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どこまでもつづく道の先に  作者: カルボナーラ
リチャードの奪還と能力と
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【アリッサ】レンの能力・【レン】メガネ男に買い取られる


【アリッサ(アーリー)】


(あぁ.......なんてこと)


ミナ......つまり女体化したレンが燃え盛る炎に入っていった!!

あたしは思わず大声で叫んでしまった。


......でも。

レンは、炎のなかでしばらくじっとしたあと、つまらなそうな顔で平然と炎から出てきた。


(えっ!?どういうこと!?)


驚いた。

レンにそんな能力があったなんて。


たしかに彼は、大蛇フィリップの魔力により、一度、焼け尽くされた。

でも生還した。

あのとき、そういう力を授かったのだろうか。


......とにかくよかった。

レンが無事で......。


あたしは、その場に座り込んでいた。

ボロボロと流れ落ちる涙をぬぐいながら、ふらふらとなんとか立ち上がる。


他の出品者や、オークション運営の人間が異様な目であたしのことを見つめていた。


(そうだわ......あたしはいま、ヒゲ面の大男。

それなのに、女みたいに叫んでしまった)


運営の一人が、あたしの肩をつかむと

「お前!騒ぐなら出ていってもらうぞ。

大人しく......」

と言いかける。


あたしは

「なによ?」

と男をにらみ付けた。


すると男は

「ヒィッ」

と言って、驚いた顔をすると一步うしろに下がる。


(あら......。

どうやら、あたしは強そうに見えるみたいね......)

軽くにらみ付けるだけで男が怯えて尻込みするなんて.......。

ちょっと気分が良かった。


-------------------------------------


【レン(ミナ)】


会場全体が見渡せる舞台上から、あちこちを注意深く見てみたが、リックの姿はない。

リックは、出品の出番が来るまで、どこかに閉じ込められているのかもしれない。


リックの出番が来たら......そうしたら.......。

そのときがチャンスだろう。


「カーン!!」

オークション司会者が小槌を打ち鳴らした。


「炎の女......1200セラで落札!!」


おぉ~という歓声が観客席から沸き上がる。

俺は、1200セラで売れたらしい。

かなりの大金だ。


俺を競り落としたヤツは誰なんだ?

そいつのほうへと目を向ける。

分厚いメガネをかけた、まだ若い男だった。

(なんだか、根暗そうな男だな)


「あの女の身体が、どういう仕組みで炎に焼かれないのか......。

じっくり調べなくては」

などと呟いている。


(クソ気味の悪い男だ)

俺はそいつをにらみ付けた。


--------------------------------


落札されてしまった俺は、メガネ男の従者につかまった。

手を後ろ手に縛られる。


「おい。縛らなくても逃げたりしないぞ」

と言ったが、聞く耳を持ってもらえない。


メガネ男と目が合った。

そいつは、すばやく俺から目を逸らした。

顔が少し赤くなっている。


(あいつ......女に慣れてないな)

俺は瞬時にそう判断すると、そこにつけ込むことにした。


「ねぇ......御主人様」

甘い声で、メガネ男に呼びかける。


「な、なんだ......俺は工学者としてパラド王国で有名なんだぞ。

オリハルコンの加工工場をつくり莫大な富を築いたんだ。

名を、ゼノス・グスタードという」


男は頼んでもいないのに自己紹介し始めた。


「まぁ。ゼノスさま......頭が良いのねえ」

俺は、気色悪かったが我慢して男に流し目を送った。


「ねえ、ゼノスさまの隣で、このオークションを最後まで見学したいわ」

俺は、メガネ男の前で身をくねらせておねだりした。


ここで、檻の中にでも押し込められたらオシマイだ。

なんとしてでもこの場に居座らないと、リックを助け出すことができなくなってしまう。


ゼノスはゴホン!!と咳払いをすると

「ま、まぁ、いいだろう」

と言って、従者に俺を椅子に座らせるように言ってくれた。


だが、手の縄はほどいてくれない。

俺は、椅子に座りながらひそかに手首をねじって、縄抜けしようと試みた。




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