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どこまでもつづく道の先に  作者: カルボナーラ
大蛇をさがして
25/255

【アリッサ】


「ミクモ。ありがとう、助かるよ」


ミクモはあたしたちに、猪の肉や野イチゴのサラダを振る舞ってくれた。

「ベルナルドのお嬢様のお口に合うかわからないけど」


「とても美味しいです」

空腹で死にそうだったので、はしたないと思いながらもペロリと平らげてしまった。

父と母が心配で居ても立っても居られないのに......。

こんなにたくさん食べることが出来るなんて、どうかしてるのかも。


「まだ夕方だが。

休ませてもらってもいいか」

レンは窓際に立ち、外の様子を眺めながら言った。


「もちろんだ。お前はつかれた顔をしている」

ミクモは立ち上がるとレンのそばにゆっくりと歩いていった。


ミクモはレンの頬にそっと触れる。

「2年前......最後に会ったときよりも、レンは背が伸びたような気がするな。

お前......どうして急に成長が早くなった?

成長を早める薬を飲んだな?」


ミクモはそういいながら、レンの肩や腹、腕を調べるようにベタベタと触っている。


ミクモとレンは、一体、どういう関係なんだろう。

もしかして......恋人......?


ミクモはレンの首に両腕を回すとじっと彼を見つめている。


あたしは思わず目をそらした。


なんだろう......この気持ち。

レンが取られてしまうような、いらだち。

胸の中がドロドロしたもので渦巻いている。


あたしは.......ミクモに嫉妬してる。


「そうだ、成長を早めているだけだ。

早く大人の姿になりたいからな」

レンはうるさそうに、自分の首にまわされたミクモの腕を振り払った。


「冷たくするな。お前に会えて嬉しいんだ。

レン......。お前はやっぱり、いい男だな。

美しい顔をしてる」

ミクモがレンの顔に触れる。

レンはぷいっとミクモに背を向けた。


ふとミクモがあたしのほうに視線を向ける。

「おっと。お嬢様には刺激が強いかな。

お嬢様は客間で寝ると良い。

あたしとレンは、二人で一晩過ごすから......」


レンはミクモの方に振り返ると言った。

「お前と寝るつもりはない」


「なん......だと」

ミクモが目を丸くする。

「あたしがどんなに寂しい思いをしていたか分かってるのか?」


「呑気に、女と寝たりする余裕はないんだ。

体力を取り戻したい」


「2年前はあんなに激しくしてくれたじゃないか」

「おい。それ以上言うな」

レンはあたしのほうをチラッと見た。

彼の顔が赤い。


ミクモもあたしのほうに視線を向ける。

「レン。まさかアリッサのことが......?

お前たち、恋人ではないよな?」


「恋人じゃない。

アリッサは俺の大事な子どもだ。

とにかく今は体力回復に努めたいだけだ。

悪いが、寝かせて欲しい」


(......恋人じゃない......)


レンの言葉に傷ついた。


今さらだけど.......やっぱりあたしはレンのことが好きなんだ。

彼の恋人になりたい。

本心ではそう思ってる。


彼が抱きしめてくれたり、頬にキスをしてくれると、あたしはドキドキする。

もっとして欲しいってそう思っていた。

彼のことを愛してる。


あたしは、そのことを認めるしか無かった。


それなのに、彼はあたしのこと......子どもだと思ってる。

分かっていたことだけど。


胸の奥がズキンと痛むのを感じた。





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