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どこまでもつづく道の先に  作者: カルボナーラ
王都にて_女王の狂気と大蛇の血
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【レン】久しぶりの再会


【レン】


イリーナさまがキョトンとしているのに気づいて、俺はあわてて二人を紹介した。

「イリーナさま、紹介します。

妹のニナと、その夫のディルです」


イリーナさまは、仮面のような無表情から、あたたかい笑顔を見せた。


「まぁ......!お会いできて光栄です」

そう言って微笑むと腰をかがめて正式な会釈をした。

ニナとディルも慌てて会釈する。


「わたくし......ファインズ家の奥さまと、お話してまいりますので.......。

レンさまはどうぞ、ごゆっくり......」

イリーナさまは、その場から立ち去っていった。


妹たちと水入らずで話せるように、気を使ってくれたんだろう。


俺たちは屋敷の内部に入ると、ゆっくりと話せる場所を探した。


----------------------------------


パーティが始まるまで時間を潰せる、「控室」に入った。


控室の内部には大勢の貴族たちがいて、それぞれザワザワと話し込み情報交換に勤しんでいる。


俺たちは部屋の隅にある、三人掛けソファに座り込んだ。

「それにしても久しぶりだなぁ!」

ディルは嬉しそうに笑うと、俺の肩を叩いた。


ニナの方は、ディルよりも手厳しかった。

「お兄ちゃん!まだベルナルド領に戻ってないなんて驚いたわ。

なぜなの?

赤ちゃんやアリッサを放ったらかして、お兄ちゃんは一体何をしてるの!?」

そう俺に向かってまくし立てたのだ。


「俺だって帰りたいんだ......今すぐにでも」


ニナの背後には背が高くガッシリとした男がピッタリと張り付いていた。

護衛だろうか......。


その男が急に口を挟んできた。

「女王陛下に城からの退出を阻まれているというのは......ほんとうですか?」


「あなたは?」

俺は、男に尋ねた。


ニナが男の代わりに答えた。

「あら、紹介が遅れたわ。

彼女は、エレナよ。あたしの護衛をしてくださってるの」


(......彼女......?

女性だったのか。

男の格好をしてるし、男みたいな見た目なものだから、つい......)

俺はエレナをまじまじと見つめてしまった。


「突然、口を挟み失礼いたしました。

ウォーカーさま。

大蛇との戦いや数々の戦歴のお噂はかねがね聞いております。

お会いできて光栄です」

エレナがビシッと敬礼する。


「なぜ、あなたは、俺が城で足止めを食らっているのを知っているんだ?」

エレナに訪ねた。


「自分は数年前、王女のもとで兵士として働いていました。

そのときの知り合いから手紙で、レン・ウォーカー殿が、城に足止めされていると聞いたのです」

エレナは簡潔に事情を説明してくれた。


「そうだったのか。

......いや、そのとおりなんだ。

今すぐにでもベルナルド領に帰りたい。だが、女王に足止めされている」


「どうしてなんだ?レン。

俺にできることはあるか?」

ディルは眉間にシワを寄せて、心配そうに俺を見た。


「......それなら、ひとつ頼みたいことがある。

王宮から送った手紙が、きちんとアリッサに届いていない気がするんだ。

だから、ディルがアリッサに手紙を届けてくれたら、嬉しい」


「お安い御用だ」

ディルは深くうなずいた。

「あら、それじゃあディルと私でお手紙を届けるわ!

ねぇ、二人でアリッサに会いに行きましょう?

赤ちゃんを見たいのよ!」

ニナも嬉しそうに笑った。


「ありがとう!

急いでアリッサに手紙を書くから......待っていてくれ」


紙とペンを部屋の片隅で見つけると、手紙を書きはじめた。

アリッサへの思いを、手紙に懸命に書き綴った。




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