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魔法の記憶  作者:
11/26

氷に命を吹き込むように

「がっ…クソッ」

魔王は肩と胸の一部を光線に抉り取られ立てずにいた。

しかし、少しずつ魔王の体は再生されていく。

「やはり、そうか」

「ははは、驚かねぇのか。」

「ああ」

「なるほどな、お前は魔力の流れが見えるんだろ?」

「そうだ」

「!」

レイはハッとした様子でディアを見た。

「ぐっ、だが。だめだ俺も消耗しちまった。再生に残せる力が残ってねぇ。今回のところは俺が引いてやるよ。だが、都合の良い事ってあるんだよな」

「?」

「ちょうど牢屋の下に正門近くの広間があって、裏口があって、そして俺がお前たちの牢屋に行く前にツクヨミに施した召喚魔法だ」

「まさか!」

「ああ、そのまさかさ。俺は召喚体にしたツクヨミを裏口に配置した。もう意識こそないが、俺の力に匹敵する。」

「そんな…!レイ!」

「ええ!」

「急がないと、本当に死んじまうぞ」

そう言って魔王は少しずつ体を崩壊させて消えた。

ディア達は裏口へと走っていった。


フレア達は裏口から外に出た。

しかし、そこにはツクヨミがいた。

「お前か!ここは森じゃない。俺の炎魔法は最大限使えるぜ!」

「…」

「…何か様子がおかしいわ」

ツクヨミは虚な目をしていて、顔からは生気を見出せなかった。

「…」

すると、ツクヨミは何本もの氷の棘で自身を貫いた。

「何やってんだ、こいつ…!」

そして、少しずつツクヨミの体は氷に溶けていった。

「これは…まさか!」

そして氷は伸びていき、やがて巨大な龍の姿に変わっていった。

「召喚魔法!魔王がツクヨミを召喚体にしたのか!」

龍は咆哮を上げ、冷気の雨を降らせた。

「炎究極魔法、フレイムレイン!」

フレアは究極魔法で対抗するが、それでも氷の雨は絶えず降り注いでいる。

「くそっ、どうすれば…」

その時冷気の雨がフレアの二の腕に当たった。

触れた二の腕は凍ってしまった。

「ぐっ!」

「フレア大丈夫!?」

「ああ、なんとかな」

「でも、このままじゃ…」

「いや、まだなんとか勝機はある。幸い、この氷の雨の密度は避けられないほどじゃない。なんとか掻い潜ってあいつに攻撃する。シャナはなんとか氷の雨を避けてくれ」

「大丈夫なの?」

「大丈夫さ」

フレアは龍の元へと走っていった。

(頭と心臓と足さえ、氷漬けにされなければ大丈夫だなんとか近づけ!)

フレアは何度か氷の雨に当たったが、それでも龍の近くに辿り着いた。

「炎究極魔法フレイムレイン!」

無数の火の玉が氷の龍に浴びせられ、体が少しずつ溶けていく。

「よし、これなら…」

しかし、勝機を見出したのも束の間、龍の尾がフレアを弾き飛ばし、魔王城の壁に叩きつけた。

「カハッ」

「フレア!」

「っ…!」

まだ生きてはいたが、全身を壁に打ちつけられて、もう動けなくなってしまった。

(ダメ、フレアが…。なるほど、ここが私もディアと同じ選択をする時なのね)

シャナは龍の近くに走っていった。

「ダ、ダメ、だ。シャナ…」

声は届かない。

「フレア、見ててね」

シャナの周りの温度が少しずつ下がっていった。

そして、周りの水蒸気が水になり霧が見えた。

「まさか、これは。シャナのスキルか…」

(周りの温度を、極限まで下げて。絶対零度を起こし奴の体を崩壊させる。そして、範囲を奴の身体全体まで覆う。)

シャナのスキルは周りの熱を奪う力、奪った熱は後に少しずつ放出される。

その力は凄まじく、5分足らずで絶対零度まで下げる事が可能。

異変に気づいた龍はフレアと同じように、尾で攻撃しようとするも、動きがどんどん鈍くなっていき、尾がシャナにたどり着く前に動きが止まった。

そして、少しずつ龍を侵食するように温度を下げていき、龍の動きは完全に停止した。

「シャナ…こんな力が」

そして、温度は絶対零度に達し龍の身体は崩壊し、霧散した。

「すごいぞ、シャナ!こんな…」

しかし、凄まじい力には代償があった。

フレアは気づいた、シャナの指先が少しずつ凍り付いていっていることに。

「シャナ、なんで、なんで少しずつ凍っていくんだよ!」

フレアはシャナの元に行こうとするも、動けない。

シャナのスキルはフレアと違い、発動者に影響を与える。より温度を下げるほど、自身の体を氷漬けにしていく、絶対零度まで下げたのならば全身を氷にしてしまうだろう。

「フ、フレア。さよなら…ごめん、ね」

「シャナ!」

ディア達が裏口に駆けつけてきた。

そして、シャナを見つけた。

「シャナ!」

「シャナさん…」

シャナの体の氷はもう体の半分ほど覆っていた。

「まだ、生きている…これなら」

「レイ?」

レイはシャナの元に駆け寄った。

「早く、手遅れになる前に!」

そして、レイはシャナの体に触れた。

「レ、レイ…?」

シャナにはまだ意識があった。

「まだ、間に合う。組織再構築開始!」

レイから紫の光が発している。

そして、シャナの氷が溶かしていくようにして、体が元に戻っていった。

「シャナ…」

フレアは涙を流しながらその様子を見ていた。

「これも、レイの力なのか…」

そして、シャナの体が元に戻るとレイは倒れてしまった。

「っ!レイ!」


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