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魔法の記憶  作者:
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42

世界には魔界がある。

そこには魔王がいた。

魔界の恐怖、魔王への恐怖。

人々は魔王を撃ち倒す勇者を探していた。


「じゃあ、行ってくるよ。」

「ああ、気をつけて」

「頑張ってこいよ」

村の人々の応援を受け、ディアは旅に出た。

ディアは王国の街に向けて足を運んでいた。

しばらくして街に着いた。仲間を探すため、ギルドで雇っている人を一人引き取ることにした。

「申し訳ありません。ただ今、一人しかギルドに居ないんですよ。」

「なるほど、その人は一体どんな人なんだ?」

ギルドのオーナーは書類を持ち出して来た。

この書類には、ギルドで雇っている人の情報が書かれている。

「この子です」

「レイ、僧侶、か」

「この子使うアビリティはいいんですが、スキルが使えないんですよ。」

「スキルが使えないって?」

この世界の人間には一人一つのスキルが与えられる。

人によって違うが、スキルによっては強力な効果を出すことができる。

「ええ、何度やっても何も起きないんです。だからあまり注目されなくて。可哀想ですが、冒険者たちはアビリティではなくスキルを見ます。鍛えさえすれば大抵のアビリティは身につけますからね。」

「まあ、いいよ。この子で」

「よろしいのですか?」

「ああ、一人しかいないし、僧侶は今すぐにでも欲しいからね。それに俺は強いからね。」

「そうですか、あの子もこれで少しは前に進めそうですね。呼んでまいります。」

しばらくして、オーナーと僧侶と見られる女性が来た。

「この子が、レイです。では、旅路の祝福を願っております。」

「ああ」


一晩宿に泊まって、またディア達は旅に出かけた。

「ディアって言いましたよね?」

「ああ、そうだよ」

「どうして、私を仲間に入れたのですか?」

「...俺もなんだよ」

「え?」

「俺もスキルがはっきりしなくて、なんか起きてるような気がするけど」

「そうなのですか、じゃあ私たち、お揃いですね」

「ああ、そうだ...!」

敵の気配を感じ、ディア達は戦闘体制に入る。

敵の正体はレッドスライムだったようだ。

「まずいな、レッドスライムは相当強いぞ。」

レッドスライムは通常のグリーンスライムよりも格段に強く、数々の冒険者達を葬る最初の壁として有名である。

「物理攻撃は効きそうにないな、俺の魔法を試してみるか。ホーリー!」

白い光線が放たれ、レッドスライムに命中こそしたが、多少効いた程度である。

「くそっ」

「あなたは聖属性魔法を使うのですか、ならば白の領域をはって聖属性強化をします。もう一度聖属性魔法を放ってください。」

「了解!ホーリー!」

先程より力強い光を放つ光線は、レッドスライムに大きなダメージを与えたようだ。

「よし、これなら...」

しかしレッドスライムは仲間を呼び、合体してビッグレッドスライムになった。

「嘘だろ?なんでこんな所にここまでレッドスライムがいるんだ!」

ビッグレッドスライムが体当たりを仕掛けてきた、

ディアの冒険はここで終わったかのように思われた。

しかし、攻撃はバリアで防がれている。

「...何が起こったんだ?まさか」

ディアはレイの方に目をやる。

「流石にここまでのものが出たら仕方がありませんね。終わりです。ギガホーリー!」

レイの出す光線はディアの出す光線よりも二回りほど大きかった。その光線は敵の大半を抉り取った。

「ギガホーリーなんてホーリーの2段階上の魔法だぞ、それを会得している、そして援護魔法も使える。まさか、レイは...」

「ええ、私は賢者です。」


道中で野営地を決め、焚き火を起こし2人はその前に座っている。

「それにしても驚いた。まさか賢者だったなんて。」

「驚きました?」

「そりゃ、驚くさ。賢者になった人間なんて、この世界で一握りなんだから。」

「でも、聖属性を扱えるなんてあなたもかなり珍しいですよ。この世界の4つの属性である、火、氷、風、雷これらに属さない魔法ですから。」

「あんただって使っていたじゃないか。」

「当然!賢者ですからね。でも、賢者の使える魔法は上級魔法までで止まっています。援護魔法は上級までしかありませんが、攻撃魔法は超級魔法まであります。そして究極魔法も」

「魔王を倒すなら、究極魔法を使えるようにならなければ」

「やはり、ディアの目的はそれでしたか。聖属性のみが魔王の闇属性魔法に有効打を与えられる。」

「そうだ」

「どうして、魔王を?」

「当然だ、女神様もおっしゃっている。魔王が災いをもたらすと、みんな明るく見えてどこか魔王に怯えてる。」

「そうですね、ま、初陣を華々しく勝ちましたし何かの記念に祝杯をあげましょう!」

「まあ、大半はあんたの手柄だけどな。確か村から持ってきたお酒があったはず。」

ディアは手持ちのポーチからお酒を取り出して小さなコップに注いだ。

「ほら、あんたの分だ」

「ありがとうございます」

「じゃあ、俺の村の伝統的な乾杯の仕方で」

「知ってます、こうでしょ?」

彼女はコップを高く掲げた。

「へぇ、よく知ってるな。俺の村かなり辺境にあるのに」

「こう見えても賢者ですから」

星空の下、二つのコップが高く掲げられている。

「じゃあ、乾杯!」

コップは軽快な音を立てた。

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