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どこまでもつづく道の先に  作者: カルボナーラ
大蛇をさがして
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【レン】


(くそ......。どうしてこの場所が奴らにバレたんだ?)


窓の外を見ながら考える。

ミクモの小屋は、森の奥深くで見つかりにくいように結界も張ってある。

それなのに......。


「裏口から逃げよう。

たしかミクモの部屋にもうひとつ出口があった」

アリッサの手を引く。


「あっ!」

立ち上がって窓の外を見たアリッサが小さく叫んだ。


「アリッサ、見つかる」

急いで彼女をしゃがみこませた。


アリッサは小刻みに震えている。

「どうしたんだ、アリッサ。なにを見た」


「パ、パパとママが......」

「えっ」


奴らに見つからないように、そっと窓の外をのぞきこむ。


奴らの引き連れている大きな馬車。

その上に檻が乗っていた。


檻の中には、領主のパトリック・ベルナルドと妻のメアリが捕らえられていたのだ。

ほかにも金髪のディル......あいつも檻のなかにいた。


(どういうつもりだ......)


兵士たちの大群の後ろから、一人の男が現れた。


銀髪に透き通るような白い肌、そして冷たい青い瞳の男。

男は、神官の服装をしていた。


(あいつが、タダールをのっとっているとウワサの神官......?

アリッサの誕生パーティでも見た)


神官は口を開いた。

「アリッサ。出ておいで」

魔法で声を大きくしているんだろう。

ヤツのよく通る声が部屋に響き渡る。


アリッサは俺の隣で目を見開いて、じっとしている。

小さな声で

「パパ、ママ,,,,,,」

と呟いていた。


「アリッサ、逃げないと」

しゃがんだ姿勢のまま手を引いたが、アリッサは動こうとしなかった。


「女のほう......メアリを檻から出せ」

神官が命じる声が聞こえる。


「アリッサ。

大人しく出ておいで。

そうすればメアリを殺さないでいてあげるよ」


神官はそういうと、メアリの喉にナイフを当てた。

「出てこないならママのメアリを殺す。

次はパパを殺す」


兵士たちが小屋に踏み込めば、俺と戦いになる。

そうなればアリッサが怪我を負う可能性が高い。

だから無傷でアリッサを手に入れるために、神官は彼女をおびき寄せようとしているんだろう。


「アリッサ!!出てこないで」

母親が叫ぶ。


「ママ!!」

アリッサが思わず立ち上がってしまった。


「アリッサ。

だめだ」


彼女は俺の手を振り払うと、小屋の外に出ていってしまった。

俺も、彼女の後を追って小屋から外に出る。


「アリッサ。会いたかったよ」

神官は嬉しそうにそう言うと、メアリの喉に当てていたナイフをおろした。

そして部下に命じ、メアリを檻に戻す。


「レン・ウォーカー。

お前にも会いたかった」


「お前は大蛇なのか!?」

俺は単刀直入に聞いた。


「大蛇......?

さぁ、なんのことやら」

銀髪の神官は、首を傾げてクックックと笑った。


そしてアリッサに手を伸ばす。


「アリッサ、こっちにおいで。

お前は私の妻になるんだ」


「そんなの嫌!!」

アリッサは逃げようとしたが、兵士に肩を押さえられる。


「そんなことさせるか!」

俺は剣を抜こうとしたが、あっという間に数十人の兵士たちに取り押さえられてしまう。


「レン・ウォーカーの首をはねろ。

アリッサは丁寧に扱うんだ。俺の馬車に乗せろ」


神官はそういうと、くるりと背を向けた。


「やめて、レン!!レンを殺さないで」

アリッサが必死に叫んでいる声が聞こえた。


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