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どこまでもつづく道の先に  作者: カルボナーラ
大蛇をさがして
31/255

【レン】


兵士に頭を押さえつけられる。

俺は首を切り落とされるのだろう。


「やめて!!お願い。

レンを殺さないで」

アリッサの泣き叫ぶ声が聞こえた。


彼女の笑顔。

柔らかな髪の感触。

抱きしめたときの甘い香り。

そんなことがつぎつぎと浮かんでくる。


(アリッサ.......

アリッサを守らないと)


俺は、兵士の足を思い切り裏拳で殴りつけた。

「うっ!!」

兵士が痛がって、しゃがみこむ。

俺の頭を押さえつけていた兵士の手がゆるんだ。


身体をすばやく回転させながら、数人の兵士にキックする。

もう無我夢中だ。


肩や太ももを斬りつけられ、血が飛び散る。

たが、痛みは感じない。


のしかかってくる兵士のみぞおちにパンチを食らわせる。


背後から突進してきた兵士をすんでのところで避けると、そいつの剣は、別の兵士を串刺しにした。

仲間を殺してしまった兵士はビビって腰を抜かす。


俺はそいつの頬を蹴り飛ばすと、剣を奪った。


俺は奪った剣を構えた。

数十人の兵士たちが、円を描くように俺を取り囲む。

そしてジリジリと間合いを詰めてくる。


「レン!!やっちまえ」

檻の中からディルが叫ぶ声が聞こえた。

「お前も手伝えよ!!」

俺も叫び返す。


「......30人の兵士が一人相手に、なにをやってる!!」

神官が怒鳴った。

その声に兵士たちは「ハッ」として剣を握り直す。


(集中しろ......)

タダール兵の連中は怯えているが、なにしろ数が多い。

俺に勝ち目はほぼ無いと考えていいだろう。


だが、むざむざ首を切り落とされたりなんかしない。

戦って、戦い抜いて、それで命が散るなら、その方が良い。


(一人でも多く殺してやる!!)


「うぉおおおお!!」

一番大きい兵士が叫びながら俺に向かってきた。

それにつられて他の兵士たちも飛びかかってくる。


俺は身をかがめ、敵の剣を避け、相手を切りつける。

相手の剣が俺の肩に深く突き刺さった。


くそっ!!

深手を負った。


そのときだった。


ガ、ガ、ガガガ...........


大きな地響きがおきる。


「じ、地震!?」

兵士たちは動きを止め、キョロキョロとしている。

地面が大きく揺れるので、みな、立っているのが精一杯だ。


「約束と違う!!

レンは......レン・ウォーカーには手を出さないと言ったじゃないか」


......ミクモだった。


「人間の争いに関わらないのが信条だけど、レンに手を出すのは許せないね。

お前ら根絶やしにしてくれるわ」


ミクモは杖をジグザグに動かすと呪文を唱える。


地響きがひどくなり、やがて地面に裂け目ができた。

兵士たちが次々と裂け目に落ち、地面に吸い込まれていく。


土の魔女、ミクモの魔術だった。


「ちッ!!撤退だ。

アリッサが傷つくと困る」

神官が叫ぶ。


「アリッサ!!」

「レン!!」

アリッサは懸命に俺のほうへと手を伸ばす。

だが神官にガッシリと抱きすくめられ、連れて行かれてしまう。


「まて!!ア、アリッサを連れて......行くな」

追いかけようとしたが、足に力が入らない。


出血がひどく、気を失う寸前だった。


「ア......リッサ」

目の前がぼんやりする。

俺はその場に倒れ意識を失ったのだった。



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