表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
161/255

【ニナ】ジョアンナの裏切り


【ニナ】


「ニナ......?蔵のカギが、どこにあるか知ってるか?」

カークが私のアゴをグイと持ち上げて、そう聞いた。


私は彼から目をそらした。


「知ってるようだな?」

私は首を横にふる。


屋敷の財産は守らなくちゃ。

叔父さんやお兄ちゃんが一生懸命集めたものだもの......。


「その猿ぐつわを取ってやらないと喋れないんじゃないか」

男の一人が、私のほうへ手を伸ばしながら言った。


「ダメだ。火の魔法を唱えられたら、俺たちは黒焦げになるぞ」

カークが慌てて仲間を静止する。


そこでまた、別の男の声がドアの方からした。


「おい!カーク、お前の仲間だって言う女がいたんだけど」

声の方へと視線を向けると、男の背後には、ジョアンナが立っていた。


(ジョアンナだわ!!助けて!)

私は目を見開いて、ジョアンナを見つめる。

ジョアンナと私の目が合った。

でも彼女の目は無表情だった。


カークはジョアンナを見ると、ニヤリとうなずいた。


「あぁ......その女のお陰で、俺はこの屋敷に入り込めた。

別に、仲間って訳ではないけどな」



-------------------------------


「おい!こんな狭いところで、大勢で話すのは息が詰まる!

大広間で話そうぜ」

カークがそう言うと立ち上がった。

「ニナも一緒に来るんだ」


カークが私の腕を引っ張る。

私は抵抗した。

「服が破けていて、恥ずかしいんだな?

確かにその姿だと、男たちが集中できなそうだ」

カークはそう言うと、自分のマントを私に着せた。


丸出しになっていた胸が隠れて少し安心したけど、私はカークをにらみ付けた。


(どうして、こんなことするの?

私やディルは、ただ静かに......善良に暮らしていただけなのに。

何の恨みがあるっていうの)


----------------------------


大広間に入るなり、10人ほどいる男たちの前で、ジョアンナが宣言した。

「あたしは、あんたたちの仲間になるわ」


(仲間......!?そんな.....ジョアンナ、嘘よね)

私は絶望的な目でジョアンナを見つめるが、彼女はこちらを見ようともしない。


「へぇ......?あんたを仲間にする意味が俺たちにあんのかよ?」

ヒゲづらの男がジョアンナの方へアゴをしゃくる。


「あんたたちにメリットは有るわ」

ジョアンナは堂々とした身振りで彼らに話す。


「あたしは闇の森の資源のありかや、危険な場所もディルさまから聞かされている。

つまり森を知り尽くしているのよ。

当てずっぽうに歩き回っても、闇の森の貴重な資源は、見つからない。

それどころか、底なし沼や蟻地獄にハマって命を落とすのが関の山......」


「ほう......。だったら、お前を拷問して、資源の場所を吐かせれば良いんじゃねーか」

顔にイレズミを入れた男が、ジョアンナにナイフをちらつかせた。


「2日後には、火の魔法使いのディルさまがお戻りになるのよ?

2日間であたしから情報を聞き出せなければ、あんたたちはディルさまに燃やされて死ぬ。

のんびり拷問してる時間なんてあるかしら?

あたしは2日間くらい耐え抜くわよ。

どうせ殺されるんなら、情報なんて吐かない」


「この女、頭が切れる。仲間にしてやっても良いんじゃねえか。

もともと、カークの仲間だったみてぇだし。

なぁ、カーク?」


「そうだな、別にいいんじゃないか」

カークがうなずいた。


男たちのリーダー格だと思われる男が、言った。

「お前を仲間にしてやってもいいだろう。

まずは教えてもらおう。

庭にある、蔵のカギはどこなんだ」


「蔵のカギ......?」

ジョアンナは首をかしげる。

「いかにもお宝が眠ってそうな蔵だったぜ!

中には何が入ってるんだ?」

男たちがワイワイと声を上げる。


「中になにがあるのかは、私は知らない。

でもカギなら、たぶんディルさまの執務室の引き出しだと思う。

カギ束が入っているのを見たことがあるのよ」

ジョアンナは男たちにそう言った。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ