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どこまでもつづく道の先に  作者: カルボナーラ
大蛇をさがして
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【レン】打ち明ける


アリッサと二人、ブラブラと街の大通りを歩いた。


「アリッサ......言わなければいけないことがあるんだ」


「えっ?なに、なんなの?」

アリッサは目を見開いて、俺の顔を見た。


「うん......」

アリッサが俺の目をじっと見る。


昨夜、兵士たちと雑魚寝しながら、眠れない頭で俺はあることを考えていた。


アリッサに大蛇のことを打ち明けるべきだと。

大蛇がアリッサのことを狙っている......その事実を彼女に知らさなければならない。


伝えておかないと、アリッサ本人が大蛇に対して気をつけることができない。

彼女にきちんと事実を言っておかないと危険じゃないか。

そんなことを考えたのだ。


「なんなの、レン」

アリッサが不安そうにしている。


「アリッサに危険が迫っている。

だから俺は少し前からこの街の宿を拠点にして、アリッサを見張っていた。

そして、町の住人からアリッサの誕生日パーティがあると知って、城に乗り込んだんだ」

彼女の目を見つめて言った。


「そうだったのね。

でも、危険......って?

すごく怖いんだけど」


「どこか、落ち着いて話せる場所はあるかな」


大蛇との取引のことを話す。

だが、俺が魔力を失ったことは、話すつもりはなかった。

彼女の命と引き換えに俺は魔力を失った。

そのことでアリッサに罪悪感をあたえたくない。


さらには、火の魔法使いである俺が魔力を失った.......その事実を世間に広めたくないというのもあった。


俺が魔力を失ったことが広まれば、闇の森が侵略されるだろう。

あの森には、土壌に豊富な資源があるので狙っている領主は多い。

俺は闇の森を守りたかった。

かつて豊かな木々が茂り、動植物が栄えていたこの街。

このカノンの街のように、自分の森を人間たちに切り開かれたくなかった。


「落ち着いて話せる場所......?

いいところがあるわ」


アリッサが案内してくれたのは、古い書物が並ぶ倉庫のような店だった。

建物の二階分の高さの天井は吹き抜けになっており、天井近くまでみっしりと本が並んでいる。

上の方にある本を取るための移動式のハシゴがところどころに立てかけてあった。


「古書店か?」

「そうよ。

この街で一番気に入ってる場所なの。

レンの屋敷の図書室もこんな感じだったわよね。

懐かしいわ。あの頃に戻りたい」

アリッサが遠い目をした。


「俺も自分の屋敷が懐かしい」

森の動植物を見張り、静かに自分の屋敷でときを過ごしていたころが懐かしかった。

アリッサと出会ってからひとと触れ合う温かみを知った。

それと引き換えに、俺は平穏を失ったのかもしれない。

だが、後悔はなかった。


「お嬢さま、ようこそおいでくださいました」

奥の方からハゲ頭に丸メガネの老人がゆっくりと出てきた。

店主だろう。


「ゆっくりと読みたい本があるの。

個室を用意してくださる?」

アリッサは店主にそう言った。













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