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【ディル】ニナとの夜


【ディル】


ここ数日......俺はニナにつける護衛を探していた。

カークのことや、盗賊団の襲来もあって、腕っぷしの強い本物の兵士を探していた。


もちろんニナのことは俺が守る。

でも、独りじゃ守りきれないことだって、生じてくる。

そうなってから後悔したって遅い。


ティナの孫娘、エレナの腕っぷしは確かだった。


彼女と剣を交えたが、きちんと剣術の基礎ができていた。

さらに肉体を日々鍛えているらしく、腕力でも男に劣らない。


ひとつ、絶対にテストしておくべき点があった。

それは、エレナが人を殺せるのかどうか......というものだった。


いくら剣術のテクニックがあり腕力、俊敏性が高くても、人を傷つけたり殺せないのでは役に立たない。


ジョアンナは

「相手に慈悲をかけることこそが、真の強さ」

などと言っていたが......。


実際の戦場ではそんなこと、言ってられない。

人を殺傷することに躊躇すれば、それは自分や味方の死を意味する。


俺はエレナをテストすることにした。

彼女に刑場で死刑を待つ罪人を引き渡したのだ。

もちろん、教会裁判所の牧師の許可は得たうえで......。


引き渡された罪人を前に

「殺せ」

とエレナに命じた。


エレナはその罪人の首をためらうこと無く切り落とした。

その所業は鮮やかだった。

しかも、罪人を怖がらせる間もなく、苦しめることなく処置したのだ。


「どこで戦いを覚えた?

......女はお断りだと言われ、領主の兵隊にはなれなかったと聞いたが」

そうエレナに尋ねると


「王都で......2年間だけ傭兵として働きました。

女であることがバレて、打首になるところを、王女さまが御慈悲をくださったのです。

軍からは追放されてしまいましたが......」

という返事だった。


なるほど。

王都で王女の近くにいたとなれば、傭兵だとしてもエリートだったんだろう。


(エレナには、おかしな残虐性もなさそうだ。

もしも、罪人をいたぶり殺すようなことをすれば、テストは不合格だった)


しかも、ティナの孫だから、身元もはっきりしている。


さらにエレナは......女性だった。

その点も、かなり安心できる材料だった。


俺のニナは可愛すぎる。

男の護衛なんか付けたら、そいつに何をされるか分かったもんじゃない。

カークはニナを誘惑し、体に触れたのだ。

俺はそのことを忘れない。


エレナは、文句なしだな。

俺はエレナを屋敷で雇うことに決めたのだった。


------------------------------------


「サイラスはあと2回は収穫できるわね」

闇の森からの帰り道、ニナが俺に向かってニッコリと微笑んだ。


エレナと俺、それにニナの3人でサイラスの採集を行った帰り道だった。

闇の森でのニナは生き生きとしていて、嬉しそうだった。

俺はヒヤヒヤしながら、彼女の様子を見ていたのだが。


エレナはしっかりと周囲を見張り、ニナをガードしてくれていた。


「もう、次からはエレナと二人でも大丈夫よ?

ディルは、お仕事に戻ってくれても良い」


「そうだな。明日からはエレナと二人で行動してもいいだろう。

でも、森の奥深くには行かないこと。

それから行き先はあらかじめ俺に教えて欲しい」


ニナはニコニコ顔でうなずいた。


彼女の笑顔を見て思った。


ジョアンナの助言を受け入れてよかった。

ニナが幸せなら俺も嬉しい。


-----------------------------------


「ニナ......こっちにおいで」

夜......寝室でニナと二人きりになった。


彼女は窓辺に立ったままモジモジしていた。


相変わらず恥ずかしがっている。

可愛いんだけど、もう少し大胆になってくれてもいいのに。


俺は自分から、窓辺の壁によりかかっているニナのそばに歩み寄った。


「愛してる」

そう言いながら、彼女のおでこにキスをした。

「あ、あたしもよ!」

ニナは慌てたような声で、そう言うと俺の首に抱きついた。


ニナの着ている薄い寝間着の、胸元のヒモをほどいた。

はらりと前がはだけて、下着をつけた彼女の胸元があらわになる。


「......っ」

ニナは頬を赤くして顔をそむけた。


「そんなに恥ずかしい?」

「うん......」

小さくうなずく。


「どうして?」

「だって、闇の森で怪我したときの傷がまだたくさん残ってるの。

それに.....それに、胸に大きなほくろがあるし。そばかすもあるのよ」


「どれも......全部かわいいよ」

俺はそう言うと、彼女の胸元のほくろにキスをした。

「......あっ」

ニナは可愛い声でうめいた。


「ほくろも傷も......俺はニナの全部が知りたい」

「......ディル......」

ニナは困ったような顔で俺を見上げた。


彼女の身体は、壁際に追い詰められている。

でも嫌がってはいないようだった。


「ニナは、俺のこと知りたくない?」

「えっ......ディルのこと?」

胸元を手で隠しながら、大きな目で首をかしげる。


「うん......俺のこと」

そう言って、上の服を脱いだ。

ニナの前で上半身、裸になった。


ハッと彼女が息をのむ音がした。


「ディル......傷が.......あぁ......これはゴーレムと戦ったときの傷?」

ニナが俺の肩にある、古い傷に触れた。


「分からない。

どれが、いつの傷なのかいちいち覚えてないよ」


ニナは調べるように、俺の身体の傷をさぐった。

「......ふふふ。ディルのほうが、私なんかより傷だらけだわ」


「そうだよ、俺のほうが恥ずかしい」

そう言って身体を両手で隠す仕草をすると、ニナは大笑いした。


「でも、すごくがっしりしていて......素敵」

ニナは俺の肩の筋肉に触れた。


「愛してる」

肩の筋肉をなでる彼女の手首をつかんで、キスをした。

そして彼女を抱き上げる。


ベッドにそっとおろした。

「そうだ......ニナにお礼を言ってなかった」

彼女の上にまたがって、顔を覗き込む。


「ありがとう」

「えっ?」

彼女はキョトンとしている。


「ニナは屋敷の財産を命がけで守ってくれた。

すごく勇敢だ。なかなか出来ることじゃない」

彼女の髪を撫でる。


ニナは黙って、俺をじっと見つめている。


「ニナは強い......とても強い......よく頑張ったね」

俺がそう言うと、ニナは嬉しそうに笑った。


ニナが両手を俺の方に伸ばした。

彼女に顔を近づけて口づけする。


下着を脱がせて胸にそっと触れる。

キスをしながら、柔らかい胸を愛撫した。

「あっ......んっ」

ニナが、首をすくめて声を出した。


「ディルの手......気持ちいい......」

ニナが言った。


「盗賊団のボスに胸を触られたとき......とても痛かったのよ。

強く掴まれたの......でもディルの手は違う。気持ちいい」


そう言うと、彼女は俺の手に頬ずりをしながら、こちらを見つめた。

ニナのしぐさと言葉に俺はゾクッとしてしまう。

興奮した。


「ニナ......そんなこと言われたら、もう止められないよ」

「気持ちいい......もっと触って欲しい」



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