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どこまでもつづく道の先に  作者: カルボナーラ
大蛇をさがして
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【レン】ミクモとの会話


「レン、見ぃつけた」

小さなアリッサが、後ろから俺に抱きついてくる。


俺の屋敷で、アリッサとかくれんぼしていた。

火の鳥.....フェニックスの彫刻の裏に隠れていた俺は、あっという間に彼女に見つかってしまった。


「もう見つかったかぁ。

うまく隠れたつもりだったのになぁ」

俺はそう言うと彼女の頭をぽんぽんと優しくなでた。


「この彫刻って、鳥さんだよね?」

「そうだよ。フェニックスと言う名前の鳥さんだよ」


「ふぇにっくす......」

アリッサは首を傾げて彫刻を見上げた。


「火の魔法使いはフェニックスを崇めているんだ。

いつからかは、わからないけど、はるか古の時代から」

「火の魔法使い......。

えっ、もしかしてレンは魔法使いなの?」

「そうだよ」

俺がうなずくと、アリッサは目を見開いて一歩後ずさった。


「アリッサ......俺のことが怖いの?

無理もないよ。

人間たちはみんな、俺のことが怖いというか......嫌いみたいだし」

アリッサに嫌われたらどうしよう。

そんな不安が胸に渦巻いた。


でもアリッサはブンブンと大きく首を横に振った。

「怖くなんか無いよ。

レンは優しいもん」

そういうと俺の手に頬を押しつけた。


(アリッサ......)


「うっ......」

次の瞬間、ものすごい痛みが身体中に走った。

どうしてこんなに体中が痛むんだ。


それにすごく......さむい......。

アリッサに会いたい。


-----------------------


「レン!目を覚ましたか。

良かった」


うっすらと目を開くと、視界の中にミクモの顔があった。

「ミクモ......」


「待って。

今、水を飲ませてあげる」


ゆっくりと上半身を起こすと、ミクモの差し出す水を飲む。


「っ......。アリッサは......」

「タダールの連中に連れて行かれた。

殺されはしない。

アリッサを妻として迎えるらしい」


「そんな......アリッサを助け出さないと」

俺はベッドから立ち上がろうとした。


「だめだ。

さっきまで死の淵をさまよっていたんだぞ。

命をとりとめたのも、フェニックスのご加護があってこそだろうな」


アリッサのことが心配で、胸が張り裂けそうになる。

だが、この身体では、確かに動けそうになかった。


「ミクモ......俺をうらぎったよな?」

ミクモの顔をじっと睨んだ。


「そうだ、裏切った。

ダタール兵は、あちこちでベルナルドのお嬢さま、アリッサ・ベルナルドを探し回っていた。

あたしは、兵士たちに言ったんだ。

アリッサは、あたしの小屋にいるよ......ってね。

......ただし一緒にいる火の魔法使いには、絶対に手を出さないように頼んだ」


「どうしてそんなこと......。

お前のせいでアリッサは」


ミクモのことが許せない。

どうして俺はこんな女を信用してしまったのか。


「アリッサは人間の女だ。

人間に深く関わるなんてどうかしてる!

お前はおかしい」

ミクモは俺に向かって、そう怒鳴った。

「レン......。

お前はアリッサに、あってはならない感情を抱いている」


ミクモの言葉に目を見開いた。

「なにを言ってる。

アリッサは......アリッサは俺にとって子どものようなものだ」


「馬鹿言うな。

お前はアリッサを女としてみてる。そんなことは、誰の目にも明らかだ」

ミクモは吐き捨てるように言った。


「人間なんかに恋してもロクなことにならないのは分かってるだろう」


「俺が......アリッサを......女としてみてるだと......っ......」

肩に鋭い痛みが走った。


「さぁ、もう少し眠るんだ。

血をかなり失っている」


意識が薄れていく。

「眠るんだ.....レン......」

ミクモの声が遠くのほうで聞こえてきた。

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