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どこまでもつづく道の先に  作者: カルボナーラ
リチャードの奪還と能力と
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【リック】泣く【アリッサ】恐怖


【リック】


「わぁーん、わぁーん」

はやくママを呼ばないと。

ぼくはできるだけ大声で泣いた。


怖い。

目がさめたら知らないひとに抱かれていた。

走ってるみたい?

ユサ、ユサと揺れてきもちがわるい。

お外みたいだ。

さむいよ。


だれ?

ママはどこ?


さむい。

おなかもすいた。


いつもなら泣くとすぐに、ママが抱っこしてくれるのに。

泣いても泣いてもママはこない。


だれなの。

ぼくを抱いたままずっと、何も言わずに、お外を走り続けている。


暗くてさむい。

怖い。


「クォーッ!!クォー!!」

お空から変な音がした。


ぼくはお空をみた。

あれは......


「ティントンだよ、リック」


いつも優しい声で一緒に遊んでくれるひとが教えてくれたやつがお空を飛んでいる。


あのひと、どこ?


ママにあいたい。

あの人にも会いたい。


-----------------------------


薄暗くて臭い場所にいれられた。

つめたい床に置かれた。


「わぁーん.....わぁーん.......」

たくさん泣いたので声がかすれてきた。

もうつかれた。

おなかもいたい。


「うるせぇ!黙らせろ!」

大きな声がした。


ぼくは、怖くてまた大声で泣いた。


----------------------------


【アリッサ】


レンを疑うようなことを言って、たくさん彼を責めてしまった。

リックもレンも、両方失ってしまうようなことがあったら、どうしよう!!


涙が溢れて震えが止まらない。


今この瞬間にも、リックがひどい目に合っているという想像が止まらない。

リックが傷つけられるところ、涙を流して泣いているところが次々と目に浮かぶ。


あぁ.......。

あたしは、無力だわ。


神に祈ることしかできないなんて。

女に生まれてきたことを恨んだ。


「奥さま!!」

使用人の一人が、血相を抱えてあたしの方へと走り寄ってくる。


「なに!?どうしたの!?」

リックが見つかったのかと胸がはやる。


でも違った。


「ヨナが......。いなくなっていたヨナが物置で見つかりました」

「なんですって!?」


あたしは使用人の後を追って、物置まで走る。

物置は1階の端っこにある。


「奥さま……」

兵士を取りまとめる隊長が物置の入口で、あたしを引き止めた。


「腹を刺されています......助からないでしょう。

ひどく出血しています。

奥さまは、見ないほうが良い」

そう言って、あたしを静止する。


「......どいて」

あたしは隊長をおしのけた。


今朝から姿を消していた侍女のヨナが、血まみれで倒れていた。

ヨナは誰かにお腹を刺されて、この物置に隠されていたんだわ。


「ヨナ!!リックをどこへやったの!?

一体何があったの!?」

あたしは、血まみれで気を失っているヨナをゆさぶった。

自分のドレスや手に、血が飛び散ったが気にならなかった。


「お、おくさ......ま......。

......リチャ......さまが......」


「あなたは女王の手先なの。

そうなら、首を縦に振って。

違うなら首を横にふるのよ」


話すのがつらそうなので、あたしはヨナにそう言った。

するとヨナは首を縦に振った。


ヨナは、女王のスパイだったのね。

古くからいる侍女なのに、全然、気づかなかった。

いつから買収されていたのか。


でもどうして?

なぜ女王のスパイであるヨナが、傷つけられているの?


それにヨナが犯人じゃないなら、リチャードは誰が連れ去ったの?


「リ......さまは、じ、人身売買の......。

あたしは......そ、そいつ......のに刺された.......」


ヨナの言葉にあたしは、驚いた。


「えぇっ?人身売買!?誰に?ヨナは誰に刺されたの!?」


ヨナはまっすぐに指をさした。

そして血を大量に吐くと、こと切れた。


ヨナの差し示した指の先には......。


その先には、乳母がいた。


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