来る!?」
フレアとシャナが気配を何者かの気配を感じ取った。
その気配の方向から1人の男が歩いていた。
「誰だ!?」
フレアがその者に呼びかける。
「私はトール、魔王の幹部の1人」
「魔王!?」
ディアも同じく、右側から来る敵に備えていたが、敵は来なかった。
しかし、ある気配だけは近づいてきた。
「なるほど、この襲撃を引き起こしたのはやはりお前か」
気配の正体は魔王だった。
「ああ、そうさ。
…お前は最初から気づいていたみたいだな。屋根の上で周りを見張っちゃって、なあ、コスモス?」
魔王の呼びかけに答えるように、レイが屋敷の屋根から降りてきた。
「…その名で呼ばないで」
「何言ってんだよ、お前が名乗るべきは神の名だ。
お前には普通の人間の名など似合いはしないさ。」
「…魔王」
ディアが魔王に呼びかけた。
「…なんだ?お前と話に来たんじゃ…」
「お前は、幹部の人間に何をした?」
魔王の話を遮るようにディアは問いかけた。
「あ?」
「俺のスキルは魔力の流れを遮る力。そして、その効果範囲を見ることで、魔力の流れの存在、動き、濃度まで細かく見れる。そして、魔力の流れがこの世界に満遍なく渡っているおかげでそれが無いところには何か物があるとわかる。木の形なら木だと、人型なら人だと一目瞭然だ。なぜなら物体、生物には魔力は流れていないからだ。」
「…何が言いたい?」
「でも、ツクヨミやアウラにはまるで血管のように魔力が流れている。
魔王…お前は一体彼女らに何をした?」
「…」




