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どこまでもつづく道の先に  作者: カルボナーラ
リチャードの奪還と能力と
242/255

【レン】リック


【レン】


俺はメガネ男の隣で、後手に縛られた手の縄をこっそりほどきながらオークションを眺めていた。


「月影の鎖、900セラで落札!」

「光脈の鍵、4000セラで落札!」


カーン、カーンと小槌の音が鳴り響き、つぎつぎと出品者の商品が落札されていく。


(こうやって、強大な力を持つレアアイテムがパラド王国に渡っていくのか。

パラドが力をつけていくのは間違いない)


みたこともない、強力なレアなアイテムが次々とパラドの大富豪たちに落札されていった。


「本日8番目の出品物は、夢喰いの砂......夢喰いの砂です。

これがあれば、拷問の必要はなし!

相手の思考がすみずみまで読み取れる魔法の砂です」


リックはまだか......。

まだ出てこないな。


手首を締め付ける縄は、椅子の角にこすりつけることで、少しずつ解けてきていた。


---------------------------


「次の品物は、ルタナイトの石!!

なんと、希少なルタナイトが出品されました。

その価値は計り知れません。

世界にたったひとつしか存在しないと言われております」


司会者の声に顔を上げる。


(ルタナイト......。

アリッサのペンダントじゃなかったか?)


タダール城で毒草モルタナを行商人から買い取ろうとしたとき.......。

「このネックレスをつかってモルタナを買い取って」

アリッサはそう言って、俺にネックレスを手渡した。


けっきょく、ネックレスはつかうこと無くアリッサに返したんだが。


(なぜ、あの男が持っているんだ?)

俺は、舞台上にいる出品者の大男をにらみつけた。


(あいつ、さっき炎に入る俺をみて、泣き叫んでいたやつだな)


背が高くゴツくて筋肉隆々。

ヒゲがびっしり生えており、どうみても「ならずもの」と言った様子。

だが、身のこなしがどこかおかしい。

(あの身のこなしは、戦い方を知っている人間ではなさそうだな)


-----------------------------------


けっきょく、ルタナイトの石は50万セラで落札された。


(恐ろしいほどの金額だ。

ベルナルド領における税金収入の5年分に匹敵する......)


ルタナイトを出品した舞台上の大男は、客席にいる俺に何度も視線を送ってよこした。

(なんなんだ、あいつ......)

大男の目は、うるんでいてキラキラと光っている。

(気色悪い......)


「いよいよ、本日最後の品物です!」

舞台上の司会者が叫んだ。


俺は「ハッ」として息を呑む。

(とうとう、リックが......リックが出てくるのではないか?)


「最後の出品物は、大蛇の子ども!!

大蛇の子どもです。

その生き血を飲めば、瀕死の状態から完全に回復できます。

ただし、一人の人間が生涯で使えるのは一度だけ。

一度だけとは言え、寿命を伸ばすことができる。

どんな病も怪我も一瞬で治る!

素晴らしい品物です!!」


女に抱かれた赤ん坊が舞台上に現れた。


(リックだ!!リック!!)


キョトンとした顔で舞台を見回しているリック。

今にも泣き出しそうな顔をしていた。


(よかった。思ったよりも元気そうだ......。

ちゃんと食べ物をもらっているんだな)


ひとまず安堵する。


さぁ、リックを取り戻さなくては。


俺は手の縄を、渾身の力をこめて解き始めた。



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